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生命の覚悟  作者: シュメル
1/1

非現実

あー、眠い。

大体眠い時に限って風呂入らなきゃいけないし歯磨きしなきゃいけないし今すぐ寝れる状態ではない



ふーー

やっとベッドの中だ。

よし。今日こそは今まで以上に自由に動き回ってやる。

眠ってる時に見る夢は自分にとって最高のゲームだ。

VRが出てくるずっと前からVRしてるようなもん。

いや、VRなんかよりも遥かに上回っていると思う。


なぜなら五感も全て感じるし

空だって自由に飛べる

ただ自分以外の誰かに同じものを共有しわかり合うことが出来ない事がなんかなー。楽しいことは共有したいだろ。



自分の見てる夢、とてつもなくストーリー性が高くて

いつも周りの人たちに話すと"そこまで覚えてない"とか"そんなストーリー性がない"とか"知らない人とか知らない場所とかあんまり出てこない"って口を揃えていう。稀にいるがそこまでではないようだ。

みんなも同じようなの見てるのだと思ってたけど

自分の夢はかなりファンタジーじみて、ストーリー性が高いようだ。







「…なんか今日は空が赤いな」


あぁ、もう夢の中か………

ウズウズしてきた。




とりあえずトボトボ歩いてるけどちょっとした坂道になっていた。丘に向かって歩いているようだ。

いつも夢は忽然と突然に始まる。


天気は曇ってはいないが雲がまぁまぁある。

しかし空も見える。

地面は乾き気味。

草は生えておらず枯れきった枝だけになった木が所々に生えている。

丘の上には白い崩壊した神殿のようなものが建っている

神殿は白いが他の全ての景色が赤い…

微妙に薄さと濃さで別れてはいるが。



つい景色に見惚れて立ち止まった


「血を吸うか?」


「は…?」


真上から男の声がした

見上げなくてもわかる。視界の上隅にいる。


「俺の血を吸え。早く」


「何で」


「おら」


と言うとそいつは真上から目の前にフワッと降りてきて首を私の口元に近づけてきた。

わかりやすく言うと ハグする形で首をわざと口元に寄せてる感じだ。



自分はヴァンパイアではない。

そんなこと言われても牙もないし吸う気が特にない。

その筈だった




プチっ



「ッフ…そんなに我慢出来ないのか?」



チューーーー


「………」


チューーーーーーー


「おい、」


チューーーーーーーーーーーー



「…オイ」


「っは……牙…いつ生えたんだ?つか、んめぇ…」


「ッフ…ッハッハッハッハ」


舌で確認した。ホント、牙生えてるし…

ふと我に帰り首を差し出してきた男のことを見上げる


「誰だよオマエ」


「おいおい、もう忘れたか?」


という男は高身長。

焦げ茶の短めの髪をかきあげた様に軽くオールバック。

肌の色はグレー。人外か?

割と良さそうなお洒落なスーツを着ている。

顔立ちは……

「……」

整いすぎィー

目の色が黄色く光った様な色なのが気になる。

どういう原理で光ってんだ


光った目に釘付けになっていると


「ッフ…惚れたか?」


「いや、誰だっけ会ったことないはずなんだけど夢ん中だしどいつもこいつも初めてだろ」


「…まぁそのうち思い出すだろ。そんな事よりおめでとう。お前は今から念願の人外の仲間入りだ」


念願のって普段から人間やめたい人外になりたいとか思ってたことなんで知ってんだよw


「あー もしかしたらお前の血を吸ったからヴァンパイアになった的な?」


「そうだ」


「つかお前一体何者なんだよ」



「ん〜そうだな〜。それはお前が思い出すまで内緒にしておく」


「何で」


「今は言えないんだ。因みに俺の名前もまだ明かせないからネロ、お前が好きに名前つけていい」



「………グリムって呼ぶ。お前の本当の名前が分かるまでの間だ。」



「ッフ 了解だ。さて、行くか」


なんで私の名前を知っているのかそもそもの謎。

そしてそこを問わないという選択肢にしたのはこいつがどんな反応するのか、後に何か言い出すのか。

若しくはこいつが何故私が名前を呼ばれ私の名前を知っているのかと聞いてこないのか と疑問に思っているかもしれないな。

少し遊んでやる。


「どこに?」


そう聞くとグリムは空の向こうを見ながら目を細めた。


「切り替わりの時間だ。俺たちがどこに飛ばされるのかは俺にもわからない。ここはお前の世界だからな」



成る程。忘れがちだがここは私の夢の中だ。

念じようが念じまいが急に夢が別の夢に切り変わる

それを操れるようになればいいが今のところ自由に身動きや特殊能力が使えるだけで世界全てを変えることが出来ない。寧ろそこまで出来たら夢から覚めずに一生夢の世界で生きて行くだろう。






こいつがいる時、いつも夢の切り替わりを事前に教えてくれる

そして切り替わってもこいつだけ一緒なんだ






つまり

こいつと私は今日初めて出会った者同士ではないという事








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