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誰もがハッピーメリークリスマス?いや1部はアンハッピーメリークリスマス;

作者: 篠原つぐみ

ホワイトクリスマス・・・街には雪が舞いサンタに扮した数名はリアカーいっぱいのプレゼントを配り

その傍を1つのマフラーを2人で巻いて寒さをしのぐように寄り添うカップルたちが行き交う。

そんな中に1人、コートの前を手で抑えマフラーをし、手袋を外した手に冬特有の白い息を

吹きかける1人寂しい少女がいた。名はつぐみ。

本当なら行き交うカップルたちのように彼と過ごしている・・・はずだった。

彼は社会人として多忙な人生を送っておりなかなかつぐみに構ってやれることは出来ずにいた。

本当は2人で過ごしたいと思っていたクリスマス。

正月も仕事だと言う。


(ナノ・・・遅いな。)


つぐみが頭に雪をかぶり待っているのは恋人の拿乃倉隼人。通称ナノ。

仕事を早めに切り上げ会いに行くとつぐみをその場に呼び出したのだが・・・


カップルの波は次から次へと右から左へ左から右へとつぐみの横を素通りしていく。

笑い声と幸せな笑顔を連れて。


(本当なら今頃・・・私たちもあの人達と同じように・・・ナノ何やってんだろ。何の連絡も)


そう白い溜息を吐いたその時突然のメル着。画面を開く。ナノからだった。


「From:ナノ

 To ――――

 Sub ごめん

 ―――――――――――――――――

 ―――――――――――――――――

 つぐみんとクリスマス・・・

 過ごしたかったけど仕事・・・

 抜けられなくなっちゃった。

 呼び出しといてごめん。今日は・・・

 やっぱり行けそうにないや。           」


つぐみは携帯を画面を閉じることなく力なく下げる。その両頬に一筋の涙。


(そんなのって・・・ないよ・・・)


そこに突然着信。再び画面を見る。ナノと言う名と彼の番号。

コールが続くところを見ると話したいのだろう。

しぶしぶ出る。


「もしもし」

「ごめんつぐみん。」

「酷いよ・・・謝っても許されない。ナノに会いたくて私・・・親振り切って・・・出てきたのに」

「僕つぐみんとクリスマス過ごしたくて、仕事早く切り上げて行くつもりだった。

 でも・・・無理になっちゃったね」

「無理なら無理って・・・最初から言ってほしかったよ。分かってたら私・・・」

「ごめん。抜けれると思ってたんだ。つぐみん。僕だって本当はクリスマスの夜くらいつぐみんと

 過ごしたいよ。」

「だったら・・・」

「つぐみんも僕を必要としてくれてるけど・・・つぐみんと同じように、僕を必要としてくれる人達が

 いるんだ。」

「ナノ・・・」


泣かないと決めていた。なのに泣いてしまった。女の涙に弱い男の1部ナノはすぐ気付く。


「泣いてるんだよ・・・ね。ごめん。今日は寒いから・・・もう帰って」

「帰れるわけないじゃん。友達とのクリスマス会って嘘・・・ついてきちゃったんだからすぐに

 帰れるわけない。ナノと会えると思ってたのに」

「ごめん。こればっかりはどうしようもないんだ。ハッピーメリークリスマス」

「どこがハッピーなのよ!こんなの・・・アンハッピーメリー・・・クリスマス;;;ナノの・・・

 バカ・・・」


「ごめん」


電話は切れてしまう。力なく下げられた携帯の通話口からは、「ツー、ツー」と悲しい音が続く。

電源ボタンを力なく軽く押したつぐみ。

ツー、ツーを切りたかったのだ。


口元をへの字にし震わせるつぐみの頬を、つたっては落ち雪に溶けていく止まない涙。

依然カップルたちが真横を楽しげに過ぎていく中、雪降る街でつぐみは1人寂しく立ち尽くし

泣いていた。その間なんと一時間。

帰宅したつぐみはすぐさま自室のベッドに横たわる。途端に何故か熱くなってきた体。

息遣いもハァハァゼィゼィしてきた。

寒気を感じ熱を測ってみたつぐみ。38度と目盛りが示している。


「熱・・・出ちゃった」


突然吐き気を催しトイレに駆け込んだつぐみ。

吐き終わるとすぐに眠りについた。そして・・・夢を見た。

1時間泣いていた雪の中。向うの方から駆けてくるのは・・・ナノだ。


「ごめんつぐみん!待った?」

「ううん。私も今来たとこ」

「そ。良かった。ってあれ?つぐみん顔赤いよ。熱でもあるんじゃない?」

「これは私たちの愛の熱と、ナノが来てくれたから嬉しくて照れてんの!」


突然つぐみの額に手を当てるナノ。


「やっぱり熱あるよ。せっかく会えたけど今日はもう帰って」

「いや!こんな熱なんともないよ!いやよせっかく会えたのに」

「つぐみん。帰ってよ」


何故かだんだん怒りに満ちていくナノの顔。


「ナノ?」

「僕は・・・熱のあるつぐみんなんてイヤだ。僕が好きなのは元気なつぐみんだ。そんな熱出してる

 つぐみん・・・僕は嫌いだよ」


頭が真っ白になる。突然消えたナノ。枕を涙で濡らし目を覚ますつぐみ。


(夢・・・か・・・そうだよね。ベタベタしてなんか気持ち悪い。着替えよ。)


夢にうなされ大量の寝汗をかいていたつぐみ。

おかげで熱は少し下がっていたようだが頭はがんがんする。

着替えを済ませ再び眠る。今度は余計な夢を見ないようその日だけナノの事は無理に忘れた。

夢を見ることなく眠ることが出来た。

翌朝快調。あれだけ高かった熱が完全に平熱に戻ったのだ。


ナノからの連絡。電話に出る。


「おはよう。昨日はごめんね。風邪・・・引かなかった?」

「風邪なら・・・もう引いたよ(笑)凄い熱・・・出ちゃった」

「ずっと・・・待ってたの?」

「ううん。泣いてたの」

「・・・バカだよ。つぐみんは。あんな寒いとこにいたら・・・そうなるに決まってるじゃん」

「ごめん。夢の中のなおは・・酷かった。熱ある私はイヤ・元気な私が好きって・・・熱のある私に

 怒った」

「なんて夢・・・見るの?酷いよ」

「ごめん(笑)ただの夢。分かってる。ナノはそんなこと言う人じゃないもんね」

「今日も・・・仕事」

「頑張ってね。ナノを必要としてくれてる人たちのために」

「ありがと。つぐみんももう熱なんか出さないでね。元気なままで。また話そ」

「うん」


電話は切れた。ナノは出勤。つぐみはパジャマを脱げず布団を1枚かぶっていた。二度寝。

とても珍しい。

会えない時間・・・会いたいのに会えない切なさ。会えないのに会おうと呼ばれたくない。

多分・・・誰も。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~あとがき~~~~~~~~~~~~~~

              自分と恋人をモデルに理想を最大限に膨らましながら作ってみました。

              その年には1度だけのクリスマスに共に過ごせなかった悲しい2人。

              そんなカップルを意識してみましたww


会いたいのに会えないwそんな切なさ描いてみましたw


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