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1 はじまり

土と青々とした草の匂いがする。


耳を済ませると小鳥の鳴き声と聞いたことのない動物の声がこだましている。


目を開けて横に倒れていた体を起き上がらせて周りを確かめる。


どこかを打ったのだろうか体の節々が痛い。


「ここは、、どこ?」


森の中にいるのは分かったけど、いつの間にここへ来たのだろう。


今まで父親の部屋にいたはずなのに。


すると木々の向こう側から人の声が聞こえてくる。


「人だ。とりあえずこえをか、、け、、あれ?」


うっすらと人影が目に映るがぼやけて意識が遠のいていく。


「おい、おーい人がいるぞ。」


「本当だ。助けを呼んでくる」


「なんでこんなところに。おい、大丈夫?」


人の声に安堵して目を閉じた。





私は、佐々木恵ささきめぐみ18歳高校生3年生。


得意科目家庭科、苦手な科目は数学。


趣味は食べること。


学校帰りに友達といろんな食べ物の店によることが至福の時間。


まあ、そのせいで少し人よりはふくよかな体なのは分かってる。


おばあちゃんが「歳をとれば女性は自然に痩せるから大丈夫よ」って言ってたもん。


大丈夫、、だよね。


そう言い聞かせながらいつものように友達とスタバーという喫茶店でチーズケーキをほおばっていると水口杏子みずくちあんずが噂のゲームについて話してきた。


彼女は、私と同じクラスメイトで幼馴染。


幼稚園からずっと一緒だった。


高身長でスタイル抜群、勉強も運動もできるから昔から男子にモテモテだけど気にしなくて友達優先の面倒見がいい性格だから今の女子校でもモテモテだ。


「ドゥオ」というインターネットゲーム。


自分の分身であるアバターで、冒険するもよし、農家をするのもよし、支配者になるのもよし、もう一つの人生をおくれるという近年人気のゲームだ。


そしてそのゲームにハマっているのが杏子だ。


私からしてみれば最高な彼女でも今とは違う人生を過ごしたいっていうだから世の中不思議だ。


「ねぇ、恵聞いてる?だから恵もやってみようよ。今なら無料体験できるからさ。一緒にやろうよ」


彼女の強い勧めにて結局帰宅してすぐにパソコンがある父の部屋を借りてその「ドゥオ」をやり始めることにした。





『ようこそ「ドゥオ」へ


まず、表示する言語を選んでください』


えーと、『日本語』で。


『字幕は表示させますか?』


『字幕あり』で。


『あなたの名前を教えてください(これはネットワーク上により他者に情報を見られる可能性があります。適切な言葉でご入力ください)』


そっか、インターネットだもんね。


これって性別とか年齢とか特定されない方がいいのかな。


うーん、恵だから『ケイ』で。


『ようこそケイ様


「ドゥオ」は、神の大樹を中心に人間やエルフ、ドワーフ、獣人などいくつもの種族が暮らしています。


あなたは魔物を倒して勇者になるのもよし、民となり暮らすのもよし、様々な生き方を見つけてみてくださいね


(ダウンロード後キャラメイキングをいたします。この情報はネットワーク上他のプレイヤーに見られる可能性があります。)』


ダウンロード中ーーーーー


こうして何分か待っていると少しずつ体が揺れているのが分かる。


地震だ。


最初は小さい揺れが本格的に大きく揺れ始めて机の下に避難しようと思ったのが遅かった。


部屋を取り囲む本棚が倒れてくるのが分かった。


これはやばい。


そして目の前が真っ暗になったのだ。







「お母さん、お父さん」


がばっと起き上がると見知らぬ部屋のベッドで寝ているのが分かった。


「あ、起きたのね。ネオじいちゃん、ミナさん、彼女が起きたよー、医者呼んできて」


「あらあら、ネオ医者を」


「おうよ」


部屋の外からドタドタと物音が聞こえる。


私の横にいる彼女は、猫耳の形をした被り物をしている。


「良かった、目が覚めて。どこか痛いとこある?」


「体中がいたい、、私、、なんにちねて、たの?」


うまく口が動かせない。


「無理しないで。7日間寝てたんだからうまく喋れないのは当然よ」


7日間?!


