一話「部屋の中」
第一章「止まらない負の連鎖」
私は、暗い部屋で目を覚ました。
「ここは・・・私の・・・部屋なのだろうか?」
辺りを見るが、何も思い出せない。
ゆっくりと、たちあがった。
なぜ、暗く寒い部屋の中で倒れていたのか分からない。
「この部屋から出よう」
と、うっすらと見えるドアノブを握る。
部屋の外に出る事が出来れば、何か思い出すかもしれない。
そう思いドアを開けようとする。
ガチャ・・・ガチャ・・・。
「何で、ドアがあかない?」
うっすらと壁に何かある。
カチッ。
部屋の明かりをつけた。
「さっきより見やすくなったな」
ドアノブの少し下に、小さい鍵穴がある。
「鍵が必要なのだろうか?」
私は、鍵をかけた記憶は無いが・・・。
「どこに鍵があるのだろうか」
床や、ポケットに、鍵らしきものはない。
「どこにある?」
まず、部屋の中を調べてみるか。
そして、ゆっくりと歩き出した。
「左は、本棚」
色々な本が、天井ギリギリまで並んでいる。よく集めたものだ。
「右には・・・はしごが立てかけてある」
はしごが何でこんな所に?
「正面が・・・机か」
さて、机から調べるか。
机の上には、紙・ペン・本などが置いてある。
「これは・・・」
紙には手書きで何か書かれていた。
「どうやら、誰かの日記のようだな。」
十二月二十二日
皆、私に隠し事をしているのだろうか?
最近、私の話を聞いてくれないからだ。
ピエロに「どうして、話を聞いてくれないんだ?」と、聞いてみても「えっ? そんなことないですよ?」と、いわれるだけだった。
サファイアは、私が何回聞いても、何も言ってくれない。
皆、どうしてああなってしまったのか。
私には分からないのだが・・・。
・・・なぜだろうか、いやな予感がするんだ。私の気のせいだといいが・・・。
ピエロ? サファイア? 知らない名前だな・・・。
頭が痛い…。疲れているからか?
十二月二十三日
やはり・・・何かがおかしい。
レットやナイヤだって、ピエロやサファイアと同じように私の話を聞いていないなんて・・・一体どうなっているのだ?
はやくなんとかしないと・・・。
鍵も、置いた場所と違う場所にあったりする。
もしものために、この部屋の鍵は・・・いつもとは違う隠し場所に隠しておこう。
また、知らない名前だ。
頭が痛い・・・これは、私が書いた物なのか?
ガタン・・・。
あまりの痛さに、持っていた日記と近くに置いてあった本を落としてしまった。
拾い上げた日記の裏には・・・。
「夢川一葉?」
そう書かれていた。
ズギンッ。
その場に倒れこむ。
「思い出した・・・」
夢川一葉と言う名前は、私の名前だ。
日記に書いてあった名前は、私の仲間達の名前だ。
・・・だが、残念ながら全てを思い出してはいない。
思い出したのは、とぎれとぎれの記憶だけ。
残念だが・・・。鍵がどこにあるのか、分からない。
「まあ、思い出せてよかったな」
ズズッと、音をたてながら机の引き出しの中を見る。
金色の小さい鍵が、奥の方に置いてあった。
「鍵だが・・・。ドアの鍵では無いな」
鍵穴を見て確認する。
鍵を持ち、引き出しをゆっくり閉める。
一体ドアの鍵は、この部屋のどこにあるのだろうか? 机の上には、気になるものはもうない。
「次は、本棚にするか」
本棚へと、歩いていく。
「何かあるといいが・・・」
本棚に隙間なく並べてある本は、たくさんあるいろいろな場所から買い集めてきたものだ。
仲間からもらった物もあるが・・・。
ほとんど私が買った物だな。
なので、もしも本棚が倒れてきたら・・・何千、何万とある本を、何時間も本棚に並べないといけない。
本棚の一番上を見ると、小さい木の箱が奥の方に置いてあった。
うっすらと、光っている何かが見えた。
「小さい箱を、どうやって取るか」
何も使わずに小さい箱は、取れないからな。
・・・。私は、どうやって本棚の上に置いたんだ?
「・・・なるほど、はしごが部屋に立てかけてあったのは、こういう時のためだったんだな」
左に立てかけてある少し重いはしごを本棚の方に、ゆっくりと移動させる。
ガダンッと、本棚の方へはしごを置く。上へ上へと、私は登っていった。
この部屋は広く、天井が高いため、意外と怖い。
「あと少しで、と・・・」
届くと思った、その時だった。
グラッ。
「あっ・・・」
そう、本棚が勢いよく倒れてきたのだ。
色々な本の下敷きになった私は、本棚の本を並べ直し確定&あまりの痛さに少し泣きそうになったが、なんとか腕を本棚に伸ばして持ち上げた。
バシンッと、音をたてながら本棚は、横に倒れたのだ。
なんとか、本の山から出る事が出来た私だか・・・。
「やらかした」
それから五時間くらい、ずっと本の片付けをし続けた。
「休みたいが、箱の中を見ないとなぁ」
立っているのがやっとだが、小さい箱の中を見た。
「これは・・・。ドアの鍵?」
鍵穴を確認する。
「これで、あっているようだな」
やっと見つかったな・・・。疲れがドッときて、その場に座った。
少しの間休んで、ドアの前に立った。
ガチャッと、ロックを外す。
「あー、長かった。やっと部屋の外に出られる」
・・・本棚が倒れなければ、もっとはやく明るい部屋の外に出られたんだけどな。
そう思いながら、本棚の方を見た。
「あれ?」
部屋の外に出た時、私は何か、何か大切な物を忘れているような気がした。
まぁ、気のせいだよな?