第24話
「フェルカナは、大人になったら何になりたいの?」
「どうして?」
「いや、単純に気になって。その年でそんな強いならやっぱ冒険者?みたいのになるの?」
エリシアとレオンを思い浮かべる。他の冒険者がどんな人たちでどんな仕事しているかはよく知らないが、二人は格好良かったなぁ。
「冒険者ね…まあ、憧れないこともないけど多分ならないかな。」
「へー。なんで?」
「うーんと、まずユイは冒険者って何をする職業かは知ってる?」
「魔物討伐と護衛?」
「よく知ってるね。」
「ここに来るときに雇ったから。」
「そっか。で、まぁ魔物討伐と護衛ってことはほぼ戦いじゃん?ってことで冒険者って戦いが趣味みたいな人が多いんだよ。もしくは何かしらの事情がある人。」
ああー。
「子供の頃はみんな憧れるんだけどね。」
いや、君も子供やろがい。
「じゃあ、何になりたいの?」
「普通にお父さんみたいな狩人かなぁ。この村で暮らせるなら農民でも商人でもいいけど。」
「フェルカナはこの町が好きなんだね。」
「うん。」
しばらく進むと、急に周りに木々が増えてきた。
「この辺から魔物とか出てくるから気を付けてね。」
「分かった。でも、もし危ないのが出てきてもフェルカナが助けてくれるんでしょ?」
私はアイテムボックスの中から散弾銃を出し確認しながら言う。銃は暇な時に少し練習していたので撃ち方は分かる。ただ、対人はともかく大型動物相手にそこまで有効かわからないし、当たるかどうかもお祈りだ。アイテムボックスには銃入れ放題で、手に持たなくてもすぐ撃てるのはありがたいが。
「そうだね。」
フェルカナは少し笑う。
「まあ、魔獣とかが出てくることはほぼないから大丈夫だと思うよ。」
フラグですか?
あと、フェルカナは私が妙なものを出すのにはもう慣れたらしく銃もチラッと見ただけでほぼ無反応だった。驚いてくれると思ったのに。
「フェルカナ、あれ。」
「うん。分かってる。」
そこには一匹の動物、地球でいうと鹿っぽいかな、がいた。もう鹿でいいや。
フェルカナが矢を放つと、矢は真っすぐ飛び足に刺さった。当然鹿はすぐに走り出そうとするが、矢のせいでうまく走れない。その隙に、フェルカナは鹿のもとに駆け寄り躊躇なく首を切り裂く。
おおうちょっとグロい。でも、この世界で生きていくなら慣れなきゃね。
その後、血抜きをし私のアイテムボックスに入れた。やっぱ持ち運びの必要がないって便利だわー。時間停止で腐ったりもしないし。
「そうだね、助かってるよ。」
「え、心読んだ?」
「いや、なんとなく。でも、一回で複数の獲物が取れるってことは少ないんだよね。」
「そうなの?」
「うん。一匹獲物を仕留めたら引き返すっていうのもあるんだけど、一匹も見つからないことも珍しくないから。」
まあそっか。そんなポンポン見つかったら誰も苦労しないよね…ってあれ、獲物じゃね?
「ねえねえ、あれ違う?」
「どれ?」
私は木の上にとまっていた鳥を指差す。見た目は…うーん。何だあれ。私の知ってる鳥に似ているのはいないな。なんというか、全然地球でその辺にいてもおかしくない地味な見た目してるんだけど、何に似ているかといわれると難しい。
「…ユイは動物を引き付ける力でも持ってるの?」
え、私そんな力持ってたっけ?
「いや、持ってるわけないやん。」
「だよね。まあ、ラッキーってことで。」
と言いながらフェルカナが放つ矢はやはりまっすぐ飛び鳥に命中する。
「よくそんな当てられるね。」
「これ魔法使ってんだよね。」
「魔法?」
「ああ、魔法っていうのは…」
「あれでしょ?数人に一人が持ってる気の流れってやつ。」
「よく知ってるじゃん。で、僕の魔法は飛ばす系のものをほぼ狙ったとこに飛ばせる?的なの…だと思う。」
「思うって、自分の魔法でしょ。」
「まあそうなんだけど、これ魔法かも怪しいんだよね。」
「どゆこと?」
「何というか、普通の火とか水とかの魔法とは根本的にとは違うじゃん?」
「そうね。」
「これ生まれつきだし、他の魔法も使えなそうだから一応そういうことにしてるけど、本当のところはわかんない。」
「確かに、単にそういう才能かもね。てか、魔法が使えるなってどうやってわかるもんなの?」
「子供のころに無意識に使って親が気づいたり、大人になってから『あれ、これみんなできるもんじゃないの?』ってなって魔法だと知ったり。特に調べる方法とかはないけど、生きてればいつか分かるよねって感じ。」
なるほど。いきなり赤ちゃんが火とか出すところ想像したらちょっと笑える。まあ私はこの世界で生まれたわけじゃないので使えないんですけどね。
鳥の処理を終え、そっれ私のアイテムボックスに突っ込んで再び歩き出す。ちなみに、鳥の処理は私も手伝わせてもらった。自分でやってみると、なおさらフェルカナの手際の良さが際立つ結果となったけど。
「…」
フェルカナが立ち止まる。
「ん?どした?」
「あれ。」
フェルカナの視線の先にはさっきの鹿がいた。さっきからの見つかりすぎじゃね?
「…本当に一匹も取れない日とかあるの?」
「おっかしいなぁ。まあいいや、捕まえるね。」
「じゃあ、そろそろ昼ごはんにする?」
鹿の処理が終わり、フェルカナは言った。
「そうだね。私の食べる?」
「それでもいいけど、せっかく狩りに来たんだしさっきのやつ食べようよ。」
「たしかに。」
ちょっと忙しくて投稿が遅れました。ごめんなさい<(_ _)>