「私はソフィア.アルデライト・フィオラル。

みんな私をソフィアって呼ぶわ。それにしてもあなたあの魔物の森になんでいたの?私と同じくらいよね。町のみんなは怖がってあの森に入らないのに子供だけじゃ無謀だわ。あなた親は?」


「よしなさいな、ソフィア。病み上がりなのに質問ばかりして。

無理をするなって言ったのは、あんたじゃないかい?」


ふっくらとしたおばさんが水が入った桶を持ってきてそう言った。


どうやら額の冷たいタオルは彼女のおかげらしい。


それにしても「子供」ってソフィアはあきらかに小学生1年くらいにしか見えなかった。


つまり6歳くらい。


そういえば、手の大きさがなんか小さくない?


嘘、、


「うそーーーー」


私は部屋を見回して鏡を探す。


鏡台を見つけて自分を見てみると見知らぬ幼児がいた。


白人系の顔に長い黒い髪の子供?


これは、もしかして小説や漫画で見たことがある異世界転生的なものなんじゃ?


いきなり飛び起きて鏡を見て騒ぎ考え込む私を見て驚く2人。


「どうやら元気そうじゃな」


白衣を着て白いひげを長くのばしているじいさんとその様子を驚いた顔で見ているガタイの良い長身のおじさんがいた。


「うん、少し体が弱っているだけの男の子?はて女の子か?」


私をベットに寝かして診察をしていると医者のじいさんが珍しそうに言う。


「どういうことだい?」


ふっくらした女性のミナさんが問う。


「普通は1歳頃に魔力が安定するんじゃが。この子はまだ魔力が安定してない、生まれたてのよう。つまりまだ性別も決まってない」


『え?』私を含めて全員の声が揃った。


そういえば、ゲームするときに基本設定するだけでキャラメイキングしてなかった気がする。


いや、あの『ドゥオ』の世界に転生したのかも分からない。


まずは、それを確認しよう。


この日とりあえずは体を安静にということで医者とソフィアは帰り、この家の主ネオさんとミナさんに世話になることになった。


ネオさんの説明によると


「俺の名前はネオ。

この町の兵士長なんだが、7日前朝から西の門の魔の森が騒がしくて、通常より魔物が門へ来るもんだから隊を結成して魔物を少し討伐してたところ君、名前はなんて言うんだ?」


「ケイです」


「ケイか、よろしくなケイ。

お前を見つけたんだ。

こいつはミナ、おれの女房だ。

ソフィアはこのあたりの町長の娘で姪だ。

あいつは好奇心旺盛でな、同じ年頃のやつが魔の森に倒れてたと聞いたら「私が看病するの」なんて言ってな。

あとでお礼言ってやってくれ」


「そうだったんですか。

わかりました。

ネオさん、ミナさんもありがとうございます」


すると2人は嬉しそうに照れて


「何をいうんだよー」


「ま、今日はゆっくり寝て明日にでもいろいろ教えてくれな」


そういうと2人部屋を出ていった。


その夜中私は水が飲みたくて家の台所を探しに周っていた所、ひとつの部屋の明かりを見つけたので近づくと2人の会話が聞こえた。


「あの子をうちで面倒見ないかい?」


「ミナ、、あの子はあいつじゃないんだぞ」


「でも、あの黒い髪に目、雰囲気がコクにそっくりじゃないか。お前さんも思ったろ?

私はあの子が生まれ変わって来てくれたんじゃないかと思ったよ。」


「あの子の親もきっと心配してるだろう。町のやつではないから他の町から来たのかもな。親を探してやらないとな」



「でもネオ、あんなに魔物の多くいた森で見つかったんだよ。

親は、、きっともう。それに生きていてもあんな森に子供を連れて行く親よ、そうとうな事情があるか、異常者、、異世人だったらどうするの?」


「最近、異世界から来たとか言って治安を乱すやつらか」


ドキッとした。


ネオたちの言っていることは私たちのことだ。


私はそっとネオたちの部屋を離れてベッドに戻り思いっきり目をつぶる。


これからどうすればいいの?

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