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ハウンドドックは鳥の味

 お母さんが眠りについたら、通販で明日の食材を購入する。

 2500ポイントなんて、すぐに無くなっちゃう。


 私も眠くなってきたから、おやすみ。


 ◇◇◇


「おはよう!朝だよ!今日はハウンドドックの肉を持ってきたからね!大量発生していたらしくて、安く買えたよ!美味しいのを作ってやるからね!」


 すでに起きて朝の準備を終えていた私は元気に挨拶する!


「おはよう!ステラおばさん!ハウンドドックってどんな生き物?」


「ははっ!元気がいいねぇ!ハウンドドックはね、動きが早い犬の魔物だよ!小銅クラスの冒険者なら怪我せずに狩れるさね」


 私のテンションは下がった。


「……へー、犬なんだ。……美味しい?」


「ゴブリン肉に比べたら美味しいよ!楽しみにしておきな!」


 と、言う事は、今日の麦がゆには味があるって事かな?


 犬を食べるなんて某国か!なんて思っちゃったよ。


「内臓も美味しかったんだけどね、さすがに昨日中に食べないと腐っちゃうからね。肉だけだけど我慢しておくれよ」


「……内臓も食べれるんだ?」


「ああ!そうだよ!大きくなったら料理を教えてあげるからね!楽しみに待ってな!」


 ステラおばさんは元気がいいなぁ。


 犬の内臓……。

 うっ、想像しただけで吐き気が出てくる。


「昨日は貧民街の半数くらいの人がハウンドドックを食べれたんじゃないかな?ギルドが処分に困るくらいって言ってたからねぇ。うちらには年一回あるか無いかのご馳走だよ」


「へぇ〜。そんなに美味しいんだ?」


「ゴブリン肉に比べたら天と地だね!」


 おおう、凄い勢い。

 そんなに美味しいんだ?ちょっと味に興味が出てきたかも。


 椅子に座って静かにステラおばさんの料理する姿を眺める。

 あの分厚い包丁を手軽に使ってる……凄い慣れてるなぁ。


「チヤちゃんは知っているかは分からないけど、王都にはダンジョンがあるからね。貧民街の私達でも肉が食えるくらい供給されてるんだよ。知ってたかい?」


 えっ!王都にダンジョンがあるの!?凄い!ファンタジー!


「知らなかった!ダンジョンて何?」


「んー、簡単に言えば、魔物がいっぱい出てきて、たまに宝箱ってぐらいかなぁ?」


 宝箱!罠とかあるんだよね?


「罠は無いの?」


「おー、チヤちゃんは物知りだねぇ。実は王都のダンジョンで罠が発見された事は無いんだ。比較的、安全なダンジョンだよ」


「ふ〜ん」


「チヤちゃんには少し難しかったかねぇ」


 理解してるけど、5歳児だからね!ほどほどの興味がいいのさ!


「さっ!出来たよ!あったかいうちに食べな!お母さんはまだ寝てるのかい?お金がないなら一度孤児院の神官様に診てもらいなよ?気持ちのお布施はいるけどね?」


「うん!起こす!」


 薬を飲まないとね!



 ハウンドドックの麦がゆは鳥の肉と出汁の味がした。


 ……美味しいじゃないか。

 食わず嫌いは良く無いって事だね。

 ちょっとだけ筋っぽかったけど。


 お母さんは薬を飲んだ後に、またダウンしました。


 一緒にお昼寝するかな。



 ああ、そうそう。

 少し面倒くさい事になってしまった。


 「おや?チヤちゃん、とっても綺麗な服を着ているね?どこで手に入れたか教えてくれないかい?うちの子供達もそろそろ衣替えだから古着を買ってやらないとね」


 そうなんです。

 ステラおばさんに新品の子供服ワンピースを見られちゃいました。

 いや、着てたんだけどね?


 私は言い訳を「うーん、うーん」と頭を悩ませて考えていたんだけど、貧乏な我が家に追い風が来たのか!?と、ピーン!と考えついたのだ!


 『服の販売をしちゃえば良くね?』


 と。


 貧乏な我が家の現金収入になるし、お世話になっているステラおばさんに恩返しも出来るし、その服のお下がりが貧民街で出回れば地域貢献にもなる!

 だから「服の販売を始めました。サイズを教えてちょ」と言った訳ですが、さすがに「ちょ」は言ってないよ?

 それと、貧民街の住人が購入出来る値段にするつもり。


 この世界の服は新品1着が安くても3000ルビするくらい高い!日本円で3万円だよ!

 古着でやっと500ルビから一万ルビで買える値段になる。


 でも、貧民街の服は破れても繕って着るから古古古着ぐらいの価値になってから買えるので、高くても1着100ルビ・1000円くらいの値段になったら買えるといったところだ。

 古着屋の人も儲けないといけないから、捨値の古着を取ってくれておいてそれを貧民街に売ってくれる。

 それをツギハギだらけにして着ているのが私達だ。


 だから、日本では安くて無地の子供ワンピースが、とてもとっても!綺麗に見えてしまったらしい。

 ステラおばさんに食費を負担させている状態で私の服が買えているから『安く売ってたんだろう』と思ったみたいだ。


 だから「生地はお母さんが仕入れて、病気の合間に縫ってくれたんだ」という事にして、販売の速度を落とす事にした。


 だって、私の魔力は2500しかないんだよ?

 寝て回復しても、大体1日で7500魔力にしかならないし、私とお母さんの食料品も手に入れないといけない。

 1家族全員の分の服を一度に手に入れられないから、とりあえず服を着る本人が家に来てもらって私が採寸して毎日少しずつ通販で購入しなければいけない。


 元手は私の魔力だからタダで金銭が入ってくるって訳だ!

 あったま良い!私!


 これで、お母さんと私が綺麗な服を着ていても違和感が無いし、臭うゴワゴワの服を着なくても良い!


 それに子供服は数が少なくて特に着回されるから、大人の服よりボロボロなのだ。


 とりあえず、ステラおばさんの家族の寸法を書くA4サイズの紙と鉛筆を購入しないとね!

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