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異世界転移したけど、地球の通販アプリが使えるので商売します  作者: すぱーく


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第2話

「フェルカナ、ちょっといい?」


私はフェルカナの部屋の扉をたたく。


「ユイ?どうしたの?」

「ちょっと話したいことがあるの。」


と言いながら私はフェルカナの部屋に入る。


「実は、私記憶喪失になんかなってないの。」

「えっ?」

「私、この世界の人間じゃないの。気づいたら昨日の平原にいて、そこがどこかもわからなかった。」

「……異世界から来たってこと?」

「うん。地球っていうところ。」

「へー。異世界人か。なんかかっこいいね。」


フェルカナは内心とても驚いていた。ユイに質問したいこともたくさんあった。でも、何も聞かず軽く受け止めたように見せたのはフェルカナなりの優しさだった。


「…信じてくれるの?」

「出会ったときからユイは不思議な雰囲気をしていたし、なにより今の表情でうそをついているようには見えないからね。」


正直、信じてもらえないと思っていた。地球の商品を見せればいやでも信じるしかないからそれでもよかったけど、信用してもらえたことはやっぱりうれしい。


「ありがとう。」

「何が?」

「いや、なんでもないよ。」


「あと、地球のもので試してほしいものがあるんだ。」

「異世界のもの?」

「うん。これなんだけど。」


と言いながら私は150Gのコーラをマルカリで購入し、フェルカナに手渡す。


「…なにこの黒いの。毒?」


そっか。黒い飲み物なんてこの世界にはないか。


「いやいや、毒なんて渡すわけないじゃん」

「でも、黒い飲み物なんて見たことも聞いたこともないよ。」

「じゃあ、私が半分飲むからあと飲んでみて。」


と言いながら私はコーラを半分ほど飲む。


「そそそれって間接キス…」


ん?なんかいった?


「はい、飲んでみて。」


フェルカナは少しの間迷っていたが、やがて意を決したように飲んだ。


「っ!なにこれ、おいしい!」

「でしょ?で、王都でこれを売ろうと思ってるんだよね。」

「これなら売れないわけないよ…王都で?」

「うん。だから明日この村を出ようかなって。」

「…村を出るんだ。」

「うん。」

「…もう決めたんだよね。」

「…うん。」

「そっか。また会えるかな。」

「きっとまた会えるよ。」

「…じゃあ、今日たくさん話そうね!」


フェルカナは笑顔を作る。


「そうだね!」


唯は、いつかこの少年に恩返しをしようと心に決めた。




2時間後


「あっそうだ忘れてた、フェルカナ、この国のお金について教えてほしいんだけど」

「お金?種類とかってこと?」

「うん。あと実物を少し見せてほしい。」

「いいよ。ちょっと持ってくるね。」


と言いフェルカナは引き出しから袋を取り出す。


「えーっと、まずこれが銅貨。大体銅貨5枚で1食分。でそれを100枚でこの銀貨と同じ価値。銀貨1枚あれば、まあ宿に2、3泊くらいできるかな。それにをさらに100枚集めると金貨になるんだ。この家に金貨はないけどね。」


フェルカナは説明を続ける


「で、その金貨を1000枚集めると白金貨っていうのになるらしいんだ。まあ国同士のやり取りとかに使われて市場には出ないから、見る機会もほとんどないよ。」

「なるほどねー。…ちょっと銅貨1枚借りるね?」


私は、銅貨をアイテムボックスに入れマルカリを開く。すると、資産のところが


「資産:14800G」


となっていた。たしかさっきまでは14700Gだったはずだ。


「ふーん。なるほどね。」


つまり、お金をアイテムボックスにいれるとそれに伴ってマルカリの資産も増えるということ。銅貨が100Gということは、銀貨は1万G、金貨は100万Gということだろう。


「あっ。これありがとう。」


私は銅貨を返す。


「そういえば、フェルカナのご両親には異世界から来たことなんて説明しよう。」

「あー。とりあえず記憶が戻ったって言った方がいいかもね。説明が長くなりそうだから。あとで僕から本当のことを言っておくよ。」

「そっか。ありがとう」

「うん。」

「「…」」

「「ふぁーあ。」」


私とフェルカナは同時にあくびをした。顔を見合わせ笑う。


「眠くなってきたね。」

「そうだね。じゃあ、そろそろ寝る?」

「うん。おやすみ。」


私はベッドに入ると、すぐに寝てしまった。




その頃のフェルカナ


(え、ん?隣で寝るの…?うわ、心臓うるさい…聞こえてないよね?いや、聞こえてたらどうしよう…!)

(距離、近い…!でも動いたら変に思われる?いや、動かないと逆に…ああもう、どっちだよ!)

