アドレーヌの町9
急いで排除作戦をしている北門へソフィアと一緒に目指す。
ソフィアが言うには、獣人は魔力は低いけど体は丈夫で力が強いから心配はいらないらしい。
でも、ゴードンさんは足が悪い、戦闘なんてして大丈夫だろうか。
北門に着くと兵士が3人門の外からやってくる。
よく見るとゴードンさんが両腕を抱えられている。
3人とも青黒い液体を被って服がボロボロだ。
ソフィアが「キュア」と言うと、水しぶきと風が一瞬吹いたかと思うと兵士3人の姿が綺麗になった。
なにその魔法、教えてほしい。
私はまだ時を止める魔法しかしらない。
ゴードンさんの右腕を抱えたゴードンさん似のグレーのオオカミ型の青年が声をかける。
「良かった。
町に魔物は入っていないね」
「はい。
それより大丈夫ですか?」
「ああ、ケイかぁ。
やっちまった
もう俺は卒業だな、1番弱いネズミやスライム相手にこんな様になっちまった。
あとは、このアーロンにまかせる」
そう笑いながらゴードンさんは、右側にいるオオカミ型の青年に声をかける。
「はじめまして。
俺はアーロンだ。
俺はまだまだ未熟で見習いなんだ。
俺だってさっきのスライムにこの様なんだから。
それより父をハインツ先生に診せてくれ。
ケアで傷口や体力は回復したと思うが、父はこの通り足が悪い。
他に何かないか診せてほしい」
「アーロンさん達は?」
アーロンさんと他の兵士は、ケアという医療魔法で充分回復したから大丈夫ということで現場の後始末へ向かうと言って門の外へ行ってしまった。
私達は、ゴードンさんと手をつなぎながらゆっくりハインツさんの病院を目指す。
ゴードンさんは、右足を引きずりながら歩いている。
もっと身長が高かったら抱えるのにと思いながら今までなにかあったのか聞いた。
「今日は魔物の数が凄かったんだ、、、」
ゴードンさんが言うには、ある日を境にネオ兵長と町長の提案により週に1回、町の門外へ出て、町に近づく魔物や化け物を排除する事を決めて行うようになった。
いつもは弱いネズミの魔物やスライムが1、2匹たまに中級の魔物が出るだけだったのだが、今日は3桁になるほどの魔物がいたのだ。
しかも凶暴化しており人に全力で襲いかかる。
一時、門の側にも魔物が来たことにより門番をしていたゴードンさんも参加するようになったのだという。
1、2匹ならたいしたことない魔物でも束になれば苦戦した。
「まるで、魔物たちもなにか追い立てられているようだったな」
病院に着いてゴードンさんをハインツ先生に任せて待合室に行こうとした時にふとゴードンさんが呟いた。
その呟きが少し気になった。
しばらくしてハイン先生がゴードンさんと一緒に治療室から出てきた。
「もう大丈夫じゃよ。
少しの安静は必要だがのぅ
しかし、ゴードンや、先程の件分かってるじゃろ」
「ああ、兵士は退団する。
料理や1本でこれからは勝負するわ。
だがら今夜おもいっきり仲間たちに料理をふるまいてぇ
今日は、みんながっつり食べてぇはずだしな」
「でも、安静が必要って」
「だから、ケイ。
お前が俺の右腕になって手伝ってほしい。
いいだろ?」
ゴードンさんの気持ちが伝わってくる。
「分かりました。
手伝います。
思いっきり美味しいもの作りましょう。
ちょっと考えがあるんですが」
さっそくイザームさんに言うと厩舎にある厨房を借りる許可を取ってくれた。
「人手が欲しい。
ソフィアは、ロンを連れてきて」
「分かったわ」
私とゴードンさんは、食料倉庫を見て話し合って作業する。
まずは、小麦粉に水を加えて練り込み生地を作って1つずつ小さい塊を作る。
木の棒で1つずつ生地を伸ばす。
次に用意した野菜と肉を刻み混ぜてそこで胡椒や塩、ごま油に似たものなどの調味料で味付け。
あとは、最初の生地であんを包むだけだ。
言うだけ簡単なのだが、量がはんぱない。
ロン、ソフィア、イザー厶さんにも手伝ってもらう。
そう私たちが作っているのは、餃子だ。
酒と一緒に食べるのならこれだと思ったのだ。
包んでいる間にもゴードンさんは、店の定番の肉を焼いたものやフラッフィーなどを作る。
夜になると次々と疲れてお腹を減らした兵士達がやってくる。
「さぁ、やるぞ」
ゴードンさんの合図でどんどん餃子を焼き始める。
パリパリと焼いてる音と香ばしい匂いに兵士たちがざわざわし始めたようだ。
よく見るとカイザムさんやネオさんの姿もいる。
焼き上がった餃子おロンとソフィアがネオさん達のテーブルの上に料理を運んでいく。
「なんだこれは。」
「美味しそうな匂い、たまらないなぁ」
そこでネオさんが話す。
「みんな聞いてくれ。
今日は、よくやってくれた。
ありがたいことに重症者は出なかった。
これからも町の平和のために尽くそう。
今日は、ゴードンがごちそうを作ってくれた。
酒も許す。
大いに食べて、飲んで体を癒やしてやれ」
『おおー!!』
その場にいた兵士たちが声を上げて、食べ始める。
「なんだこれ、小さいが中の肉や野菜がたっつぷりでうまい」
「なのに外がパリパリ。
酒と合う、これなら何個も食べられる。
おーい、これもう1皿」
兵士たちがどんどん沢山食べるので餃子を焼くのが大変だ。
だが、ゴードンさんは嬉しそうに餃子を焼いている。
彼は、今後この道で活躍していくんだろうなと思っていながら皿を片付ける。
「ケイ」
肩を叩いて声をかけてきたのはネオさんだった。
少し話がしたいということで食堂を少し離れた所へ移動する。
「ケイ、お前稽古してるんだってな」
厩舎の稽古場で稽古しているんだ。
話は伝わってるだろうなとは思っていた。
「はい。
強くなりたい。
せめて自分を守れくらいには」
するとネオが深刻そうな顔になり、話し始めた。
親愛する息子、コクのことを。
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