日本の『塩』は商材になる?
そうそう、洗濯物をどこに干したか?って?
基本的はベッドの木ワクとか椅子とか机に今までは引っかけておいたら自然と乾きました。
記憶が戻る前は子供だし、幼いしで、親のやる事全てが正しいと思っていたよ。
バカだったね。
親が全て正しいのは『幻想』だよ。
成長すればわかります。
と、いう事で、物が無い無い生活をしていた私は通販で購入しましたよ。
ハンガーとピンチハンガーと室内物干し(組み立て式)を。
狭い部屋だから置き場所も決まってしまいましたね。
服もパンツも靴下もタオルも全部2人分干せたよ。
しかし、室内がじめっとしている。
仕方がないのだよ。
日当たりが悪いし、風通しだけは良い(隙間風)から、衣類が乾く頃には普通の空気に戻っていると思う。
そして、私が平民街で物価調査をしていた目的の『塩』の値段と品質。
どうにか商材にできないかと、調べて軽く幻滅した塩の品質。
コレ、日本の『塩』をインベルト商会に卸せないかな?と思い立った。
初めは貧民街市場で売ろうと考えていたんだ。
お母さんが『塩は値段が高い』と言っていたから、一般庶民的な価格で売って手軽に金儲けをしようとしていたんだよ。
地域貢献の意味も兼ねてね!
しかし、平民の買う塩が『最低品質』だった時に、その目標は崩れたね。
『日本の塩』を売った瞬間に、金持ちや世間からの『目』からは逃れられないと分かり、『塩』を売るのは『最終手段』だと決めました。
しかし、インベルト商会のクルガー商会長という『ツテ』が出来た事で『日本の塩』が売れるのではないか?という考えが再浮上してきましたね。
『塩』はみんなが毎日のように『消費する物』です。
すなわち『恒久的に売れる商材』だ。
そして、憶測だが【非常に儲かる】のが良いところだ。
異世界あるあるからして【日本の塩は白い】のが特徴的だ。
『白』は不純物の入っていない【高級品】の証とも言える。
【絶対売れる!】という確信もある。
そして『精製塩』は元手が安い。
日本政府が推し進めた『精製塩の製造』は【塩化ナトリウム(NaCl)が99.5%以上という、他の栄養素が少ない塩だ。
大雑把に言えば【栄養が無い】塩であり、あまり体に良く無いという特徴がある代わりに、ものすごく『安い』。
ちなみに、高級塩となる『天然塩』は、海水を天日干ししたり、釜で煮詰めて作ったりと『昔ながらの製法』で【カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルが豊富】という特徴がある。
他にも『岩塩』があるが、これは置いておこう。
そして、どういう事かと言うと、インベルト商会の判断にはなるが『天然塩』を超高級品として売り出して、『精製塩』を準高級品として売る事が出来る利点がある。
ので!
2日前に続けて、今日もインベルト商会にお邪魔しようかと思います!
その前に、通販で塩を業務用で購入して、スライム容器に移し替える。
そして、アイテムボックスに入れてから、出発だ!
「お母さん!服の予約管理をお願いします!」
「わかったわ。お母さん、家にいるからね。気をつけて遊んでくるのよ?」
「はーい!行ってきまーす」
お母さんは私が遊びに行くと思っているけれど、これから私は富裕街まで行くんだ。
お母さんに言うと、きっと反対されるから内緒だ。
意気揚々と教会前に歩き始めた。
◇◇◇
はい、長い道のりは割愛します。
ただいま『インベルト商会前』におります。
この間と服装が違うだけで、もの凄い場違い感が出ております。
今日の私は「平民街ルック」だ。
前の時に着替えて帰るのを忘れてしまい、お母さんに注意されたから、今日は着替える手間がいらない服で来た。
さあ!気合いを入れて、いざ行かん!
キィ
「いらっしゃいませ。インベルト商会へようこそ。御用向きをお伺いします」
お、おお……。
なんかキラキラしたイカしたお兄ちゃんが笑顔で聞いてきたもんだから、気圧されたぜ。
ゔっ、ゔゔんっ!
「あの、ケインさんはいますか?」
「ケインは奥におりますが、お約束はございますか?」
「いいえ、ありませんが、クルガー商会長からケインさんに話を通すように言われております」
イカしたお兄ちゃんが一瞬考えるような間を空けた後に「お嬢様のお名前をお伺いいたします」と言ったので「チヤです」と答えると、店の中の接客スペースに案内された。
「確認をして参りますので、しばらくお待ちくださいませ」
飲み物は出なかったよ。
何だか、他の店員さんとお客さんの視線を感じるのは被害妄想かしら?
やっぱり、場違い?
◇◇◇
「店長、ちょっと確認していいですか?」
書類に向かっていた店長・ケインが顔を上げた。
「何だ?トラブルか?」
店員のライザスは思案顔で言った。
「いえ、店長を訪ねてきたチヤと言う少女が来まして、ご存じですか?」
ケイン店長は一瞬わからなかったが、商会長に紹介された幼女を思い出した。
「5歳の幼女か?」
知っているようでライザスは驚いた。
「5歳かはわかりませんが幼女です」
「連絡ありがとう。商会長案件だ。すぐに店まで行く。接客スペースかね?」
「あ、はい。そうです」
ケインが書類をそのままに店の方へ歩いて行くのを、しばし呆然としながらライザスは見送った後に正気に戻り「連絡して良かった〜」と安心するのだった。