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神事をするよ





 神星院は基本的に皇帝権威を傷つけなければオッケー、つまり皇帝権威を維持しないと文句を言ってくるという訳だ。だって神星院の権限は皇帝権威が根拠だからね。

 というわけで私は皇帝権威を維持するための行為をする。城の庭に無作為な病人を連れて来てそれを皇帝の治癒魔法で治癒するって訳だ。視察も兼ねてね。


 「ラス・サルース(大地の癒し)」


 足の骨を折った人に治癒魔法掛けて治す。魔法の階級は無印、ラス、エルって感じで上からこの治癒魔法は上から二番目だ。ちなみに、この魔法の階級順に因んで偉い人の名前にはラスがついていたり、それこそ土地の名前にエルがついてる事もある。ちょうどラスアジィンニコフとかエルガーベラスみたいにね。


 「あ、ありがとう御座います、皇帝陛下」


 次の人は筋肉質な男だった。多分、剣闘士だろう。左腕を欠損して脚には包帯。ボロボロだ。これでは剣闘士はおろか売り物にもならない。


 「足、足、だけでいい、治せ」


 カタコトのノストルム語、ここに来てから覚えたんだろう。多分元捕虜だ。


 「腕も治しますよ。エル・サルース(星の癒し)」


 腕の断面から骨が生え、骨が肉に包まれ最後に皮膚が包んだ。

 昔、ユリアンから言われたっけな。エルの治癒魔法は使うべきじゃないって。多分それは私自身を信じる厄介な人が増えちゃうからなんだろう。でも今の私はそれでいいと考えている。ユリアンと離婚してしまった以上、傷つくのは私だけだし、何よりこんな簡単に自己神格化できるならやらない手はナでしょ。


 「あ、あんた……まるでア=ステラ様だ」


 「彼ほど立派ではありませんが、私も皇帝として真理を務める者ですので」


 「あぁあと、アナキヌス・スパルタクスという男について何かご存知でしょうか?」


 彼は横に首を振った。もう20人ほどに聞き込みをしているが、誰も知らないみたいだ。


 「知らない、何も」


 次の筋肉質な体型とボロボロの服、そして指の皮が硬くなっている。建築奴隷か。外傷は指の欠損、エルの治癒魔法だな。


 「有難うございます、陛下。しかしまぁ、貴方がこのような星人君主のような人だと思いませんでした。巷じゃ好色皇帝なんて言われてしましたから」


 「無理もない、かもしれない」


 よく考えれば私のした目立つ政策ってガイウス魔法法の改正と第二次奴隷戦争の鎮圧くらいで、平民とか、それこそ帝都ノストルムの奴隷に対して直接的な利益になる事はしてない。そうであるのなら美少年奴隷買い取ったり、マクリヌス買い取ったりしてる私の評価が好色奴隷とか、それこそマクリヌスが言ってるように変態皇帝って言われても仕方ない。不本意だけどね。


 「でも今は思ってませんよ、私は。だって今私たちに寄り添ってくれてますし。だからです、えっと、先ほどからアナキヌス・スパルタクスの話を聞き込みしてらっしゃいましたよね」


 「彼について何か知っているのですか?」


 「はい、本当に眉唾なんですが、私の友人が以前帝都にて彼の言葉を聞いたと」


 帝都に居た?それは奴隷戦争前だろうか。いや、どっちでもいい。今はアナキヌス・スパルタクスが何かの神格とか合言葉というだけで無く、そういう個人がいたと知れただけ吉報だろう。むろんこの人の話を信じるって訳じゃないけれど。


 「彼の言葉?」


 「全ての圧政への復讐と」


 「見た目とかは分かりません」


 「体格は小さく、老人のようだったと申していました。あぁあと、髑髏の仮面を被っていて独特の訛りがあったとか」


 訛り、老人……該当する人物は沢山居る。マレ・ノストルムに滅ぼされた国は多いしね。だから何年も前に滅ぼされた国の老将とかが奴隷を焚き付けて、という感じだろうか。そうなると、もしかすると、いや、あり得ない。


 「感謝致します、そちらの情報も参考にしつつこちらでも詳しく調査させていただきます」


 この老人の人間関係を洗っておけと命令しておくか。嘘でしたで済んだらいいんだけれど、バックが老将だとすると結構めんどくさいかもしれない。だって該当する人物が沢山居るって事は髑髏仮面のアナキヌス・スパルタクスがデカい組織の一員に過ぎないって事だし。

 その後1000人ほどに治癒魔法を施した。でもわかった事はアナキヌス・スパルタクスが第二次奴隷戦争以前に帝都に居たという事と髑髏の仮面を被っていた事、体格が小さく老人のような感じで訛りがあったという事だけだった。


 「陛下!陛下!」


 陽が傾き、治癒魔法の連続使用で身体がくたびれた時、衛兵が私を呼んだ。


 「政務院より報告です。先ほど政務議事堂にパリファンヌス氏の頭部と共に羊皮氏の文書が届けられたと」


 第二次奴隷戦争の引き金となった大地主パリファンヌスの頭部とそして羊皮氏……十中八九ふざけては無いだろう。


 「そこにはなんと?」


 「マレ・ノストルムよ、再びハンニヴァルカ・アナキヌス・スパルタクスに怯えよと」


 ハンニヴァルカ、一時期は帝都近郊まで進軍し、その後ゲルマンの地でスピキ将軍に撃たれた男。帝国にとって悪夢そのもののような奴。まさか名前を変えて再び帝国に刃を向けようなんて。


 「スピキ将軍を今すぐ呼び付けろ。引退は取り消しだと言ってやる」


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