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スパイ?です!

「おじいちゃん、食事の前にお話をしてもいいですか?」


 おじいちゃんが私を見て、でれっとした顔になります。


「チヤちゃん、もちろんいいよ。何か嫌いな食べ物があったかな?」


 ……孫の好き嫌いを許しそうなダメおじじになっていますが、今の問題はソコではありません。


「ブルース侯爵家の使用人がいるよ!ほら!あそこの女性!」


 私は子供らしく指を指しました。

 みんなが一斉に、その使用人に注目します。


 おじいちゃんが見た事も無い冷酷な表情をして命令します。


「そこの女を捕らえよ!地下に閉じ込めておけ!早く!」


 その言葉に、女が逃げようとしましたが、配膳をしてくれていた、男の人が体重をかけて引き倒した後に、持っていた布巾で女の口を塞ぎました。

 そして、素早く担ぎ上げて部屋から出て行きました。


 早業です!

 配膳してくれていた男性の正体は、本当は世を忍ぶ裏稼業の人で、使用人は仮の姿だったのでしょうか?


 おじいちゃんが私に聞いてきます。


「チヤちゃんは、どうしてあの女がブルース侯爵家の使用人とわかったのだね?」


 当然、聞きますよね?

 出会ったばかりのポッと出の孫をそう簡単には信用できませんよね?

 ……しかし、私の言葉を信じて、侵入者?を素早く捕まえたのは何故でしょうか?


「あの女は、私とお母さんに敵意を向けていました。怪しんで鑑定したところ『ブルース侯爵家の使用人』と出てきたのです。おかしいですよね?ここは、スイード伯爵家です」


 おばあちゃんが私を褒めた後に人払いをします。


「チヤちゃんは偉いわねぇ。……少し、難しい話をしましょうね?ほら、朝食を食べますよ!」


 食前の挨拶をした後に、美味しそうな卵料理を食べます。

 しっかりと火が通っていて、硬いです。

 味付けは合格です。(偉そう)


 そして、おばあちゃんが話し始めます。


「昨日の事で『エルフ族』とスイード伯爵家が代々密接に付き合ってきたのは、わかるかしら?」


 私は食べ物を飲み込んでから返事をした。


「っ、はい」


「よろしい。そして、スイード伯爵家と王族も代々密接に付き合ってきました。それは『エルフ族』がいるからです。

 しかし「伯爵風情が王族と懇意になるなんて許せない」と思う人がいます。

 そうね。チヤちゃんにしつこく付きまとう大人がいると怖いですよね?」


「はい、怖いです」


「そして、チヤちゃんの家に忍びこもうとして、家の中の物を盗もうとします。怖いですね?」


「はい、家に盗みに入った犯人をボコしてやりました」


 スイード伯爵家の面々が「ん?」という顔をします。


 お姉様がお母さんに聞きます。


「……ソフィア?あなたの家に物取りが入ったの?そして、チヤちゃんが撃退したの?」


 お母さんは目を泳がせた後に正直に白状しました。


「……チヤが金槌で犯人を殴って捕まえました」


 「おおー!!」と、私に拍手喝采です!

 いやぁ、照れますね。

 あの時は、犯人の骨を折ってやった!と喜びました。

 逃げられないぞ、っと。

 足を狙ったのは、私の身長が低いせいですね。


 おばあちゃんが話を元に戻します。


「ま、まあ、いいでしょう。チヤちゃん、今がまさにその時だったのです。家に入り込んだ盗人をチヤちゃんの指摘で捕まえられました。お手柄ですよ。

 私達の家は、味方も多いですが、敵も多いです。気をつけましょうね?」


「はーい」


 良い子のお返事をした後はごはんを食べます。


 パンは硬いですが、麦のいい香りと味がします。

 クセになりそうな味です。

 これは、お高い麦の予感です。

 ーー貴族家、いいですね。


 朝食を食べ終えたら、お母さんがおばあちゃんとお姉様に拉致されていきました。

 きっと、飾りつけられるのでしょう。


 お母さんはお姉様よりも小柄ですが、服はあるのでしょうか?ちょっと心配ですので、覗きに行きますかね?


 ◇◇◇


「いたっ!痛いっ!お姉様っ、無理ですって!14歳の時の服が着れるわけがありません!」


 お姉様の残念そうな声が聞こえます。


「あらぁ?あんまり成長しているように見えないのにねぇ?それじゃあ、ソフィアは何を着て行きましょうかねぇ?私の服は大きいし、お母様の服は、ねぇ?ちょっと、お年を召したデザインですから」


「あらあら、ウェルスンは、私に、喧嘩を、売りたいのかしら?」


 おばあちゃんの怖い声も聞こえてきます。


 任せておいてください!

 私がお母さんに似合う、とっておきの服を選びます!


 通販の出番です!

 ふふふふっ!

 売っていましたよ!

 中世の服を模した、着る人を華奢に見せる服(24000円)です!


 私は颯爽と、颯爽と……できませんでした。


 ぼてぼてと、重い服を持って部屋に入りました。


「あら?チヤちゃん、どうしたの?何を持っているの?」


 おばあちゃんが話しかけてくれます。


「お母さんの、ドレスです。着てください」


 おばあちゃんが私からドレスを受け取り、バッと広げます。


「まあ!なんて控えめな装飾なのに、気品のあるドレスかしら!?きっと、ソフィアに似合うわ!着せましょう!」


「あらぁ、大人しい衣装だけど、華奢なソフィアには似合いそうだわ」


 お母さんのお着替えが開始されました。

 なんちゃって中世の服ですから、着替えやすいですよ。

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