第21話
あ、そういやフェルカナ商店とネリヤさんのとこに商品送んなきゃ、完全に忘れてた。
私は少し奥に入り、人に見つからない場所でアイテムボックスから転送箱を出した、と同時に手紙が出てきた。
アイテムボックスの仕様として、中を時間停止中にして転送箱を入れておき、その間に物が送られるとアイテムボックスからだ出した瞬間物が出てくる。ちなみに、時間を進めておくとアイテムボックスに自動で収納される。
手紙はネリヤさんからだった。「アヤ」の数種類がなくなりそうだから送ってほしいと。書いてある日付は3日前。…ごめん、もう忘れないようにする。
私は商品を出し、転送箱に入れていく。
「ユイちゃーん、何してるの?」
「ひゃっ!」
その時、後ろから声がした。あわてて後ろを振り向くと、そこにはリュミエラがいた。
「え、リュミエラ?なんでここにいるの?」
「ちょっと王都で気になることがあってね。中に入らず様子を伺いたかったから、この森の中で暮らしてんのよ。」
「森の中?ご飯とかはどうしてるの?」
「そんなもの私には必要ないわ。」
「…どういうこと?」
「まあまあ、そんなことどうでもいいじゃない。」
「いや、いいわけないでしょ。」
「そうねぇ。じゃあ、その大量の商品がどこから出てきたのか説明してくれたら教えてあげるわ。あ、嘘はやめてね、お姉ちゃん泣いちゃうから。」
…ここで「収納魔法でしまってたものを出した」とか言う選択肢はないね。
この人には嘘を言ってもバレそうだし、友達だしね。
「実は、私別の世界から来たの。」
「別の世界?」
「なんというか、すごい離れてるとかじゃなくて次元が違うって感じの場所?みたいな。」
「その世界ってどんなところ?」
「魔法はないけどここより文明が進んでるかな。それがいいことか分からないけど。」
「へー、一回見てみたいなぁ。」
「驚かないの?てか信じるの?」
「まぁ、普通の人じゃないことは分かってたからね。」
「なんで?」
「この年で1人で商売しているところもそうだけど、何ともいえない違和感を感じるのよ。」
「…そんなに変かな、私。」
「私だから気づくだけで、普通の人なら見過ごすと思うよ。で、その商品はどこから出てきたの?」
「なんか、地球の商品が頭の中で買えるの。」
「?」
リュミエラは首をかしげる。そうなるよね。
「いつでもどこでも、お金を払えば異世界の商品が何でも買えると思ってくれればいいよ。」
「え、やばくないそれ。」
「やばいよ。」
「てか、なんでこの世界来たの?」
「それが、気づいたらここに転移してたんだよね。この能力も元々持ってたとかじゃなくて来た時手に入れたし。」
「まじ?それは…なんと言えばいいか。」
「もうこの世界でやってくしかないって思ってるしから大丈夫だよ。実際にこんなこと体験して、人間って適応力高いんだなって思った。」
「そっか。それならよかったよ。」
「じゃあ、私のこと話したしリュミエラのことも教えてよ。」
「私、ヴァンパイアなんだよね。」
「え、なんて?」
「ヴァンパイア。」
リュミエラは自分のことを指差しながら言う。どうやら聞き間違いではないようだ。
「ヴァンパイアってあれ?人間の血を吸うやつ?」
「ほかに何があるのよ。」
やっぱそれだよね。でも納得は出来た。勝手な想像だけど、ヴァンパイアって人間より長く生きれそうだし、強そう。普通のご飯もいらないのかな?
「その言い方だと、ヴァンパイアってこの世界だと結構普通にいたりする?」
「そうねぇ、街中にはほとんどいないかな。それも人間に擬態できる個体だから普通の人はほとんど気づかないわね。普通のヴァンパイアは人間がいないところに集まって暮らしてるの。」
「人間とは対立してるってこと?」
「うーん。正式に対立してるわけじゃないけど、まあヴァンパイアだってばれたら下手すると討伐されるわね。」
「討伐?殺されるってこと?」
「まあ下手したらね。普通ならヴァンパイアの方が強いから最低でも逃げることはできるし、別にヴァンパイアを全員が殺したいと思っているわけでもないから。」
そういや、バルザーク領を出る前に私に話しかけてきた人もヴァンパイアを滅ぼすとか言ってたっけ。
「なるほどねー。あとさ、さっき言ってた王都の気になることって何?」
「あーそれね…。最近さ、ヴァンパイア滅ぼし隊みたいのができたんよ。」
やっぱそれかい。
「そんな名前だったか知らんけど、私も入りませんかって声かけられた。」
「…入ってんの?」
「いやいや、ヴァンパイアがどんなのかも知らなかったのに入んないよ。」
「よかったー。もし入ってたら、口封じするところだったわ。」
え?
「冗談よ。」
よかった。
「で、そいつらの何が問題なの?」
「そいつらは隠れて暮らしているヴァンパイアまで滅ぼそうとしているのよ。そして、王都の近くの森の奥にある集落、普段なら人間が入ってこないようなところで武装した人間を見るようになったらしいの。」
「それってその集落が見つかって、襲われそうってこと?」
「まあそうね。でも、普通の人間なら私何百人相手でも勝てる自信あるけど、襲う気がないのにいのにこっちから攻撃したらあれだから、監視してるって感じ。」
「なるほどね…なんかあったら、頼ってね。私に何かできるか分からんけど。」
「ええ、頼らせてもらうわ。」
「私、ここから4時間くらい歩いた…」
「ユイの居場所はわかってるから大丈夫よ。」
「え、なんで?」
「あ。」
「…」
「…」
「…じゃあ、またね!」
「おいこらまて。」
逃げた。果たして、これは素なのかすべて演技なのか。まあ何でもいっか。
じゃあ、フェルカナんとこ行きますか。




