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最高級シャンプーの評価 1

 屋敷での暮らしにも慣れてきました。


 寝る場所はお母さんの部屋で、お母さんと一緒に寝ます。

 とても安眠できて、お母さんはいつも清潔で良い匂いがします。

 部屋も専用メイドさんが掃除してくれて、貧民街の家とは大きな違いです。

 そして、トイレが貴族仕様で、女性がドレスを着て入れるようになっているので、広々として開放感があります。

 あ、もちろん清潔感もありますよ?


 そして、屋敷で迷わなくなりました。


 おじいちゃんとおばあちゃんは相変わらず甘やかしてくれますし、お姉様と伯父さんは優しいし、ごはんは美味しいしで言うことーーは、ありましたね。


 【黒い調味料】です。


 お母さんにお願いして【黒い調味料】無双をしてもらいました。

 そうしたら、屋敷の食事が少し茶色になりました。

 日本風の新しい料理の誕生です。

 料理長の腕はやっぱり凄いです。


 そして、インベルト商会との約束の日。


 【最高級シャンプー】の値段が決まる日です。


 インベルト商会のお迎えは今はお断りしていて、スイード伯爵家から直接商会へと向かいます。


 貧民街から通う時よりもずっと楽で、貴族様様です。


 一緒に馬車に乗るのは侍女のセーラ。

 私の乗る馬車の両脇に護衛の2人が馬に騎乗して警戒をしてくれています。


 大分、お付きの3人に慣れてきました。

 筆頭護衛官のシャルフなんかは、それはもう硬い態度でしたから、ほぐすのに時間がかかりました。

 今では一緒にお茶も飲んでくれます。

 「主人の命令には従います」と言っていたけども、命令をしたことは一度もありません。

 いや、少し拒絶をしたことはありますけど、私の安全の為に許容出来ないと断られました。


 本気で命令すれば聞くのですかね?疑問です。


 でもね、話は変わりますけど、シャンプーって、高ければ良いって訳では無いのですよ。

 実は髪が綺麗な人に使っているシャンプーを聞くと、驚くほど安いシャンプーを使っている人がいるのです。


 もうね、仕方ないの。

 髪質が全ての問題なの。

 遺伝なんですよ。

 あとね、脂性肌だとか、乾燥肌だとかで使うシャンプーが変わってくる。

 それと、自分が安いシャンプーを使っていることに我慢できるか、高いシャンプーを使っているから自分に自信が持てるかが変わる人もいるから、マウントを取りたい貴族階級には値段の高い成分の良いシャンプーが受けると思っている。


 この世界の人にもそこに気がついてほしいけど、今は固形石鹸だけの売り出しで、地球の品質が良すぎて、この世界の石鹸が品質悪く感じると思うんだ。


 でもって、お値段が高いと良い品質の物や珍しい品が多いから、この世界で受ける。


 この世界では、お値段が高い=品質が良い、になる。


 だから私は今までインベルト商会に新商品の商談で絶対に試供品を無料であげている。

 使い心地で値段を決めてほしいからだ。


 シャンプーをたくさんの種類、売り出したら、貴婦人の間で『シャンプー戦争』が始まると思っている。


 だって、髪質で自分の『お気に入りのシャンプー』が変わるから。


 今回は、おばあちゃんの立ち位置が危ないから、クルガー商会長に『最高級シャンプー』の値付けを急がせたけれど、本当は原価が安いシャンプーから売り出したかった。


 どっちみち『通販』で買うよりも高値で売り出すのは決まっているも同然だからだ。


 原価で値段を決めるのではなく『使い心地』で値段を決めて欲しかった。


 今回の触れ込みは『最高級シャンプー』だから、使い心地も勿論あるだろうけど、原価と『これ以上高いシャンプーは無い』と言うだけで高値にはなる理由がある。


 さてさて、クルガー商会長は、どこに焦点を当てて値段を決めてくるかな?

 予想はできない。


 あ、インベルト商会の馬車止めに入った。

 御者は待機所で待つことになり、我々4人は商談室に向かう。


 トイレは……今は大丈夫そうだ。

 そうだなーー今日は大事な商談だから利尿作用のある紅茶ではなくハーブティーを入れてもらおうかな。

 落ち着いた気持ちで商談できるだろう。


 馬車から降りてインベルト商会の建物に入ると、ケインさんに私が到着したと伝えてから茶葉を渡して商談室に行くのだが、侍女のセーラが茶葉を渡す以外の全てを代行してくれた。

 凄いな。

 数度インベルト商会に来ただけで、侍女の自分が何をするべきか理解できるなんてーー。


 私はセーラを少しみくびっていたのかのかもしれない。


 商談室に入り、私とセーラだけソファに座り、護衛はソファの両脇に立って待機する。


 ハーブティーの風味を味わっていると、すぐにクルガー商会長が来てくれた。


 この商談に挑む意気込みがわかろうともいうものだ。


 静かにクルガー商会長が向かいのソファに座り、ハーブティーを自分でティーカップに注ぎ、一口口にしてから話し始めた。


「単刀直入に言おう。【最高級シャンプー】の売値だが……」


 単刀直入に言うと言っているのに、溜めを作った。


 だが、その後にスパッと言った。


「正直、分からん!」


 身も蓋も無かった。


「使ってみた感想だが、僕は安いシャンプーの使い心地が気に入ったが、妻は最高級シャンプーの使い心地と言うか、使った後の髪質が気に入ったらしい」


 やっぱりね。

 使う人によって『自分に合う』シャンプーが違った。


 しかし、私にも予想できなかったのがーー


 クルガー商会長。

 最高級シャンプーと比べて、1番安いシャンプーの、どこが良かったの?

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