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スーパーロボット

 長年にわたって時間と空間に関する研究を続けていたF博士は、研究の過程で偶然、他星系から飛来した集団を発見してしまった。

 彼らは電磁波や光など、人類の使う探知手段を無効にする高度なステルス技術を使っており、F博士がたまたま作ったタキオン測定器でようやく衛星軌道上に集結しつつあるその集団を見つける事が出来たのだ。

 そして彼らの通信内容を傍受したところ、彼らの目的が地球侵略で、あと一ヶ月もすれば攻撃を仕掛けて来るのだと判明したのだ。


 F博士は慌てて各国政府や研究機関へ通報したが、どこの対応も冷たい物だった。

 普通の手段では見つけられない敵など、信じられないのも当然だ。

 しまいには、提示した画像や音声がF博士のでっちあげだと決めつけられてしまった。


 他人はあてに出来ぬと見切りをつけたF博士は、敵に対抗する為にとびきり強い巨大ロボットを一体、建造する事にした。

 自分ひとりが戦うのなら一体しか動かせないし、そもそも兵器を幾つも作る金などない。F博士は貧乏なのだ。

 1週間後、博士の夢や希望やその他諸々を詰め込み、作れる限りの武装や能力を備えた、最強なロボットが完成した。

 博士は時間が惜しいとばかりに、すぐさま侵略集団の迎撃に向かった。先制攻撃をした方が有利になるであろうし、1人で戦うなど無謀な行動だから、考える前にさっさと行動するべきだと考えたのだ。


 戦いは熾烈を極めた。

 何せ無謀な戦いなのだから、博士は勝つために無茶な攻撃をするし、敵も無茶な反撃をしかける。

 最初は多勢に無勢ではあったが、博士は秘密兵器を惜しまず使う事で敵の数を瞬く間に減らしていった。

 だが、さすがにF博士のロボットも無傷とはいかず、攻撃を受けて段々と壊れていった。それでも博士は怯まなかった。


「たった一機で我々と互角に戦うとは見上げた奴だ。お主に免じて、この星を侵略するのはやめておこう」


 双方ぼろぼろでもうロクに戦えない、という状態になったところで、ようやく侵略集団の大将がそう申し出た。


「うむ、こちらとしても異存はない」


 F博士と侵略集団の大将は握手を交わして停戦条約を結び、侵略集団は自分たちの星へ去って行った。

 こうして地球は侵略の危機を脱し、F博士の元には使い終わった巨大ロボットの残骸と、中身がからっぽになった財布が残ったのだった。



「と、こんな事情があったので、残念なことに今は財布の中身がすっからかんなのだ。どうにかならんかのう」


「ダメですよ博士。納税期限は今月末までです。来月になりますと追徴金が加わりますので、頑張って今月中に税金を払ってください」


 残念なことだが、この危機は巨大ロボットでは何ともなりそうにない。


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