(落ち着け、落ち着け…でも、ちょっとだけ…嬉しい…かも)




「おはようございまーす。」


朝、私は1階に降りみんなに挨拶をする。


「ああ、おはよう。」

「おはようユイちゃん。朝ごはんできてるわよ。」

「…」


お父さんとお母さんが挨拶を返してくる。


「ユイ、本当にもう行っちゃうの?」


みんなと朝食を食べていると、フェルカナが聞いてきた。


「あらユイちゃん、もう出ていくの?」

「しばらくいてもらっても全く構わないんだぞ。収納魔法にも助けられてるしな。」


2人は驚いたような表情をする。


「フェルカナにはもう言ったんですけど、実は私記憶が戻って。」

「そうなのか。」

「はい。私は商人で仲間と一緒に王都に向かっていたんですけど、熊の群れに襲われてはぐれてしまって、なので急いで王都に向かわなければいけないんです。」

「そうか、記憶が戻って目的があるなら私たちが引き留めるわけにもいかないな。」

「ユイちゃん、気を付けてね。」

「はい。短い間でしたがありがとうございました。また会えることを願っています。」




準備を終えた私は、村を出る前にフェルカナに話しかける。


「フェルカナ、またいつか会おうね。」

「ああ、昨日神様にお祈りしたからね。絶対会えるよ。」

「うん。じゃあ、元気でね!」


私は村を出た。




「はぁ…はぁ…」


フェルカナのお父さんにもらった地図を頼りに王都へ向かうこと4時間。ようやく門が見えてきた。


「1時間って、全然1時間じゃないじゃん!」


フェルカナのお父さんは、王都まで大体1時間と言っていた。ただしそれは"フェルカナのお父さんの足"で歩いて1時間だったらしい。村から王都までの正規の道は整備されたから猛獣とか出なかったのはありがたいけどさぁ。




門の前には、検査待ちの長い列があった。


「うえ~、ここに並ぶのかよ。」


前のほうに並んでいる人に聞いたところ、かれこれ3時間ほどは並んでいたとのこと。早速フェルカナのところに戻りたいなとか考えだしたとき、ふと周りを見てみると、数人、屋台を出している人がいた。売っているものは水や軽食などだ。


…もう私もここで商売するか。


私は、でっかいテーブル(段ボール製)を買い、そこにコーラをいれた紙コップを置いてった。何をしてるかって?試供品だよ、試供品。コーラなんて書いても誰もわかんないから1回無料で配って、その後大量購入してもらおうってこと。ちなみに販売価格は500mlで銅貨5枚、つまり500円相当だ。




準備が終わり、〈1人1杯まで無料〉という看板を立てると、さっそく人が集まってきた。


「これ、ほんとに無料なのか?」

「はい。1人1杯まで無料で提供しています。気に入ったらぜひ買ってくださいね。」

「…」


だが、手を伸ばすのにはためらっている。やはり、黒い飲み物なんていうのは見たことがないから、躊躇するのか。そう思ったとき、おそるおそるといった様子で一つの手が伸びる。そちらを見ると、30歳くらいの男の人だった。物ををたくさん積んでいるところを見ると、商人なのだろう。

皆がそこに注目する。男が目を見開いた。


「ぷはぁっ…なんだこれ!」

「ど、どんな味なんですか?」


他の人々がその男に質問を投げかける。


「こ、これは…甘い!甘さが舌に広がって、まるで黒糖を溶かしたようだ。しかもそれでいてしつこくもない。」


と、食レポのような反応をしてくれる。


「えっそんなに?」

「ちょっと試してみようかしら。」


と、次々に試供品に手が伸びる。


「うわぁ、おいしい~」

「このシュワシュワ、癖になりそうね」


反応は上々のようだ。


「お嬢ちゃん、これ売ってくれ!」

「私にも私にも!」


すぐに私の前に人が集まる。


「はいはい押さないでくださーい。全員分ありますから。」

と言いつつ次々にコーラを売っていく。




…5時間後


「はあ、、疲れたぁー。」


私は片づけをしながらついそうつぶやいた。おそらく2000本ほどは売っただろうか。最後の方にはうわさを聞き付けたのか王都の中からも人が出てきて大変だった。資産は70万くらいになったけど。

…ちょっとやりすぎたかな。ちなみに一応でかい収納魔法持ちだとばれないように後ろに段ボールででっかいスペースを作ってそっから出していたように見せてたから、ずっと観察していた人じゃないと分からないと思うけど。観察していた人いたかな?

アイテムボックス内の資産をこの世界のお金として出すときのお金の種類は自由に選べまするっていう仕様です。

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