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近所のお姉さん?達

 共同井戸は子供の足だと少し遠い。

 貧民街には3つあるんだけど、壁の近くで陽当たりが良くない場所だから家賃は安いけど、便利は良くない。

 でも、下水なんかはスライムが処理してくれるからちょっと臭いけど、そこまで嫌な臭いはしない。


 あ、賑やかな声が聞こえてきた。

 井戸の側だから、本当の井戸端会議だ。

 あ、洗濯をしているおばちゃんがこっちに気がついた。


「チヤちゃん!おはようかい?」


「うん、おばちゃん、おはよう」


 私とお母さんが住む貧民街第3地区は1番貧乏なところだから、おばちゃん達が来ている服もツギハギだらけの古い古い古着だ。

 まあ、布が貴重なこの世界ではこれは多分普通……よりかは貧しいと思うけど、みんな痩せてるけど元気だ。


「チヤちゃんには井戸くみは辛いだろう。おばちゃんが水を汲んでやるからね」


 スマイル0円だ!


「おばちゃん!ありがとう!」


 貧民街の人は痩せているけれど逞しい。力だけはあるんだ!


 おばちゃんが汲んでくれた井戸水を鑑定してみる。


●井戸水

貧民街の井戸水(かろうじて飲める)。


 病気のお母さんには飲ませたくないな。

 パシャパシャと顔を洗ってから口をすすぐ。

 スライムが逃げないように掘ってある排水穴にぺっと汚水を捨てる。井戸水に汚い水が混ざらないようにするのがマナーだ。

 ここの井戸が使えなくなるとみんな命に関わる。


 また、トコトコと子供の足には遠い道を歩く。


 貧民街の家には高価なガラスなんて売ってないから、明かり取りに昆虫のキラキラを窓に嵌めて節約している。

 魔物素材って便利。


 家に帰って来たら、ステラおばさん特製の麦がゆが出来ていた。野菜やお肉は高いから少ししか入ってないけどね。


「おっ!待ってたよ。あったかいうちに食べな!」


「ありがとう。いただきます」


 この麦がゆも昨日までは気にせずに食べていたけど、何か気になる。

 貧民街で食べている肉って何の肉?鑑定!


●ゴブリンの足肉

 筋張っていて美味しくないが、栄養はある。


 げーーー!!まさかの『ゴブリン肉』!!!


 で、でも、昨日まで食べてたから大丈夫なはず……!

 女は度胸だ!食べろ!


 目を瞑って、パクッ!


 ん?意外と味がしない?不味くはないけど、美味しくもない?まあ、食べれる。

 おばちゃんの下処理が良いのかな?

 まあ、貧民街だからお腹が膨らめばいい。


 食事を作ったらステラおばさんは帰って行った。

 毎日ありがとうございます。


 お椀(小さい)いっぱい食べたらお腹も膨らんだ。多分、普通の子供よりも食べていないせいで胃が小さいのだと思う。

 お母さんの食べ終わった食器を貰って5歳の拙い手で洗い物をする。(水で洗うだけ)


 それから、本当は昨日1番にしなくてはいけなかった事をする!

 それは!お母さんの鑑定!

 何の病気かを調べるのです!


 お母さんの寝ているベッドに行くと、いつも私がお母さんにひっついているから、お母さんが「いらっしゃい」と布団の隙間を開けてくれる。


 わ〜い!といつもなら飛び込むのだけど、ベッドもお母さんも若干、いや、かなり臭うので、我慢して隣に入り込む。

 そして、お母さんをこっそりと鑑定!


名前 ソフィア・ハースネル

年齢 21歳

体力 35

魔力 5470

スキル 風魔法 アイテムボックス(普通) 刺繍 ダンス 教養 

状態異常 バルスス病 衰弱


 アイテムボックスはお母さんからの遺伝かな?お母さんのは普通のアイテムボックスだけど。


 バルスス病を鑑定!


●バルスス病

肺にバルスス菌が入り込み増殖している状態。咳、息苦しさ、呼吸困難という症状が出る。病状が進行するとバルスス菌が他の臓器に増殖し、死に至る。


 対処法が出てこない!

 バルスス病の治し方を鑑定!


●バルスス病(対応策)

特級ポーションを飲む。上薬草、ツムギ草、聖水、モーズの肝、ゴブリンの肝を順番にすり潰した薬を飲んでも良い。


 ん!特級ポーションは値段が高いって聞いた事があるから、二個目の作り方で作った方がいいかもしれない!


 お母さんを見るとうたた寝しているみたいだ。


 そうっと布団から抜け出して、食器を持って部屋の隅に行く。

 なんとかの肝とか出て来たからね!

 ワンルームだから隠れるところが無いけどね!


 通販を開いて、上薬草からゴブリン肝までを検索で探してカートに放り込むと、今の2500ポイントだと、上薬草、ツムギ草、聖水しか買えずに予算オーバーしたので、魔力が回復してから残りを購入することにする。

 目の前に出て来た商品の品質を落とさない為にすぐにアイテムボックスに入れると、なんだか眠くなってきた。

 魔力をほぼ使い切ると眠くなるのかな?


 お母さんの隣に潜り込んですぐにスヤァと眠りについた。


 ◇◇◇


 ん?何だかポカポカする。

 良い気持ち。

 ふぁ〜あ。


「ふふっ。可愛い。ゴホッ」


 ん?お母さんの声。

 起きる。起きるからね。


 無意識にお母さんの胸に擦り寄っちゃう。

 意外とお母さんはまな板な胸なんだよね。

 ふふっ、私も将来はまな板かも。


 あ、頭が冴えて来た。

 そうだ!お母さんの薬を作らないと!


「ゴホッ、ゴフォ、ゴフッ、ゴホッ」


「お母さん!」


 慌てて起き上がって咳き込んでいるお母さんの背中と胸をさする。

 呼吸が苦しいんだよね?ごめんね。すぐに薬を作るからね。


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