プロローグ
どうやら私は珍しい生き物らしい。
珍しいというか絶滅危惧種らしい。
「これから私は何をされるの?」
「何?何というか年に3度の人間見せ物。そのお披露目だよ」
ギザ歯の目無し族は何おかしな事言ってるんだと言わんばかりに心底不思議といった様子で答えた。
なるほど、突如として伝えられた私が人間という珍しい種類の生き物である事。
この13年間不気味なくらいに大事に扱われた事の説明がついた。
今日の誕生日で14になる私はこれからの人生、こいつらに管理されて生きる事が決まるわけだ。
「皆様!前座はこれまで!待ちに待った人間のお披露目です!」
少女は司会のナレーションに合わせて舞台上に立つ。
スカートの裾を手であげて軽くお辞儀をした。
「今年で14になる世界にただ1人の人間です!今宵は是非楽しんでいってください!」
思えば家の敷地内から外に出たことがなかった。
私の世界は私の知る家の中だけだ。
私は何も、何も知らない。知らないことばかりだ。
決めた。
外に出てみよう。
私の世界を広げる旅に出てみよう。
知らない事は起きていない事と、何もないのと同じだ。
この世に生を受けてから14年。
私、ハイネは初めて自分の意思で何かを決断した時だった。