3、昼休みの違和感
午前中は特に何もなく過ぎていった。
「何だったんだあれは…」
朝から感じていた違和感は気のせいだったのかと思い始めていた。
昼休みのコンビニ。
いつもの缶コーヒーを手に取る。俺のルーティンだ。
レジに並ぶと、女性店員がいつものように微笑んだ。
どこにでもいる、優しそうな店員さん。
「温めますか?」
……ん?
思わず店員さんの顔をまじまじと見てしまった。
ふと視線を落とす。
これはアイスコーヒー。さきほどまでしっかり冷やされていたものだ。
「いえ、そのままで」
俺は苦笑いで返す。
よくある言い間違いだ。そう思いたかった。
だけど、コーヒーを受け取った瞬間、違和感に気づく。
彼女の唇が、ほんの僅かに震えていた。
声は出ていない。だけど、確かに動いていた。
「……た、す、け、て」
そう読めた。
心臓がドクンと跳ねた。
冗談だろ? 誰に? 何から?
その時、コンビニの奥の冷蔵ケースがカタカタと揺れた。
誰もその音に反応しない。
店内の空気だけが、ゆっくりと凍っていく。
「お、お客様?」
さきほどの女性店員が不自然な笑顔を浮かべた。
さっきまで震えていた唇が、今はピタリと止まっている。
またあの目だ。空洞のように暗く、笑っているのに笑っていない。
――まるで、“誰かに操作されている”みたいに。
背筋が冷たくなった。
缶コーヒーの冷たさが、指先から心臓へと伝わっていく。
俺はさっと会計を済ませ、店を出た。
ドアのチャイムが鳴る。
「いらっしゃいませー!」
俺が出たのに?見てたよな?
ふと店内を振り返ると、そこには誰もいなかった。
(なんなんだこれは…)
どうしようもない不安感にさいなまれながら早足で会社に向かった。
手の中の缶コーヒーがただただ冷たかった。
最終話まで話の流れはできあがっているのですがどうしても脱線してしまいます。
なんとか最後までたどり着きたいと思いますのでよろしくお願いします!




