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実はお薬が嫌いなお母さん?

 さて、お昼ご飯です。

 ランチタイムです。


 お母さんがすよすよとお眠りになっておられますが、お薬の時間があります。

 心を鬼にして起こしましょう。


 ベッドに上がって掛け布団を引っ剥がします。

 そして、お母さんの耳元で大きな声を出します。


「お母さーん!起きてー!お昼ですよー!」


「んんぅ……すよすよ」


 ……薬の副作用。手強いですね。


 しかし!!お母さんの為なのです!!


 秘技!駄々こねる!


「お母さーん!!起きてー!!起きてよー!!」


 ここでお母さんの身体をユッサユッサと揺する!!


「ん?んん?うっ?うぇ?チヤぁ?」


 お母さんが、起きた!!


「おはよう!お母さん!ご飯だよ!」


 まだ寝ぼけているけれど、起きている!


「あれ?あれぇ?チヤが可愛い……。可愛い服を着てる……」


 !寝ぼけているのに、愛娘の普段との違いに気づきましたか!これぞ『家族愛』が成せる技!

 そうです!1500円で買える子供服!ワンピースみたいなポンチョみたいな服です!柄は無く無地ですが薄ピンク色が綺麗です!


 購入に失敗した服は1着です!妹の子供服を買った経験が生きました!

 ちなみに大きいサイズを購入してしまったので、成長すれば着れます!

 私はちょっと発育不良児童です。

 ええ、小さいのです。

 仕方ないのです。

 今まで満足に食べてこなかったのですから。


 あっ、前世の妹ですか?

 そうですね。中途半端な所でお話が終わってしまいましたね。

 とりあえず、生きてます。はい。

 出産で先生の指示が遅くて輸血は死ぬ前に間に合いましたが、言語障害が残ってしまいました。

 裁判所に訴えましたよ。ヤブ医者め!!

 慰謝料がっぽり、とはいかなかったですが、相応の社会的制裁は受けたと思います。

 個人医院が運営停止に!!


 妹をサポートする為に妹の旦那も実家暮らしにさせて、私、妹、旦那の三人で子育てしました。


 あの夫婦め。

 忘れた頃にまた子供を作って、私をヤキモキさせやがって。

 あ、第二子は無事に産まれました。

 やったね!


 最後は第三子でシメだよ!


 おかげで私が婚期を逃したよ!


 楽しい一生だったけどね!

 やっぱり家族が増えるっていいよ!

 幸せがいっぱいだ!


 最後まで妹の障害は治らなかったけど、幸せそうに生きてたよ。

 いやね、私の方が先に亡くなりましたわ。


 湿っぽい話は終わり!


 ◇◇◇


「ん〜、少し体の調子がいい気がするー。チヤちゃんのおかげかしら?」


「いや、多分食べて熟睡したからだね。そのうち、薬を飲み続けると体がダルくなると思うよ。だから、いっぱい食べて病気に勝とうね!」


 お母さんの調子は良いそうです。


 今日の昼食はなんだって?


 じゃじゃーん!

 パン切り包丁ー!!

 コッペパンを昨夜購入していたのに切れ目を入れて、お野菜とお中元とかに使われる丸っこいハムを5歳児の危ない手つきでぷるぷると切って、それを挟んで惣菜パンの完成です!


 マジで手を切るかと思った……。異世界包丁は凄い無骨で切れ味の悪い包丁なのだよ。

 いや、貧民街だけかもしれないがな!

 次は三徳包丁を買わないとな。

 まな板もなんだか『板!』って感じなんだよね。抗菌まな板を買わないと。


 でも、それは後から。

 ワンピースを買って魔力が無いんだよね。

 ちなみに今めっちゃ眠気と戦ってます。

 魔力が少ないからね!


「もう食べられないわ。お母さんお腹がいっぱい。チヤ、ありがとうね」


 ここで、用意しておいた丸薬とお水を用意する!


「お母さん、食後の薬だよ。飲んで」


 お母さんの顔が一瞬ひきつったのを見たぞ!嫌なんだな?マミー!


「あ、ありがとうね……」


 頑張れオカン!薬に負けるな!


 お母さんは飲んだ後に少しゆったりと私とおしゃべりしていたけど、やっぱり眠くなってきたのかベッドですぐに寝てしまった。


 私も眠いから一緒に寝るぞ!


 寝る前にお母さんのギトギトのくちゃい髪を見て、起きたらシャンプーでも買うかな、と思いながら寝た。


 ◇◇◇


 意識が浮上してきた……。

 今、何時?


 バッ!


「おくすり!!」


 窓から入ってくる明かりは月明かりだ!


 隣を見るとお母さんがまだ、すよすよと寝ていた。


「お母さん!起きて!お母さん!薬を飲まないと!」


 お母さんをユッサユッサと揺する。


「んっ、う?チヤ、?」


「お母さん起きて!ごはんを食べないと!」


「んー、お腹が、減ってないわ」


「いいから食べる!」


 お母さんがもぞもぞと起き上がって私から昼食の残りのコッペパンを受け取り食べ始めた。


「……口が渇くわ」


 え〜い!お嬢様か!

 いや、元貴族令嬢だった……。


 コップに水を入れてお母さんに渡す。


「飲んで。水だよ」


「あら、ありがとうね。あっ、チヤも食べる物、ある?お母さんと分けっこする?」


「食べるのあるから大丈夫」


 私もコッペパンを齧る。


 なんか、いきなり3食食べて、胃が悲鳴をあげている気がする。

 今まで1日一食生活だったから胃がびっくりしているんだな。

 晩御飯はコッペパン一個だけにする。

 それでも、小さな胃が「お腹がいっぱいです!」と訴えてくる。

 頑張って食べないとなぁ。


「はぁ、久しぶりにこんなに食べたわ」


 おっ、お母さんも食べ終わったみたいだ。


 丸薬とお水をコップに追加して。


「お母さん、お薬だよ。飲んで」


 なんか、お母さんが緊張した気がする。


「お、お母さん、頑張るわ」


 うん。頑張って病気を治そうね!

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