表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/39

アドレーヌの町4 出会い

あれから数日後を過ぎても私の攻撃力は上がらなかった。

兵士長であるネオに稽古をつけてもらおうとするが、

「今は忙しい」

「急に用事ができた」

などはぐらかされてしまっている。

今日は、北東方面にある教会に荷物を届ける手伝いだ。

この世界に教会があるって事は、宗教があるのだろうが、この手の話は苦手だから周りには聞かなかった。


「すいませーん。

ミナさんからの届け物を持ってきました。

誰かいませんか?」


教会の扉を開けて声をかけるが、返事がなく、人はいなさそうだ。

外にいるのかなと思い庭へ行く。

そういえば、この教会は墓がない。

この世界は、生き物が死ぬと粒子になり、違う命に生まれ変わるために大樹に還るから死体が出ない。

だからだろうか、庭が広く感じた。

奥に行くとようやく人の声が微かに聞こえる。

急いで向かうとその声の主は、私より幼いであろう小さな男の子のものだった。

近づいてみるとその男の子の耳は、犬のような形をしているしお尻にはふさふさの尻尾がある。

獣人の男の子だ。

町の手伝いをしていても人間意外の種族はあまり見たことがない。

どこの子だろうと声をかけてみる。


「ねぇ、どうしたの?

大丈夫?」


するとその泣いていた男の子は、ふと私を見て

「黒髪、、」

と珍しそうな物を見たという驚きで涙は止まったもののなにか戸惑っている様子だ。

こういう時は、どう対処したらいいのだろう。

とりあえず自己紹介をしてみるかと話し始めようとしてみると後ろから声がする。


「おい、まだ泣いてんのかよ。

弱虫が」

赤髪に背が高く、筋肉痛の人間の男の子が後ろに緑髪、青髪の子らを引き連れてやってきた。

「よ〜わ〜む~し〜、よ〜わ〜む~し〜」

「人間以外はこの町から出てけ〜」

この感じは、もしかしてイジメってやつか。

私は、思いっきり男の子達を睨みつける。

すると赤髪の子が私を見て気づく。


「なんだこいつ」

すると青髪の子が


「こいつ、俺知ってるぜ。

魔物の森から拾われたやつ」


「げー、こいつも魔物かよ」

と緑髪の子がふざける。


「こいつ未発達で男か女か分からないんだって」


「「うげー」」

青髪の子のことばに残りの2人がおおげさにアクションする。


「ならさ、本当にそうなのか脱がしてみようぜ」

赤髪の子の言葉に空気が変わった。

異様な目つきの男の子達に背筋が震える。

まずい、私は攻撃力は弱すぎるのだ。

どう男の子を守りながら逃げれるかと考えていた。


「やめてあげてください」


獣人の男の子が私の前を立って両手を広げて制するが、全身が震えている。

じりじりと距離が近づいていく。

脱ぐ覚悟をした時だった。

1人の男の子が私達の右横にふっとばされていた。

土埃が立つ。


「「なんだ」」


どうやらふっとばさっれたのは緑髪の子で、残りの2人が後ろを振り向くとそこには猫耳フードがトレードマークの人が立っていた。


「「ソフィア」」


この場の全員の声が揃った。


「ドラ、ブレ、バラ、またそんなことしてるの?」


「は、いつもいつも邪魔しやがって。

今日はぜってぇ勝つ。い

いな、ブレ、バラもささっと起きてこっちこい」


赤髪のドラが声をかけると3対1の戦いが始まった。


「ちょっと、ソフィア1人に男3人はずるくない。なにか手伝えること」


と焦って石でも投げるかと考えていると獣人の男の子が私の肩をそっと手を置き言った。


「ソフィアなら大丈夫ですよ。ほら」


そう指を指す先には戦いが始まっていた。

ドラが勢いよく体当たりするがソフィアが華麗に避ける。

次に右手に棒を掲げて襲ってくるバラに飛び蹴りを食らわす。

するとブレがソフィアの後ろから砂をかけて目をくらませるが、フードがうまく機能して少ししか目にかからなかった。

少し目が痛そうだが、すっと息をつきおもいっきりストレートパンチにまわし蹴りでブレがおもいっきり飛んでいった。


「くっそ、覚えてろよ」

ドラがそう言うとそれぞれ散り散りに去っていった。


「すごい、ソフィアって戦えるんだね。

てっきり町長のお嬢様って言われてたから」

私が声をかけていると男の子がすぐさまソフィアの側に駆け寄る。

「ソフィア、目が。

早く目を洗いましょう。

教会の洗面所お借りしましょう」

そうだった。

私達は急いで教会に戻るとちょうど神父さんがいたので状況を説明して洗面所を借りた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