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ステラおばさんの優しさ

「よう!チヤ!最近遊び場に来なかったじゃないか!」


 ステラおばさんの末っ子の元気っ子のダンが家に来た。


 あ、間違い。

 ステラおばさんの子供達が採寸に来た。

 4人兄弟で、全員男。珍しい。

 そして、今は昼過ぎ。


 昼食を食べた後で良かった〜。


 ちなみにお母さんは爆睡中で病魔と戦っている模様。

 体力を使うんだね!

 とりあえず、投薬を始めてから咳が少なくなったから効き目は出ている。


「おや、ソフィアが採寸するんじゃないのかい?寝ているけど?」


 ステラおばさんの疑問には私が答えます。


「大丈夫!サイズ見本があるからそれを着てもらって、私がサイズを覚えとく!」


 ステラおばさんはうんうんと納得して、更なる疑問を問いかけてきた。


「それで、1着いくらになるんだい?」


 そう!服の値段は決めてなかったのだ!

 「普通に買うより少し高くなる」って言っておいたけど、ステラおばさんは私の服を見て、触って「本当に少し高いだけで買えるのかい?」と懐疑的だったけど「売り物にならない生地を回してもらってるから!」と言っておいたので、正確な値段は教えてないのだ。


 ステラおばさんが帰った後に慌てて通販で調べたら、Tシャツは安いので900ポイントから1500ポイントで買えるし、スウェットも値段の上下はあるけど1000ポイント以上で購入出来る!

 そこに私の手数料で10ルビ(100円)プラスしたお金を貰う予定。


 それで、見本のTシャツを慌てて昼寝前と魔力が回復した後に通販で購入したのだ。

 本当に魔力がギリギリで今はちょっとお眠状態だ。


「値段はね、1着100ルビから150ルビくらいだよ。今日は上着だけ注文を取ります。とりあえず、着替えてもらうから、狭いけど家に入ってね」


 そう、ワンルームの7畳くらいの部屋がお母さんと私の部屋だ。

 狭いのは仕方ない。貧民街だもの。


 多分だけど、ステラおばさんの家の方が広いけど、1人あたりの面積は小さいんじゃないかな?


 全員が家に入ったのを確認してから、机の上にTシャツを広げる。


「「「おお〜!!」」」


「綺麗だ」

「え?新品じゃないの?」

「いや、新品はここには無いだろう?」

「うわ〜綺麗〜」


 ステラおばさんがTシャツを見て触ったりして価値を確かめている。

 お、私を見た。


「チヤちゃん、これ、何処かから仕入れているだろう?」


 えっ!?なんでバレたの!?

 あっ!タグを外すの忘れてた!


「えっ、と、実は、そうなの。お母さんのツテがあって、そこから安く仕入れが出来て、これから商売をしようとしてたんだ」


 目が泳ぐのは仕方がない。

 だって5歳の幼女だもん。

 お母さんが作ったと言った手前、心がチクチクと痛みます。


「これが100ルビな訳ないだろう?最低でも1000ルビはするだろうさ。……正直に言いなチヤちゃん。おばさんに仕入れ値以下で売ろうとしてくれてるだろう?」


 ステラおばさんが自愛のこもった視線を向けてくる。

 「嘘はつかなくて良いんだよ〜」という目だ。


 私は服を掴んで、もじもじとステラおばさんを見ながら話す。


「ステラおばさん。あのね、本当は仕入れの値段は90ルビから140ルビなの。だからねっ、10ルビの儲けが出るんだよ!だから大丈夫っ!」


「……それは本当かい?」


 ステラおばさんが優しく聞いてくれる。


「うんっ。本当だよっ!」


「じゃあ、この服は150ルビから200ルビで売りなよ。それでも安いけどね。

 いいかい?チヤちゃん。安く売るのは悪くないんだが、私達みたいな貧民街の者が高い価値のある物を安く売ると、悪い人に目をつけられてチヤちゃんが怖い目にあうからね?物の値段は『適正価格』で売らないといけないんだよ?わかるかなぁ?」


「……てきせいかかく」


「そうだ。適正価格だ。チヤちゃんの出してくれた服はとても良い服だ。でも、多分、訳あって安く仕入れが出来るんだろう?その仕入れた価格に10ルビ上乗せするんじゃなくて、この服の価値を値付けするのがサチちゃんの仕事だよ?お母さんと2人暮らしだから、贅沢しなければ食べてはいけるだろうけど、他にも買わないといけない物はあるだろう?

 ……実はねおばさん知っているんだ。

 チヤちゃんのお母さんは良いところの娘さんだろう?チヤちゃんがお腹にいる時に、ここの貧民街に来た時は綺麗な髪に肌をしていたのを覚えているよ。

 長くなったね。ごめんね。

 でも、チヤちゃんとお母さんがいい人なのはおばさん知っているから良いものを安く売ってはいけないよ?怖い人が来て、お母さんを攫っちゃうかもしれないからね。わかったかい?チヤちゃん?」


 私はステラおばさんと言う優しい人が近くにいてくれて、とても有り難かった。

 ちょっと目がうるうるしてしまった。


「ああー、ごめんよっ、チヤちゃんっ。泣かせようと思ったんじゃないんだよ。この服は150ルビから200ルビで売りなね?わかった?」


 ステラおばさんが私の頭を撫でてあやしてくれる。


 私はそれに「うん!ありがとうステラおばさん!」と答えた。


「でも、今回は100ルビから150ルビで売るからね!ステラおばさんだから特別だよ!他の人には150から200ルビで売る!」


 ステラおばさんは驚いたような顔をした後に「ありがとうね。チヤちゃん」と優しい顔でふくっと笑った。

 余分な肉は無いけど、クッキーのステラおばさんみたいだね。


「なー、チヤ、どうやって服を決めたらいいの?」


 痺れを切らした末っ子ダンがチヤに聞いてきた。


「えーっとね、自分に合った服のサイズを着て、これよりもっと大きい方が良いか、小さい方がいいかとか選んでくれる?」


「なに!こんなにイイ服を着ていいのか!?」


 ダンが目をキラキラさせて聞いてきた。


「う、うん。着ないと体に合ったサイズかわからないからね。それにダンは子供服だから大きいサイズを買いたくなるかもしれないでしょ?すぐに成長しちゃうから」


 ダンのお兄ちゃんが口を開いた。


「そうだな。長く良い服を着たいな。じゃあ俺は1番大きな服を着ようかな?」


 5歳の女児の前とか関係なくガバッと長男のダイさんが服を脱いで半裸になった。


 ときめくとかは無いよ?

 基本的に貧民街の住人は臭いから、7畳ほどの場所に男臭い臭いが漂った。

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