第1話 勇者が死んだ
初投稿です。
金髪のイケメンが、大きな部屋の中で、モニターを見つめてニヤニヤしていた。
白いローブを着ていて、神々しい雰囲気はある。
とはいえ、修羅場を眺めてニヤニヤしているから、神々しいわけがない。
ドンドンドンドン、と乱暴なノック音。
イケメンが、扉の方を向いた。
「何~?開いてるよ~?」
扉が開いた。
黒髪の神経質そうな少年が入ってきた。
「ルカ様、大変です。」
「どしたの?」
金髪のイケメン・ルカはゆるかった。
黒髪の少年が言った。
「セクションGの勇者が死にました。」
「あっそ。」
ルカは少年の報告を聞いていない。
モニターをまじまじと見つめるだけだった。
「ルカ様、もう一回言います。セクションGの勇者が死にました。」
「あー、はいはい、死んだ死んだ。」
それから、ルカは少年のほうに向き直った。
「今、いいとこなの。わざわざ知らせに来た理由を教えて?」
黒髪の少年は、ひと呼吸して言った。
「その勇者を蘇生させてほしいと、貢ぎ物つきで祈られました。」
「マジで?」
ルカは心の底から面倒くさそうにしていた。
黒い髪の少年が見ていても、まったく気にしていない。
これが、勇者を蘇生させてほしいと、願われる側の態度なのだろうか。
それからルカがたずねた。
「セクションGって魔法が発達してたはずだけど?自分たちで何とかできないわけ?」
「あれは無理です。」
少年はため息をついた。
すると、ルカがたずねた。
「で、リーツ?貢ぎ物は何だったの?」
黒い髪の少年・リーツは手元のリストを見ながら言った。
「三つの国の権力者がそれぞれ三名ずつ、合計で九名ですね。」
「うわぁ……それはまた頑張ったね。」
ルカが少し引き気味で言った。
リーツはルカに尋ねた。
「放っておきますか?」
「いや、やるよ。」
ルカは即答した。
それから、リーツに手を差し出した。
「リーツ、報告書見せてよ。」
ルカに言われるまま、リーツは資料を渡した。
「げっ……」
ルカはだまり込んでしまった。
それから、資料を何度も見て、ひらひらと振った。
「え?バカなの?勇者、バカなの?なんでこんな死に方してるの?」
「なんとも言えませんね……」
リーツは目を閉じて、それから首を横に振った。
「……いや、だって、第二表皮まで傷が入ってるよ?勇者の第二表皮には、ちゃんと加護を与えるように決めてたよね?」
ルカがそう言うと、リーツはうなずいた。
「はい、勇者は死ぬのも仕事ですから。簡単に壊れると困りますので。」
それから、ルカは頭をぶんぶんと振った。
「いや、オレがバカだね。かんたんに引き受けちゃった。…マジでどうしよう。」
ルカは、少しだけ困った後で顔を上げた。
「えっと、移植用の素材、ある?」
ルカがリーツにたずねた。
リーツは首を横に振った。
「あの惑星にはありません。勇者とつり合う素材は、簡単には見つかりません。」
ルカはガッカリして、再びリーツにたずねた。
「じゃあ、皮バンクは?」
「順番待ちで47番目です。」
リーツが淡々と言うと、ルカはがくっと肩を落とした。
それから、少しだけ地面とにらめっこをしながらひとりごとを言い続けた。
やがて、ひとりごとを言い終わると、顔を上げた。
「よし、行ってくる。」
「どちらへ?」
リーツがたずねると、ルカはニヤリと笑った。
「地球って惑星の、日本って国。」
「ああ、修復素材がたくさんありますよね。」
リーツがうなずいた。
「そういうこと。あ、勇者の死体だけは新鮮にしておいてね。」
ルカがそう言うと、リーツは頭を下げた。
「わかりました。――お気をつけて。」




