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異世界転移したけど、地球の通販アプリが使えるので商売します  作者: すぱーく


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第16話

少なくとも裏切られる前はうまくいっていたことから素人の私よりも商売のセンスはあると思ったので、店内の改装や配置はネリヤさんに全部任せた。それと、必要ならお金も貸すと伝えてある。「アヤ」で失敗するはずないし、ガラントさんの信用もあるからだ。


私はネリヤ商店を出たあと他の商店を一つずつ見て回り、転送箱を探すことにした。バルザーク領のことも把握できて一石二鳥だしね。




4時間後


はい。もう数時間は探したと思うけど、いい商品は見つからなかった。他の面白そうな商品とかおそらく手紙用であろう小さい転送箱はいくつか見つかるけれど、それだと商品は入らないんだよね。金貨20枚で2つ買えたし、そこまで貴重なものじゃないと思うんだけど。…いや、1つ1000万ね。貴重か?もう金銭感覚狂っててわからん。


まあいいや。暗くなってきたし、もう宿戻ろう。




宿の夕食はとても豪華で美味しかった。地球のよりも調味料とか作り方は適当そうだが、素材がよく食べたことがないよう味のものが多いので、食事楽しさは遜色なかったと思う。最近カップラーメンとかレトルトしか食べてなかったから、これが毎食食べられるのは嬉しい。




部屋に戻り、私はフェルカナ商店への最初の商品補充をした。そのついでに、今使っているのと同じかそれより大きい転送箱があったら、お金は送るから買ってほしいという手紙も入れておく。やっぱり物は王都に1番集まると思うんだよね。


とかなんとか考えながらベッドでごろごろしていたら、一瞬で


「分かりました!」


と返信が来た。みんな返信早くない?ありがたいけどさ。




5日後、私はネリヤ商店の様子を見に行った。


ちなみにこの5日間は転送箱を探していたが、結局見つからなかった。残念。




「こんにちは。どんな感じですか?」


私は雰囲気が変わっているネリヤ商店の扉を開けた。というか、私からお金を借りずにここまでできるということは、ネリヤさん結構現金持っていたな?


「あ、ユイさん!もうすぐ改装終わるので、今日からもう販売できそうですよ。」


アヤは店の外からも見える目立つ場所に置いてあり、それで人目を引く様な作りになっている。そして店の前には「アヤ」取り扱っています、という張り紙。これなら売れそうだね。


「よし、準備終わりました!じゃあ店開きますね。」

「あの、いろいろ手伝いますので、私も今日だけここにいていいですか?ちょっと様子を見たくて。」

「もちろんです。むしろ1人だと少し不安なので、いてくれるとありがたいです。」

「ありがとうございます。あ、ユイが「アヤ」を提供したってことは言ってもいいですけど、ここにいる私がユイってことは言わないでくださいね。」

「わかっております。」


ネリヤさんの許可を得たので、私は店の中でバイトするとにした。これならリアルタイムで在庫の補充もできるしね。




5分後、1人目のお客さんが入ってきた。宣伝はしてないので、いきなり客が殺到するなんてことはない。


「こんにちは。」

「いらっしゃいませー。」

「カイエルさん、いらっしゃい。」


ネリヤ名前を呼んでいるし常連さんかな?


「ネリヤさん。この「アヤ」の商品たち、どこから手に入れたんですか?」


私が置いたのは、「アヤ」の中でも特に売れ行きが良かった数種類。いま、私以外から入手するのはかなり難しいはずだ。


「じつは、作っている方に直接売ってもらったんですよね。」

「作っている方というと、ユイさんですか?」

「ええ、よくご存じですね。」


それな、なんで知ってるの?


「いま王都で騒ぎになっているんですよ。「アヤ」を売っていたユイという方が王都から出てどこかへ消えたって。私も王都から来た人に聞きました…。…ん?ということは、ユイさんは今バルザーク領にいて、ネリヤさんはユイさんにお会いしたとことですか?」

「まぁ、そういうことになりますね。」

「本当ですか!私も会いたいです。紹介していただけませんか?」

「うーん。一応聞いてはみますが、難しいと思いますよ。」

「そうですよね。無理言ってすみません。」

「いえいえ。」


ネリヤさん、ナイス対応。


「あれ、そういえばこちらの可愛いお嬢さんはどなたですか?」


カイエルさんと呼ばれていた男性は、次にこちらを向いた。


「ああ、この子は今日だけバイトで入ってくれる子ですよ。「アヤ」の入荷でお客さんが増えそうなので。」

「そうですか、確かユイさんにも若い女性でしたね。」

「…」

「…」

「…」

「まさかそんなわけないですよね。」




それからぽつぽつとお客さんが来始め、午後になって話が広がったのか一気にお客さんが増えた。だが、私もネリヤさんもこれくらいの数のお客さんは経験済みなので楽々捌いていく。中には本当が疑ってくるお客さんもいたが、そこは実物の強さだよ。





「いやー、こんな数のお客さんを見たのは久しぶりですよ。本当に感謝してもしきれません。」

「いえ、こちらこそいきなり来た怪しい奴を受け入れていただきありがとうございます。」

「いや、正直最初は疑っていましたよ。また私を騙す奴が来たのかな?と。」


そりゃ一度裏切られてたらそういう考えにもなるよね。


「でも、もう失うものはなかったですし、ユイさん可愛いですからね。」


!?


「そんな子が人をだますようなことするわけないと思いまして。」


そういう考え、良くないと思うよほんと。




私は宿に戻り、口をニヤつかせたまま寝た。




翌日


「今日もよろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願いします。」


私は今日もここで働くことにした。まだ見ておきたい気持ちもあるし、どうせ他にやることもないので。


「ネリヤ商店、ただいま開店いたします!」


今日は、開店前から多くのお客さんが並んでいた。開店と同時に一気になだれ込む。だが、こんな人数が入ることをネリヤ商店は想定していないので、店は大混乱に陥った。


あーやっぱりそうなるか、なんかそんな気がしたんだよね。「アヤ」の在庫がなくなることは絶対にないわけだし、これは人数制限を設けるべきかも。


ていうか、ここより広いとはいえフェルカナ商店はよくこういう状況にならなかったな。まあいいや、制限内容書いた紙作って貼ろ。




午後は、1人出たら1人入るという人数制限と時間制限のおかげで少し落ち着いた。お客さんから不満が出るかと思ったが、「アヤ」の商品が買えるだけで満足なのか誰からも文句は出ていない。


「ここか、「アヤ」を騙る商品を売っている店というのは!」


おやぁ、お客さんじゃなさそうな人が来たぞ?

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