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異世界転移したけど、地球の通販アプリが使えるので商売します  作者: すぱーく


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第15話

鍵を開け部屋に入る。


「おおー。」


思わず声が出るほど、広く立派な部屋だ。3人くらい寝られそうなベッドに、良い景色。一部を除いて、ほとんど地球と遜色ない。




…一部っていうのは水回りのことだ。お風呂は、3日に1回水を変えてくれるらしい。この世界からするとさすがラグジュアリーって感じなんだろうけど、風呂好きの私からすると物足りない。当然シャワーもないし。


トイレは、ご想像にお任せするよ。




私はここにずっと滞在するつもりはない。王都の店はシンボル的なものにし、ここか、他の場所の信用出来る商店をメインにする予定ではあるが。だけど私がここにいては結局王都のことが繰り返されるだけなので、私は他の場所に住みそこから商品を送るようにするつもりだ。


王都をメインにしない理由は、ただ単にあいつらへヘイトを向けさせるためだ。他に特に深い意味はない。




私は、バルザーク領で信用のおける商人を知っているか、というガラントさんへの伝言を、レストランの子供への転送箱に入れた。


最初は自分で商人を選ぼうと思ったが、外面だけでは私に判断がつくはずがないし、情報を集めるとしてもどれだけ時間がかかるか分からない。それなら、バルザーク領にも行ったことがあるであろうガラントさんに聞くのが良いということだ。


ちなみに、ガラントさんと子供たちは初めてガラントさんが店を訪れてから仲良くなっている。怖そうなガラントさんが、子供たちにになつかれてるのはちょっと面白かった。まあガラントさんはいい人だから当たり前だが。




次に私はギルドへ向かった。先輩に言われた通り、ギルド証を更新するためだ。別にしなくてもよさそうだけど、まあ一応ね。


「こんにちは。」

「こんにちは。ご用件は何ですか?」


迎えてくれたのは、目つきがちょっと鋭いお姉さん。


「王都から来たんですけど、ギルド証を更新しようと思って。」

「分かりました。では、ギルド証をご提出ください。」


私が黒いギルド証を渡すと、代わりに白のギルド証をもらった。白もなかなかいいね。


「あ、そういえば、ここでも会議みたいのってあるんですか?」

「もちろんです。どこのギルド支部にもありますよ。」

「ですよねー。」


更新しなきゃよかったか?でもそれだとここの商人っていう証明ができないしなぁ。今さら考えても遅いけど。


「ちなみに次っていつですか?」

「6日前会議をやったばかりなので、39日後ですね。」

「分かりました。ありがとうございます。」


よし、それまでにここを出るか。




ギルドからホテルに戻る。とは言っても、どちらも領の中心付近にありかなり近い。ここは領主の屋敷を中心としているのでそれも目の前にあり、周りには他にも多くの建物が建ち並んでいる。


 自分の部屋に入り転送箱を確認すると、手紙のようなものが入っていた。子どもたちからの返事かな。


中を確認すると、予想通り手紙たった。ただ、子どもたちとガラントさんからの言葉もある。…この短時間のうちに子供たちが手紙を読み、ガラントのもとに届けて、ガラントさんがすぐ返事を書いたってこと?早くない?


とりあえず手紙の内容読むか。




ガラントさんの手紙の中には、一人の商人の名前が書いてあった。ネリヤさんと言う名前で、バルザーク領でネリヤ商店を営んでいるらしい。


みんな、店の名前に自分の名前付けたがるよね。まあいいけど。


ガラントさんとネリヤさんは昔一緒に仕事をしたことがあり、最近会ってないが信用出来る人だと。


まだバルザーク領にいるかも分からんけど、とりあえずギルドで聞いてみよう。




私はギルドに引き返し、さっきのお姉さんにネリヤ商店の場所を聞いた。すると、少し微妙な表情をしながら場所を教えてくれた。




「あー、なるほど…」


私はネリヤ商店をみて、お姉さんの微妙な表情の理由が分かった。小さく古びた建物で、近くには立派な商店もある。そして、見たところお客さんもあまり居ない。つまりなんというか、経営が少し厳しそうなのだ。


「こんにちは。」

「いらっしゃいませー。」


出迎えてくれたのは、ガラントさんと同じくらいの年の男性だ。この人がネリヤさんかな?


「えっと、私ユイって言うんですけど、あなたがネリヤさんですか?」

「はい、ネリヤは私ですが。私に何か御用ですか?」


やべ、何も考えずに来ちゃった。なんて説明しよう。とりまガラントさんの名前出しておくか。


「ガラントさんってご存知ですか?彼の紹介で来たんですけど。」

「ああ、ガラントさんのお知り合いでしたか。懐かしい名前ですね。彼は今元気ですか?」

「ええ、王都で元気にやってらっしゃいましたよ。」

「それはよかったです。」


それからしばらくネリヤさんと話をした。ネリヤ商店はもともとは小さいながらも多くのお客さんがいたらしいが、信頼していた店員に裏切られ商品のルートや顧客を奪われたらしい。


それは悔しいだろうな。私のとは規模が全然違うが、気持ちは想像できる。それをどこの誰かもわからない私に言うのもどうかと思うけどね。


「それでユイさん、結局何の御用なんですか?」


あ、忘れてた。


「ネリヤさん、「アヤ」って分かりますか?」

「もちろんです。王都で作られている商品ですよね、ここでも売っている人がいますよ。」


お、ここにも広がっていたか。ちなみに、この世界での転売は全く問題ない。そうしないと販売場所から離れた人が商品を買うことができないし、行商人なんて商売は成立しなくなる。


「実は、「アヤ」を作っているのは私なんですよね。」

「えっ?…本当ですか?」


さすがに信じられないといった表情をする。


「はい。それでネリヤ商店に「アヤ」の販売を任せたいなと思っています。」

「…えっと、本当ならばありがたい話なのですが、」

「じゃあ、とりあえずこのくらい出しておきますね。」


私は、ネリヤさんの言葉を遮り大量の商品を床に並べる。信じてもらうためにも早く話を進めたほうがいい。


「あ、え、本当だったんですか…」


ネリヤさんはしばらくフリーズした後、何か決めたような表情になった。


「よろしくお願いします。」


ネリヤさんは後ろからお金を出して私が半ば押し売りをした商品を受け取った。王都での販売価格よりもだいぶ安い値段だ。


てかやっぱすぐ信じてくれるんだね。私としてはありがたいけど、心配になる。




「ユイさんは、王都での販売をやめここに来られたんですよね。もしよろしければ理由を教えていただけませんか?」


取引?を終えたあと、ネリヤさんが質問してくる。


「小娘が1人でやっている店がもうかっているのを見て奪おうと考えた人がたくさんいたからですね。」


思い出したらまた怒りが湧いてきた。


「そ、そうですか。それは大変でしたね。」

「ええ。あ、もしここにもそういう人が来たら、ユイという名前を出して、私は何も知りません。でいいですよ。」

「それだとユイさんにご迷惑がかかるのでは…」

「私すぐここを離れるつもりなので大丈夫です。商品は転送箱か、もし手に入らなければ人を雇って送りますので。まあそれよりも、「ユイ」の名前を出したら誰も手を出さないような存在になりたいですけどね。」

「分かりました。今後ともよろしくお願いします。」


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