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偉大な愛
長年にわたって時間と空間に関する研究を続けていたF博士は、プライベートではエルフ好きが集まるエルフ愛好会の会員でもあった。このエルフ愛があるからこそ、公私ともに充実した毎日を送れるのだとF博士は思っている。
エルフ愛は偉大なのだ。
ある時、F博士はB助手を伴い、いつも通り愛好会の会合でエルフ愛を語り合っていたのだが、同会員のT氏が描いた絵を見て怒り出した。
『エルフ三十六景』と題されたその絵は、さまざまな角度から巨乳エルフを描いたものであったのだ。
「こんなエルフの描き方をするとは何事か! エルフとはスレンダーで神秘的な生き物なのに!」
「なにをたわけた事を! この絵は自然を愛するエルフの母性を、巨乳という形で表現しているのだぞ! 芸術の判らぬやつめ!」
「素晴らしいですTさん! 次はぜひ巨乳サキュバスの絵を描いて下さい!」
F博士とT氏は今にも取っ組み合いの喧嘩になりそうな雰囲気であったが、傍で観戦していたB助手の一言でぴたりと止まった。
「ところで、エルフは争いを好まない種族だったと思うんですが」
やはりエルフ愛は偉大だった。