事件の結末は?
まあ、結論から言うと。
『バンガエル公爵』が、秘密裏に我が家の『エルフ』との関係を調査していて、私がバカにも『インベルト商会』で『シャンプー』を大量に取り出した事で、バンガエル公爵の紐付きのモーゼがバンガエル公爵に報告し、私が『エルフではないか?』と今回の強行に走ったようだ。
供述は、私が『エルフ』なら私を切り刻んで『食べる』予定だったらしい。
オババ様の忠告が身に染みたね。
そして、すぐに私を肉にするのはもったいないと、インベルト商会に卸している商品の販路を聞き出すつもりだったとか。
貴族の、というか、権力者の考えることは怖いね。
そして、捜査の結果、私を誘拐したモーゼは、王都から脱出した後で行方知れずだ。
おじいちゃんが近隣に捜索部隊を出すらしい。
あ、そうそう、1番大事な事だけど、教会の馬車止めで私が孤児院学校を終わるのを待ってくれていた、御者と侍女のセーラは教会の馬車止めを見回りしていた教会の雇われ職員に重傷だったところを助けてもらい、そのまま教会の治癒師の魔法で傷を治してもらったそうだが、2人共モーゼの剣で腹をグサリと刺されて、出血多量で危なかったらしい。
モーゼの性格が見えるね。
腹を斬って相手を殺すのは『最も苦しむ殺し方』なのだ。
どっかで見た漫画に書いてあった。
すぐには死ねずに苦しみが長引き、大量出血で体がショック状態になってから、やっと出血多量で死ねる方法だ。
でも、まあ、馬車から滴る血を教会の職員が見つけてくれたおかげで2人が助かったから、モーゼが「一撃必殺」をしないでいたのが、2人の命を救う時間になった。
だが、子供から親を奪おうとするとは、モーゼ許すまじ。(御者もセーラも既婚家族持ち)
というか、スイード伯爵家に以前いた、なんちゃら侯爵のスパイの女がいたでしょう?私が食堂で害悪を感じてステータスを見て捕まえられた女。
なんと、調査の結果、王都スイード屋敷のメイド長が、捕まえられた女とモーゼを自分の紹介で雇っていたのが発覚した!
身の危険を感じたのか、大荷物を持ってスイード伯爵家を出ようとした所を裏門を警備していた門番が捕まえていて、事が発覚したようだ。
メイド長の言い分としては「前家令からの紹介で人材を紹介してもらっていた」と、供述しているらしい。
ちなみに「前家令」は、すでに死亡していて、どこの貴族家がスイード伯爵家に潜入することを指示していたのかはわからずに、次にメイド長がスイード家内部の情報を渡す予定の場所に張り込んで、メイド長の協力者を捕まえる予定らしい。
そして、特大の秘密を抱えるスイード伯爵家に「家令」「メイド長」と屋敷内で力を持つ人物達により、2人の紹介で勤めている者達を厳しく身の上調査をするようだ。
屋敷に勤めていた数人は数日前から姿を消しているらしいので、「では、屋敷に勤めている全員の調査をしよう」という「誰を信じたらいいの」という状態を解決する為にスイード家の『影』と木族が動き出した。
これにはオババ様達も他人事ではないので、木族の協力を得られるようだ。
すでに、怪しい者は隔離されてオババ様に裏切り者かの最終調査をされているみたい。
記憶が読めるとか凄いよね?
おじいちゃんが「こんなに深いところまで入り込んでいるなんて……」と、嘆いていたよ。
おじいちゃんが信用して重宝していた人が含まれていたようだ。
すなわち、深いところまでスパイ達が入り込んでいたので、『スイード伯爵』と『エルフ』の関係は上流階級では【公然の秘密】となってしまったようなのだ。
王族も関わっているので、大っぴらには言われないが「貴重品を融通してくれ」とか「あの方達の秘宝を見せてはくれないか」と社交の場で言われるようになったそうだ。
おじいちゃんとおばあちゃんと叔父さんは、のらりくらりとかわしているが、かなり状況は危ないらしい。
しかも『美肌の湯』で若返ったように見える、おじいちゃんとおばあちゃんがいるので、流行に敏感な者は『エルフを食したのではないか?』と勘繰る者もいるようで、頭の痛い問題になっているらしい。
スイード家の家族は髪も艶々だしね。
「落ち着くまで領地に引っ込むか」と大人たちが真面目にお話をしていた。
あ、そうそう、聞いた話だけど、私に最後まで追い縋って追跡してくれた隊長さんは重傷で倒れていたのを、おじいちゃんとオババ様が発見したらしい。
忠義の厚い隊長さんだったらしいけど、これまた出血多量の瀕死だった。
とにかく、今の我が家は「怪我は治ったけと、血が足りない」体調不良の人が多数です。
大変だね。
当然だが調査が終わるまではお出かけはできない。
危ないからね。
私のことも「スイード伯爵家の孫娘」だと知れ渡ってしまったので、気軽に出かけることもできない。
孤児院学校も当然だがお休みだ。
そして、おばあちゃんが「出かけられないなら、呼びましょう」と召喚したのが「高級服屋」の『ミゼル服店』です。
「あらっ、かわいい娘様とお孫様ですね」と、私とお母さんを取り囲んだ店員さんは、私とお母さんを隅々まで採寸しつくして、おばあちゃんとお姉様と服のデザイン画を見て、きゃっきゃっとはしゃいでおります。
通販で貴族の服を自由に買えるけど、おばあちゃん達の気晴らしになるなら注文するか。
と、達観した私は「なるべくシンプルに」というお願いだけして、部屋のソファに座り大人しくしていた。
約1日をかけて、おばあちゃん達に付き合った私は疲れて、ぐっすりとお休みできた。