花
別れは突然だった。
彼は私を置いて行ってしまった。
昨日まで普通に会って普通にさよならして、いつも通りだった。
彼は一通の手紙と花の植木鉢を置いていった。
彼は夢だけを連れて消えてしまった。
あの並木道を二人で歩く事も……あの口笛も……あなたの優しい声も聞く事もできなくなった。
握った手にわずかな温もりだけ残して消えてしまった。
そしてあの別れからいくつもの時が流れた。
時間の波は私から彼の面影も手の温もりもすべて奪って行った。だけど私はあの植木鉢の、一度も咲く事のない花の世話を忘れた事はない。『花が咲いたら……』
あの手紙も今ではどこかに消えてしまった。でも内容は忘れることもなく、ちゃんと今でも覚えている。
『迎えに来るから』
彼はもう戻ってこないかもしれない。
私の事も花の事も全部置き去りにして夢と逃げたのかもしれない……もしかしたら別の女と結婚して子供もいて仲良く幸せに暮らしているからもしれない。だけど私は待っている。
なぜかって?
だって
だって
花はまだ咲いていないのだから。
だから私は彼を待っている。
そして今日も私は花の世話をします。
咲くまで永遠に……
〜あとがき〜
この作品が初投稿っと言うことになります。
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それでは見てくださった皆様、次回作!?で会いましょう