1年飛んで『春』 2 砂糖は凄いのです!
大事な事をお伝えしていませんでしたね?
実は、私の『通販』スキルが!!
なんと!
レベル7まで進化しました!!!
どんどんぱふぱふーーー!!!
もうね?
固形石鹸を売り、石鹸を売り、石鹸を売り、石鹸を売りーー(エンドレス)
そして、服を売りーー(エンドレス)
そして、そして『最高級塩!』3種を売りーー(エンドレス)
そして、そして、そしてーー
【砂糖】を、売りましたーーー!!!(拍手)
もう、ね?
わかるよね?
そうです。
インベルト商会のクルガー商会長が犠牲になりました。
ご冥福をお祈りします。(死んではない)
言うも涙。歌うも涙な出来事があったのです!!
それでは、こちらをご覧ください。
◇◇◇
「砂糖にはたくさんの種類があるのをご存知ですか?」
「しらん。砂糖はユーリ砂糖だけじゃないのか?」
ここは、インベルト商会のいつもの商談室ですね。
何故か、クルガー商会長が叫び声を上げても誰も来ない『商談室』です。
防音なのでしょうか?
以前、私がプレゼントしたティーカップセットが使われており、お紅茶がよりいっそう美味しく感じられます。(紅茶は私の持ち込みです)
クルガー商会長も美味しそうに紅茶を飲みます。
そして、『ユーリ砂糖』とは、この世界の砂糖ですね。
なんと、【最高級品ユーリ砂糖】だと『100シア(g)1万ルビ』は硬いそうです。
そう、『時価』というやつです。
怖いですね。
「ちっちっちっ!です!砂糖の種類で煮物の味が変わるんです!」
「君!?普通の煮物料理に砂糖を使うの!?贅沢な!」
「ふふふっ。ウチのお母さんは『黒い調味料』を上手く使いこなしています。そこらの料理人には負けませんぜ。
おっと!こんなところに『お母さん特製の煮込み料理』が!砂糖入りですぜ。一口お食べやんす」
アイテムボックス(時間停止)からお母さんの料理を取り出してクルガー商会長に勧めます。
お母さんはもう、お箸の使い方をマスターしています。麺料理も食べれますよ。
「何だこれは?茶色い。……匂いは、おいしそうだ」
「おっと、スプーンを渡すのを忘れていました。どうぞ、お使いください」
「ははーっ!」とスプーンを渡すと、クルガー商会長は受け取り、お母さんの料理をつつき始めた。
食べ物で遊んではいけないと言われませんでしたか!?
くっ!見ていると食べたくなってきました。
ちょうどお昼時ですから。
お母さんの料理をアイテムボックスから出して、箸を持って食べ始めます。
ホックホクで出汁の味が染みて美味しいです!
んーっ!箸が止まりません!
これぞ「母の味」です!
クルガー商会長は私が食べるのを見つめた後に、『黒い調味料』で煮込まれた肉をスプーンですくい食べました!
肉を真っ先に食べるとは、侮りがたし!
私は庶民なので野菜から食べます。
いえ、王都では野菜も高価なのですが。
くっ!貧乏性が憎いです。
美味しいものは後から食べます。
「むっ!!」
なんか、クルガー商会長が唸りました。
いきなり叫んだりするので、もう慣れてきました。
いや、何だか目を閉じて深呼吸をしています。
こんな人で、貴族の荒波を乗りこなしているのでしょうか?ケインさんに全て任せているのではないでしょうか?
この世界の食材と『黒い調味料』が合うのかわからない時は、お母さんの感任せで、凄いマズイ料理が出来た事もありました。
良い思い出です。
ゴブリン肉を食べていた私とお母さんには、マズイから捨てる、食べないなどと言う選択肢は始めからありません。
どんな物でも有り難くいただきます。
あっ!注意ですよ!虫は食べ物ではありません!いいですね?だから、お残ししてもいいのです!
なんだか、見ていなかったうちに、お母さんの煮込み料理を一口ずつ、一口ずつ、味わって食べています。
そうです。
お母さんの料理は最高です!
味わって食べるのです!
「うまい。……何で、初めて食べる味が、こんなに、美味いんだ?」
「それは、気持ちがこもっているから……とか、言いたかったので、言ってみましたが、実はまだ理由があるのです。それはーー」
ちょっと、勿体づけてみます。
「それは?」
クルガー商会長が乗ってくれました!やりますね!
「実は、調味料がめちゃくちゃ使われています」
クルガー商会長が口の中にあった食べ物を飲み込みました。
タイミングはバッチリです。
さぁ!驚くがいい!
「酒!味噌!しょうゆ!砂糖!みりん!を使っております。5種類の調味料ですね」
「料理に『酒』を使う事があるのは知っていたが……全然、酒の味も匂いもしないな?」
「まあ、酒はいいんです。酒は。大体が肉の臭み消しですから。
今、重要なのは『砂糖』を料理に使っている点です。美味しいでしょう?しょっぱい味の中に深みと甘みを感じるでしょう?」
「ふむ、塩は使って無いんだな?なのに、しょっぱい」
「しょうゆと味噌という調味料を造る過程で塩を使っています。
いえ、いいんです。それは、置いておいて、今は『砂糖』の話です。照りがいいでしょう?見栄えがいいのも砂糖のおかげです」
「ふむ、てり?とな。見た目は茶色に目がいっていて気がつかなかった」
ダメだ。
外国人視点だ。
今は砂糖のプレゼンをしているのに……。




