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通販スキルと時間停止アイテムボックスで生活改善!  作者: 春爛漫


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親子丼もどき、を食べましょう

 お母さんの親子丼と私の親子丼を机の上に置いて、熱々の湯気を上げている料理の前に座る。


 あっ!忘れてた!

 まな板の上にある三つ葉を手にして、親子丼の上に盛り付けて、出来上がり!


 お母さんがスプーンを持って来てくれたので受け取って、お母さんと食前の感謝をして、スプーンですくい食べる。


 んふーっ!


 5年ぶりの日本食!


 サンドイッチ?あれは日本食じゃねぇ。

 外来種だ。


 久しぶりの親子丼は、味は良かったが、水っぽかった。


 そうです。

 お米部分は麦がゆです。


 目から涙が出そうなくらい「これじゃない」感があった。


「あらぁ!卵がすっっっごい!美味しいわぁ!」


 チヤが正面のお母さんを見ると、うっとりとした顔をしているお母さんがいた。

 その顔は、とても幸せそうである。


「何でこんなに美味しいのかしら?水と黒い液体しか入れてないわよねぇ?美味しいわぁ」


 そういえば、この間まで「ゴブリン肉の麦がゆ」を食べていたのである。

 それに比べたら、この『親子丼もどき』は天と地の差がある。


 水っぽいけど、美味しいのに変わりは無いのだ。

 おいしく食べなければ食材に悪い気持ちになる。

 それに、おいしく食べないと、気持ちも満足しない。


 今日は、これで良いのである。


 お椀から溢れそうな程ある親子丼。

 お腹いっぱいになるのは保証済みだ。


 チヤは具だけすくい食べる。


 日本の味だ。


 身体が喜んでいるのがわかる。


 麦がゆは、汁で誤魔化そう。


 ◇◇◇


 いつもの食事の1.2倍くらいあった親子丼を食べた後に、お母さんリクエストのパロの実を一口だけ食べた。


 枇杷のような瑞々しい味わいだった。


 お母さんは食べたかった果物を食べられて満足そうだ。


 私はもっとお母さんに「アレが食べたい。コレが食べたい」と言ってもらいたいと思っている。


 お母さんが今食べたい物は『体』が要求している栄養だと思うからだ。


 お母さんの身体は今が回復期だ。

 多分、不足している栄養素を取り戻そうと細胞が活性化しているだろう。

 だって、病原菌は死滅した。

 後は遺伝子情報通りの身体を維持しようと、細胞分裂を繰り返しているはず。

 足りなければ指令を出す。

 「アレを食べろ」と。

 分解する「脂肪が無い」と。


 今まで満足に食べてこなかったお母さんの身体は、少しの食物からの栄養吸収効率がとても良いはず。

 標準体型になったら気をつけないといけないけれど、今はハイカロリー食を食べる時期だ。

 まずは「肉」を作らないと。


 日に日に起きていられる時間が増えていて、目に見えて元気になっている。

 まあ、昨日のようにポッキリと心が折れてしまう日もあるかもしれないけれど、亡くなった人はちゃんと思い出の中にしまっておけるって、私は経験から知っている。


 1番良いのは、大切な人を新しく作ること。


 どっかに、お母さんとお似合いの良い男、落ちてないかなぁ。

 拾ってくるのに。


 ◇◇◇


 お昼からは、ん〜?どうしようかな?

 ポイントはすっからかんだし、寝るだけじゃもったいない。


 でも、魔力が無いから……眠い。


 あっ、バナナがイイ!


 病人と言っては果物。

 栄養があるのは、バナナ!

 バナナを我が家の常備食にしよう!

 お母さんが早く元気になるかも。


 ……今はポイントが無いけど。


 ーーやっぱり寝ようか。


 そうしよう。


 ドンドン。ガチャ!


「チヤいるかー!!遊ぼうぜー!」


 勝手にステラおばさんの末っ子のダンが顔を出した。


 今まさに、ベッドに横になろうとしていた私はダンを見る。


「どこに行くの?」


「闇市の母ちゃんの所に行こうぜ!俺、お腹が空いた!」


 貧民街の住人は昼食を食べない。

 成長期のダンはすぐにお腹が空いてしまうのだろう。


「……いいよ、遊ぼうか」


 少し考えたチヤは了承した。

 闇市に興味があったからだ。


「ほら!行こうぜ!」


 自然とダンに手を繋がれて、少し驚きながらも歩いていった。


「母ちゃんはいつも、お腹が空いた時のために『麦の堅焼き』を持ってるんだ!それを貰いに行こう!」


 麦の堅焼きーー記憶にあるぞ。

 水で麦粉を混ぜて薄く焼いた物だ。

 余りおいしくは無いけどお腹には溜まる。

 貧民街のおやつのような物だ。


 昨日、闇市ーー貧民街市場には行ったから道は覚えているけど、ダンはもっと近道を歩いているようだ。


 家と家の間の細い道を子供の体ですり抜けて、まるで冒険のようだ。

 ちょっとだけ、ワクワクしてきた。


「ん?なんか、チヤ、いい匂いがする……」


 ダンがいきなり立ち止まって私の頭付近をふんふんと匂いを嗅ぎ出した。


「ん?なんだか、いい、匂いだぞ?」


 ダンはちょっと臭いけどね。


 ダンの顔を見ると、ほんのりとほてったような赤い顔色をしていた。


 あれ?私相手に照れてるのかな?

 か、まだ、鏡で自分の顔を見て無いや。


「……うん、行こう」


 何かを納得したのか、さっきよりダンと引っ付き気味に歩いていく。


 この世界の子は早熟なのかな?


 そういえば、甥っ子姪っ子が幼稚園で「誰々が好きー」とか言ってたな。

 そうか、4・5歳で初恋をするのか。

 子供の色恋って早いんだなぁ。

 じゃあ、貧民街の子が早熟ってわけでは無いな。

 異性を意識するのは、普通、っと。

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