侵食細胞
イシオン
この世界ではそれはこう呼ばれていた。
ありとあらゆる生物の細胞に寄生し身体能力を強化、骨格の最適化、新しい臓器を作製、外皮の変化等宿主を進化させるような働きをした。
この生物は別名「侵食細胞」といい、強制的な進化を宿主に対して行った。この活動により生態系は一変し、草食動物が肉食動物を食い、地を這うはずの生き物が空を舞い、水の中を泳ぐもの達は俊敏に大地を駆け抜けた。そして何よりも注目すべきは、その感染速度である。この変貌を遂げるまでの期間が僅か二週間であった。
生物達の変化に合わせるように各地でも異変が起きた。大地が動いたのだ。立っていられないほどの揺れと不気味な地鳴りと共に洞窟と思われるものができていった。洞窟は概ね地下に深く長くできており、一番の特徴ちしては侵入者を阻むような作りをしていた。イシオンにより変貌を遂げた生物たちは、競うように洞窟へ向かっていった。
後に、この1ヶ月の期間を侵食革命と呼び、この際にできた洞窟をダンジョンと名付けた。ダンジョンの中にはイシオンにより強制的に進化した生物、「魔物」が住みつき独自の生態系を作り上げている。