4話
数日経って休日になった。親は丁度2人とも出かけているので、家に居るのは俺と春だけだ。
あれから枚方と糸田(主に枚方)がよく俺や俊介と喋る様になったので、クラスメイト達は様々な反応を見せていた。
「枚方さんと糸田さん、なんか最近あいつと仲良いよね」
とか、
「うわ。あの2人のどっちか、また菊間狙いなのかな。二宮君かわいそ〜」
とか。
事実なのだろうが、全く感情のない哀れみほど惨めなものはない。
正直もう慣れたので俺の事は放っておいてほしいところだ。
そんなことを考えていると、インターホンの音がした。
俊介以外はもちろん家の場所なんて分からないので、俊介が2人を連れて来ることになった、らしい。
おそらく彼らが来たのだろう。
部屋を出て階段を下りると、丁度春に出くわした。
春はリビングにあるモニターで外の様子を確認している。そこには枚方と糸田が映っていた。
「この女の人達、誰? おにぃの友達?」
なぜか鋭い目付きで俺のことを睨む。
「ああ、友達……かな? ちゃんと愛想良くするんだぞ」
「うるさい、分かってるよ。おにぃのバカッ」
そう言う春だったが、俺が玄関へ向かうと後ろから付いてきた。まだ怖い顔をしている。
部屋行ってろよ……と思いながら、扉を開けた。
「おっす優ちゃん。お、春ちゃんも、久しぶり」
春は、男子が居ることを知り、しかも面識のある俊介だと分かると、安堵の表情を浮かべる。
「お久しぶりです〜いつも兄がお世話になってます〜」
……この態度の変わり様には流石に恐怖を覚える。
やっぱり中3にもなると、俊介のことをイケメンと認識するようになるんだろうか。
小さい頃は、よく3人で走り回っていたのにな……
「お邪魔しまーす」
「誰ですかあなた、おにぃとどんな関係なんですか」
春は続いて入って来た枚方に対して、冷酷な態度をとる。
「ちょっ、愛想良くって言ったよな?」
小声で制止する俺のことなんて気に止める様子もない。
「はじめまして、にの……優太君の友達の、枚方朱乃です。よろしくね」
優太君……? 枚方朱乃……?!
春はあの時優太の言っていたことを思い出す。
こいつが……
再び殺意が湧いてくる春だったが、ひとまずはなんとか表情に出さないよう努力した。
「よろしくお願いします〜、春って呼んでください〜」
目が笑ってないんだが……。
努力は実らなかったようで、俊介も苦笑いをしている。
「……あの、早く入って貰えるかな?」
痺れを切らして玄関の外から声をかける糸田。ずっと待っていたみたいだ。
小さすぎて気づかなかったなんて言ったら怒るんだろうな。言いませんけど。
「おお、ごめんな糸田」
「お邪魔しまーす」
とぞろぞろ階段を上り、俺の部屋へ向かった。




