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お祖父様、お祖母様、はじめまして

 「孫!」を呼ぶ声に反応して、私を抱っこしている伯父さんが動き始めた。

 多分、お祖父様とお祖母様の元に。


 まだ、若い、と、言っても、50代?くらいの男女に凄い注目されている。

 多分、お祖父様とお祖母様の目がキラキラと輝いている。

 その目元に涙が滲んでいるせいかもしれないけれど。


「お父様、お母様、私とアンドチヤの娘のチヤです。可愛いでしょ?」


 お母さん、可愛いは余計な気がします。


 お祖父様の顔がでれっと崩れた。


「おお〜、おじいちゃんですよ〜。チヤちゃんは可愛いですね〜」


 凄い幼児扱いをされた気がする。


 伯父さんが吹き出した後にお祖父様に真実を教える。


「お父様、チヤは小さくて幼く見えますが、6歳だそうですよ。ハースネル族だそうです」


 でれっとしていたお祖父様が驚いた顔をした。


「ハースネル族だって!?……ん〜、だが、ソフィアの子供だ。私の孫だぞ。

 チヤちゃ〜ん、おじいちゃんの腕の中においで〜」


 ハースネル族って何なんだ?

 そして、どう見ても貴族のお祖父様なのに「おじいちゃん」と呼ばないといけないのか。


 伯父さんの手で、ほいっと、お祖父様に渡された私は覚悟を決めた。


「おじいちゃん?」


 でれでれのおじいちゃんがにまーっと笑った。

 怖いよ。


「おじいちゃんですよ〜。可愛いですね〜」


「まっ!まっ!あなた!羨ましいですわ!チヤちゃん、おばあちゃんですよー」


 凄い綺麗なご夫人を「おばあちゃん」と呼ばないといけないのか。


「おばあちゃん?」


 おばあちゃんがにこーっと、笑った。

 こっちは品があるぞ。

 おじいちゃん、負けたな。


 それより、凄いほっぺを撫で撫でされている。

 おばあちゃんに。


「若い子の肌っていいわ〜!すべっすべよ!あー、孫、いいわぁ」


 子供の肌がいいのか、孫の肌がいいのか、ちょっとそこら辺を知りたい。


「おばあちゃんもすべすべになれるよ?」


「あら〜、いい子ね。でも、もう、私はおばあちゃんだからねぇ」


「大丈夫だよ!今からでもすべすべのつるっつるに、なれるよ!温泉の湯があるから!」


 ちょっとババ孝行でもしておきましょう。


 おばあちゃんの顔は困惑した顔になった。


「あらやだ、ソフィア?チヤちゃんの頭は大丈夫かしら?」


 凄い失礼な事を言われた!心外な!


 泣いていたお母さんが思わず笑った。


「あら、お母様、チヤは凄い頭が良いですよ。いつも私の面倒を見てくれます。それと、温泉の湯があるのは本当です。肌がとても綺麗になりますよ」


 「ええっ!?」と驚かれた。

 どんだけ馬鹿な子だと思われていたんだ私は。


 今はおじいちゃんに頬擦りされている。


 なんで、髭が生えている人って子供に頬擦りしたがるんだろうか?

 痛いよ、おじいちゃん、痛いから。

 くそぅ!でも、逃げれない。


「準備が整ったよ!部屋に集まりな!」


 そこで、張りのある声が響いた。


 声の主を見ると、オババ様だ。


「オババ様。はい、今行きます」


 空気がビシッと引き締まったものに変わった。


 オババ様って、何者だ?


 みんなでぞろぞろと歩いて行き、大きな部屋にたどり着いた。

 そこには、オババ様ととびっきりの美女が2人いた。

 2人共に金髪で青の透き通った宝石みたいな瞳をしていた。

 あまりにも綺麗すぎて、女神様か精巧な人形のように思える。

 本当に息をしているのだろうか?


 私はおじいちゃんの膝の上に座っているのに、美女2人から目が離せない。

 姉妹かな?

 声も綺麗かな?


 と、ぽけーっと、私が見惚れている間に、おばあちゃんとお姉様が全員分の飲み物を入れて配ってくれた。


 あれ?こういう時って、貴族は座ってメイドさんとかが配膳するんじゃないのかな?

 この世界はマナーが違う?


 オババ様が私をおじいちゃんの膝から抱き上げて、老女の細腕にそんな力があると思わずに固まってしまった。

 そして、美女達の間に座らされて、片方の美女に私の両頬を手で包み込まれた。

 驚いて美女の顔を見たら、少しだけ微笑まれて、顔が熱くなってしまった。


 そうして、美女が口を開いた。


「オババ、この子の魂は魂木と繋がっています。間違いなくハースネル族です」


 澄んだとても、とても綺麗な声で何を言っているのかも理解出来なかった。


 次は反対の美女の方へ向かされて、両頬を手で包み込まれた。


 その瞬間に私を縛っていた何かが壊れた気がして体が軽くなった。


「「「どよよっ」」」


 部屋にいるお母さんとその家族が全員驚いた声を出して、みんなが何を言ったのか理解出来なかった。


「隠蔽魔法は解いたけど、この子の魂と繋がっている者がいる。おい、そこの女。こっちに来い」


 美女だけど、2人目の美女は口が悪かったようだ。

 誰かを呼んでいる。


「おい、こら、そこの女だ。こいつの母親だよ」


 お母さんの戸惑った声が聞こえた。


「え、わたし?」


「そうだ、こっちに来い」


 頬の手が外されて首が動くようになったら、何故かおじいちゃんもおばあちゃんも伯父さんもお姉様も惚けた顔をして、私を見ていた。


 思わずビクッと体が反応してしまった。


 そんな事をしているうちに、お母さんの問題は浮上していたらしい。

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