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6話


 枚方(ひらかた)の持って来たお菓子を食べながら、春も含めた5人で色んな話をする。


 正直、今まではこういう人種との話について行けないと思っていた。が、意外と楽しんでいる自分がいた。

 もうこいつらと友達……なのかな。




「ねえ春ちゃん、二宮って小さい時もこんなだったの?」


 と糸田が聞く。いつの間にか俺と俊介の、昔の話になっていた様だ。


 こんなってどんなだよ……


「そうですね〜。メガネはかけてなかったけど、そんな昔から変わった所もないですかね」

「だな、優ちゃん昔からこんな感じだった」


 だからどんなだよ……


「なんか小さい二宮、想像できそう」


 ふふっと笑う糸田。

 バカにしているみたいな顔だ。


「私も小さい杏美、想像出来るよ〜? このまんまでしょ」

「……で、2人は初恋いつ頃?」

「酷いな〜杏美(あみ)は。無視?」

「あや、うるさい」


 糸田は、枚方のイジりを無かったことにして聞いて来た。

 これは恋バナと言うやつだろう。


 いつか来るんだろうとは思っていたが……遂に来てしまったか。

 俺は背筋を伸ばして、どう迎撃するかを考えた。




「いつだろ、忘れたなー」


 慣れた返しをする俊介。


 そうか、別に昔の事だし、どうとでも言えるんだ。と俊介の答えに学ばされる。


 どうせみんな俺の恋バナなんて興味無いだろうし、俺も言いたくない。


「俺も、忘れた」

「嘘でしょ〜、優ちゃん絶対あの遊園地の時の子だって」

「……だから違うって何回も言ってるだろ?」


 ……恨む。一生絶対恨み続けてやる。


「なにそれ、その話聞かせてよ」


 俺が弁解するも、糸田は既に興味津々だ。


「おにぃ。ほんとにあの時の子、好きなの?」


 春は俺の事を睨みつけている。

 本当に余計なことをしてくれたな、と俺は俊介を睨みつける。


「あの時の子って?」







「優ちゃーん」

「優太、どこ行ったんだ……」


 まだ幼かった頃、俺と俊介の家族で遊園地に行き、そこで俺は迷子になった。


 ……きっとボケっとしていたんだろう。俊介によると俺はいつもボケっとしていたらしいが。


 確か俺はみんなとはぐれ、泣きそうになりながら園内をさまよっていたと思う。


 そんな時、道の隅にうずくまって泣いている女の子を見つける。


「お前、迷子なの?」

「うん……あなたお名前は?」

「優太、二宮優太。ほら、家族、探しに行こう」


 ……一目惚れだった。


 泣いていた彼女のために、自分のことなんて忘れ、必死に彼女の家族を探した。


 最終的に迷子センターの様な場所に辿り着き、そこに2人共の家族がいた。


 あの時の安堵感は、今でもでも鮮明に覚えている。

 俺もその子も、泣き崩れてしまった。


 だがその時、彼女の名前も聞かずに別れてしまい、後でもの凄く後悔することになる。


 今でも好きかと言われれば、よく分からない。ずいぶんと昔のことで、もう顔も思い出せないし。







「へえ〜」


 似たような話が、俊介視点で語られた。


「おにぃ、ほんとのほんとに好きなの?」


 近いって……


「だーかーらー、何でもないって言ってるだろ?」


 今となっては彼女の事を探し出すなんて不可能なんだし、俺も探し出そうなんて思っていない。

 だからこいつらに話した所で、俺が恥ずかしいだけだ。


「ん、あやどうした? 顔真っ赤だけど」

「え? ああ……なんでもない、ちょっとトイレ借りるね二宮」 

「……玄関の横にあるから」

「うん、ありがと」

 

 慌てて出ていった枚方。

 みんな不思議に思いつつも、俺への追及を優先し、俺もそれをかわすのに必死だった。







「じゃあ、お邪魔しました〜」


 ふぅ。みんなを見送って一息付くと、空はもう暗くなっていた。


 あれからほとんど勉強出来なかったな……

 でも、本当に楽しかった。


「おにぃ、女子にデレデレし過ぎ」

「なっ……」

「あの枚方って人、ほんとに……」

「なに?」

「なんでもない」


 なんで怒ってるんだよ……


 だけど、春も糸田と仲良くなれたみたいだし、良かった。


 俺はなんとなく無意識に春の頭を撫でた。

 サラサラの髪が揺れる。


「……おにぃのバカ、キモい」


 そうは言うものの、俺の手を振りほどこうとはしなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです(≧∇≦)b [気になる点] 糸田さんの名前が読めないです。後枚方さんの名字を忘れがちなので、話の冒頭だけでも名字にルビ有ると助かります。
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