5、帰り道の違和感
帰り道、ふと夜空を見上げた。
三日月の横に、一際輝く赤い星が見える。
昨日も見た。いや、一昨日も、同じ位置にあった。
星と月の関係は毎日少しずつ変わるはずだ。
夜空の形は毎日変わる。
それが、三日続けて寸分違わない。
足を止めて、周りを見渡す。
街灯の明かり、看板の影、ビルの輪郭。
どこを見ても昨日と全く同じ風景。
—気のせいじゃない。
もう一度空を見上げた。
ふと星座アプリの存在を思いだし、スマホを取り出してそれを開こうとした。
だが、画面は真っ黒なまま、時間だけが点滅している。
「19:59」
いつまでたっても変わらない数字だけが点滅している。
夜風が吹く。
ふと耳を澄ませると、通りを歩く人の足音が実にそろっている。
まるで軍隊の行進だ。
気配を感じ後ろを振り返ると、数人が同じリズムで歩いていた。
それぞれがスマホをもって無表情にこちらへ向かってくる。
全員あの空洞のように暗い目だ。
胸の奥で、何かが“カチリ”と音を立てた気がした。
朝から感じていた違和感が次々とフラッシュバックする。
恐怖ではない。
ただただ違和感だけが静かに広がっていく。
——やっぱり、この世界はおかしい。
そう考えた瞬間、世界から音が消えた。
まるで、誰かが動画を一時停止したかのように。
すべてが止まったときにふと視界が闇に塗りつぶされていった。
第5話の更新です。
後はクライマックスへ突っ走るのみです。
後3話よろしくお願いします!




