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市場調査 2

 人生油断は禁物です。

 調子に乗っている時ほど注意が必要です。


 衛兵さんは、それはゆっくりと歩いてくれました。


 しかし、190cmはありそうな巨大な男と、栄養不足の幼女に新しい履き慣れない靴。靴下は履いてません。


 衛兵さんと手を繋いだまま、ポーン、と転けて、衛兵さんが手を握ってくれていたので大事にはなりませんでしたが、手で全体重を支えたせいで変な風に腕を痛めました。


 なんだか、ヤバい痛さです。

 骨をやってしまったのでしょうか?


 こっそりと自分を鑑定。


名前 チヤ(ハースネル)

年齢 5

体力 15

魔力 123

スキル 鑑定 通販レベル1 アイテムボックス(時間停止、容量∞) 薬剤調合 鑑定阻害

状態異常 左肩の炎症(重度)


 左肩の炎症(重度)でした。

 骨はイッてませんでしたが、幼女、ピンチです。

 衛兵さんと繋いでいる肩が激痛いです。

 幼女だから目に涙が滲んでしまいます。


「ついたよ。ここからは1人で行けるかい?」


 きゅるん!

「だいじょうぶです!ありがとうございました!しんせつなえいへんさん!」


 衛兵さんの顔がデレッと歪みます。

 幼女趣味ではなく、照れているだけと信じたいです。


「それじゃあ、帰りは気をつけてね。バイバイ」


「ありがとう!バイバイ!」


 右手を大袈裟に振ります。


 衛兵さんが後ろを向くまで手を振ってから、調味料屋に向き合います。

 入り口の扉が閉まっているので、痛い左手も使いながら両手で重い扉を少し開けてから薄い体をすり抜けて店の中に入ると、ツンと鼻につく独特の香りがしました。


「おっ?小さなお客さんじゃないか。珍しいな。お母ちゃんからお使いでも頼まれたかい?」


「こんにちは!ちがいます!5歳になったから、しゃかいべんきょうちゅうなのです!」


 左肩が痛くても、幼い幼女に擬態しますよ!


「はは、客じゃないのか。まぁ、暇だから好きに商品を見てな。暗くなる前に帰るんだぞ?」


「はい!おじゃまします!」


 案内をしてくれはしませんが、悪いおじさんでは無いようなので、ゆっくりと鑑定しながらメモを取りましょう。


 左肩が痛い。


 まずは塩の価格です。


 商品を見てみると日本の古き良き米屋ような店内です。

 ここには植物油も売っているようで、調理に使う物が一通り置いてあるようです。


 鑑定しながらA4の紙にメモしていきます。


 キィ


「おーオルスさん、久しぶり!今日は塩を買いに来たよ!沢山買うから安くしとくれ!値段は変わって無いかい?」


 お客さんが来ました。

 普通の「家庭のお母さん」ぽい人です。


 私は邪魔にならないように隅に寄りますが、耳はダンボです。


「値段はいつも通りだよ。んー、いつも俺の店で買ってくれるからなぁ。1ジアル買ってくれたら50シアならおまけするよ」


「もー!儲かっているくせに!もう一声欲しいね!」


「じゃあ、1ジアル買ってくれたら、70シアだ!これ以上のおまけはつけないよ!」


「それでいいよ!ありがとね!これからも贔屓にするよ!」


 チラチラと盗み見ていると、軽量カップのような物を取り出して、塩が置いてあるらしき所にいって、お客さんが持ってきた瓶の中にキチンと測って入れていきます。


 (う〜ん?光の関係なのか?塩が茶色い気がする……?ハッ!混ざり物があるのか!?)


「はい、1ジアル70シアで1200ルビだよ。……はい丁度貰うね。他には買わないかい?」


「もう!馬鹿を言い出ないよ!上級国民じゃないんだから、塩と油ぐらいしか買えないさね!油はまだあるから、無くなってから来るよ。在庫はあるのかい?」


「んー、冬が終わったばかりだからなぁ、油の値段は少し上がりぎみだな。やっぱり秋が1番安いよ」


「そうかい。残念だね。じゃあ、また来るよ!ありがとうね!」


「はい、まいどー」


 主婦っぽい女の人は店から出て行った。


 塩が気になって仕方がないので、近くに行き塩を鑑定する。


●ジルビエの塩(低品質)

ジルビエ海岸で造られた海水から作られた塩。細かい砂が混ざり混んで品質を落としている。


 値段を鑑定!


●ジルビエの塩(低品質)

 100g 1200円 120ルビ


 ほえー、たっか!砂が入っているからジャリジャリするんじゃないの?

 まあ、いいや。

 目的は達したから、他の品物の鑑定をしよう。


 それからチヤはたっぷりと45分ぐらい居座ってから、おじさんにスマイル0円の顔でお礼を言って店を後にした。


 後は服屋さん。

 古着が一般的なんだよね。

 道行く人達の服装が私の服より痛んでいるのが気になる。

 なんとなく生地は厚そうに見えるけど……。


 親切な衛兵さんが教えてくれた服屋(古着屋)にたどり着く。

 ここは扉が開いているから、そのまま中に入る。


 ん?なんか、臭い?


 店内は意外にも広かったが、大きな箱の中に『男 大人用』とか『子供 1歳から10歳』と結構大雑把な陳列をしているようだ。

 箱の中を見ても、ごっちゃりとぐちゃぐちゃに服が入っていて畳んでいる様子はない。


 あれ?カウンターに近い場所の服は丁寧に畳んであるし、値段も書いてある。


 ぐちゃぐちゃの服は叩き売りだったようだ。


 ここの店員さんは私がいても我関せずだったから、気ままに、見たい物を見て、一般価格を頭に叩き込んでから、良い時間になってきたので、家に帰る事にした。



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