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目覚め

 ハッ!

 っと、チヤは荒い息を吐いて目が覚めた後に目をキョロキョロとさせて今、自分がいる場所を探し始めた。


 そして、自分の顔を触ったり、手を見たりして、自分がチヤ(・・)だと確認した後に、大きく息を吐いた。


 『前世の記憶が融合した』


 今のチヤは、ただの5歳児ではなく、地球の日本で生きた記憶を持つ『新生チヤ』として脳内的には【大人】となったが、いまいちこの世界の常識には疎い、まだまだ子供だった。


 横に母が安らかに眠っているのを確認したチヤは、異世界転生物の定番である事を実行した。


「ボソッ、ステータスオープン」


 ブンッ、と目の前に何かが現れた。



名前 チヤ(ハースネル)

年齢 5

体力 15

魔力 2500

スキル 鑑定 通販レベル1 アイテムボックス(時間停止、容量∞) 薬剤調合 鑑定阻害


「……チート?」


 何となく『異世界ならコレ!』というスキルがチヤにはあった。


「えーっと、通販、を、鑑定?」


●通販レベル1

 地球とソレイユの物品を魔力か金銭で購入できる。レベル1なので通常品まで。


「おっ?おおっ!」


 ハッとして母の方を見るとスヤスヤと寝ていたので、慌てて口を押さえていた手を外して、次に試したいことをした。


「ボソッ、薬剤調合を鑑定」


●薬剤調合

 薬草や魔物素材を調合出来る(手作業、魔力調合どちらも出来る)。


「ぉぉぉ!」


 今度は大きな声を出さずに済んだチヤだった。


「えー、アイテムボックスを鑑定」


●アイテムボックス(時間停止、容量∞)

 任意の自分の物を異空間・アイテムボックスに認識しただけで入れることが出来る。時間停止。容量∞。


「ぉぉ?ぉ?」


 私の物だけを入れる事が出来るのかな?時間停止と容量∞はありがたいけど、ちょっと使い勝手が悪いかも。

 他人の物は入れれないん、だよね?


「次は、鑑定阻害を鑑定」


●鑑定阻害

他人からの鑑定を阻害出来る。


「ん?」


 (そのまんまじゃん!)


 でも『通販』を鑑定で他人に見られないのは良いかも。


 えーっと、使いたい時は声に出すのかな?


「通販」


 ブンッ。


「お、おー!」


 や、ヤバい!テンション上がる!

 某通販サイトみたいな検索画面や今日の割引品が出て来た!見ているだけで楽しい!

 この世界には娯楽があまり無いんだよね。


 今、住んでるココも貧民街だし、みんな生きるのに精一杯なんだよ。


 お父さんのことは覚えていないけど、私がお母さんのお腹にいる時に死んだらしくて顔も覚えてない。

 と、いうか、お腹にいたんだから何にも覚えてないんだけどね。


 お、通販のポイントが2500になってる!

 う〜ん。

 この数字、どこかで見たような……?


 あっ!魔力で買えるって鑑定結果だったから、私の魔力だな!それに、ネットスーパーみたいに食料品も買える!

 魔力と通販のポイントが連携しているんだな!


 ゔー。

 お腹が空いてるから、どれも美味しそうに見える。

 食料品が……。


 い、いいよね?

 試しに買ってもいいよね?


 パンを買い物カゴに入れて、購入ボタンを押す、と。


 パッと膝の上に菓子パンが出て来た!


 減りに減りすぎたお腹に急かされるように急いで包装紙を破って齧り付く!


 じ〜ん。

 な、泣ける。

 涙が出てくる。

 記憶にあるチープな菓子パンなのに、すんごく甘いしパンは柔らかいし、口が喜んでるし、何か脳がバナナを食べた時みたいにジーンと痺れてる。


 もぐもぐと味わって食べて、ペロリと平らげてしまい、お腹いっぱいになって幸せ……。


 あ、お腹がいっぱいになったら眠気が出て来た。

 お母さんに寄り添っておやすみ〜。


 ◇◇◇


「入るよ〜!おはよう!」


 寝てるのに。

 誰?うるさいな〜。


「むぅ」


「ありがとうございます、ステラさん。ゴホッ。毎日ありがたいです」


「ははっ!うちらみたいな貧民街の住人は助け合わないと生きていけないからね!お金が返せなくなったら言いなよ!うちの息子がチヤにホの字だからね!チヤちゃんを貰うよ!」


 会話が聞こえる。


 お母さんと、そう、近所のステラおばさんだ。

 いつもステラおばさんは朝食だけ作りに来てくれるから、私とお母さんは最近、1日一食生活……体に。


「よくにゃい!」


「あら、ゴホッ、チヤ、起きた?おはよう。体調はどう?お口を洗えるかしら?」


 あ。目が覚めたら隣からお母さんが覗き込んで来た。


 こう見ると、お母さんて美人さんだよな。貧民街の住人じゃないみたい。


「おはよう……お母さん」


 私は起きて、ペタリとお母さんに抱きつく。


 5歳だから仕方がないんだもん。


「いい子ね。お口を洗って来てちょうだい。くちゃいくちゃいですよ」


 くちゃいくちゃいって、可愛いな、お母さん。


 そうだ。

 私は5歳。いきなり大人な行動をしてはいけないんだ。


「お口、洗ってくる」


「いってらっしゃい」


 ここは王都の貧民街だから、多分普通の貧民街よりも治安は良い、はず。

 人攫いとかにあってないからね。

 普通の貧民街なら美人のお母さんと2人で生きていけなかったはず。

 それに助け合いの精神があるからね。


「ステラおばさん、おはよう」


「チヤちゃん、おはよう!今日も可愛いね!」


「ありがとう」


 う〜ん。日本人の感性が戻って来たから服がゴワゴワなのも気になるし、何だか頭が痒いんだよね?シラミが湧いてないかな?靴はわらじ?のサンダルみたいのでチクチクするし。


 王都の貧民街にも共同井戸がある。


 もう、朝日が出てから暫くたってるみたいだから、井戸の周りで貧民街の人達が洗濯をしているかもしれない。

 もちろん、貧民街に石鹸は無いよ。残念だけど。

 トイレしても手は洗わない。排泄物はトイレの中にいるスライムが消化吸収してくれる。

 いっぱい食べすぎるとスライムは大きく成長してしまう。 でも食べる物や水分が無くなると小さくなって、最後には干からびて死んでしまうらしい。

 ちょっとかわいそうだけど、スライムの再利用をする人はいない。

 死んでしまったら、壁の外に出て草むらを探せば新しいスライムが見つかるから、子供のお小遣い稼ぎ的に捕まえてこれる。

 でも、スライムは燃費がいいみたいで、お母さんと私の排泄物だけで今のところ生きている。なんかね、ぼっとんトイレみたいんだけど、底でテラテラとしているのが見えるんだよね。

 

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