第23話
「ここだよ。」
歩いて5分くらいのところにその家はあった。んー、意外ときれいじゃんね。つい最近まで人が住んでたって感じ。もしくは村長さんが掃除とかしてくれてたのかな?平屋だけど、大きさもフェルカナ商店と同じくらいでまあまあ広い。
「…本当にこれもらっていいの?」
「こんなところに新しく住む人なんてほとんどいないからね、人が増えてくれるなら空き家ぐらいいいんだと思うよ。」
確かに、地球でも移住してくれたら家無償提供みたいな場所あったような気がする。まあそれでもありがたいことには変わらない。
「っていうか、生活費はどうするの?ここで商売するの?」
「私ここから離れた場所に物を送れる箱を持ってて、他の場所の店でお金稼げるからここではしないかな。」
「そっか、良かった。」
「なんで?」
「ユイが店開いたら、ここにもともとある商店つぶれちゃいそうだから。」
「あ、確かに。」
当たり前だけど、自分のせいで他人に迷惑かけるのは嫌だからね。他人が悲しむのも、恨みを買うのも。
「んじゃあ、早速住む準備しますか。」
「手伝おうか?見られて困るものとかあったら僕戻るけど。」
うーん。もうフェルカナは私の事ほとんど知ってるから見られて困るものはないけど、まだなんも決まってないからここから配置とか決めて…とかやってると夜になりそう。っていうか今日で終わるわけない。それまで引っ張るのはさすがに申し訳ないし、もし夜になっちゃうと二人きりでここに泊まることになるからダメだね。
「いや、アイテムボックスがあるから物を運ぶ必要とかもないし、どうするかも何も決まってないからとりあえず一人でやるよ。ありがと。」
「そう、わかった。じゃあがんばって。」
「さて…どうするか。」
まずは掃除するとして、家具はなー、電化製品を使うとしたら手回し発電かソーラーパネルくらいしか思いつかないけど、人力は大変すぎるしソーラーパネルは目立ちすぎるからほぼ使えないんだよね。まあとりま他終わらせるか。
「ああー、掃除終わったー。」
掃除始めたの昼なのに、もう外真っ暗でどんくらい時間が経ってるかもわかんないよ。掃除に熱中してるうちに細かいところが目についてきて、引くに引けなくなっちゃった。…今日はもう寝よ。
「ユイ、生きてるー?」
うーん。ん?あれ、フェルカナ?
目を覚ますと、目の前にフェルカナの顔があった。
「何でここにいるの?」
「進捗どんな感じかなーって思って見にきたら、なんかユイが床に倒れてたから起こした。」
「え、今何時?」
「なんじって?」
「あ、ごめん。えっと、昼ご飯まであとどのくらい?」
「さっき昼ご飯食べてから来たよ。」
「え。」
まじか。どんだけ寝てたんだよ私。てかどんだけ掃除してんだよ。
「起こしてくれてありがと。ちょっと昨日掃除に熱中しすぎて。」
私は重い体を起こし、昼ご飯を作りながら話す。昼はカップ焼きそばでいいや。お湯をカセットコンロで沸かす。
「そんな汚れてたの?」
「いや、別にそんなだったけど一度やり始めたら止まらなくて。」
「あー、わかる。始めると終わるまで寝れないよね。」
「やっぱそうだよねー。」
これは異世界共通か。…ん?
「もしかして、食べたいの?」
フェルカナの視線がカップ焼きそばに向いている。
「…うん。」
まあこの年の男の子ならこれが目の前にあって、食べてみたいと思わないわけないか。
「いいよ、食べて。」
「いいの?」
「うん、いくらでも持ってるし。」
「やった、ありがと!」
「あ、これフォークね。」
この世界、みんなフォークスプーンナイフでご飯を食べてて箸が存在しないんだよね。いつか箸も広めたいなぁ。
「モグモグモグ。」
「ズルルルルー。」
「うわ、めっちゃ美味しい!」
「だよね。」
この味が嫌いとかいう人見たことない。
「でもなんか、健康に悪そうな感じがする…。」
よくわかってるじゃん。
「っていうか、それ何?」
「ああこれ?これは箸っていって、私の世界でご飯を食べるために使われてたんだよね。」
「へー。その細い棒二本でよくつかめるね。」
「慣れれば結構便利だよ。」
「ふーん。」
「モグモグモグ。」
「ズルルルルー。」
「ごちそうさま、美味しかった。」
「喜んでもらえてよかったよ。」
「じゃあ、帰るね。ばいばーい。」
え、まじでなにしに来たん?
まあいいや、家具を置いてきますか。つっても置くものって、ベッドとキッチン用の机くらい?トイレは村の共同のやつだし、アイテムボックスあるんだから極論何も置く必要ないまである。家っぽくしたいから置くけど。
数時間後
「…」
家にあるもの:ベッド、キッチン、机、隣の部屋に水浴びとか洗濯用の容器2つ。
どうなん?これ。でも、大容量収納魔法持ちの家はこうなるはずなんだよ。物を置く必要がないから。まあ、とりあえずこれで完成ってことで。
…もう夕方か。フェルカナのとこ行くのは明日からかなー。
翌日
「フェルカナ、ユイ来たぞ。」
「ちょっと待って、すぐ行く。」
ドタドタと階段を降りる音がする。
「お待たせ。」
「いや全然。じゃあ行こっか。」
「二人とも気をつけるんだぞ。」
「はい、お父さん。ありがとうございます。」
「じゃあ、いってくるね。」
私とフェルカナはお父さんに手を振りながら家を出る。今日は一緒にデート…じゃなくて、森の中で狩りについて教えてもらう。
私がフェルカナにこの世界について教えて欲しいと頼むと、少し驚きながらも引き受けてくれた。内容はフェルカナ一家が決め、フェルカナにとっても訓練、勉強になる内容らしい。
もう本当に、ありがたい限りです。




