表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/114

差別って、酷くね?

「お、お母さんっ!それは私が苦肉の策で生み出した文字です!よく出来ているでしょう?!」


 しまった!声が上擦ってしまった!


 誤魔化されろ!おかん!


「よく見ると規則性があるのよね?なんかカクカクしているし。それにわかりやすいわ。これは1、2、3、4、5、6個書いているからステラおばさんの家族かしら?ステラおばさんも『服を貰った』って言っていたものね?じゃあ、この1つは何かしら?新しい注文?」


 ぶつぶつと呟いていたおかんが、最後だけ私に質問してきた。

 私は「うんうん」と首振り人形になる。


「あら〜!チヤちゃんって天才じゃない〜!これじゃあ、すぐに文字も数字も覚えられるわね〜!」


 すっごい、ニッコリと「我が子は天才」だと思い込んだくれた。

 ふ〜、嫌な汗をかいたぜ。


「チヤちゃん、この文字だけ外の字と違うみたいだけど何かしら?」


 ヒョイと見ると、服のサイズのアルファベット表記だった。

 見本の服のタグ部分を見せながら解説する。


「服の大きさだよ。ほら、この服にLって書いてあるでしょ?この服はLサイズなんだよ」


「あら〜、本当ね〜。服の見本をお母さんにくれる?」


「はい」


 ヒョイと机の上に置いてある服をお母さんの方に渡す。


 全ての服を見たお母さんが、またビビる事を言い出した。


「チヤちゃん。この服はチヤちゃんがスキルで買った服なのは分かるわ。だけどね、お母さん、この服の文字を読めないの。でも、チヤちゃんは読めているわよね?何でかな〜?お母さん、気になる〜?」


 脂汗が出ない体質で助かったぜい。

 これまたピンチだぜい。


 ◇◇◇


 はぁ〜〜〜。


 あの後は、誤魔化すのに大変だった。


 だって「MADE IN C」とか書いてあるんだぜぃ?


 「お母さん意味わかんな〜い!チヤちゃんは分かるの?」だぜぃ?


 最後は「私のスキルだから分かるの!!」と言い切って逃げたぜぃ。


 逃げ道は約7畳の部屋のベッドの中だったけどね!

 同じ部屋だから逃げられないんだぜぃ!


 そして今はどうしてるって?


 キャロを通販で販売されているチープな布鞄に入れて、形だけの紙と鉛筆を用意して孤児院学校に向かってるんだぜぃ!

 多分、朝の9時頃!だと思う。

 陽気的にね?きっとね?


 孤児院の場所は知っている。

 貧民街の第一地区だからだ。

 孤児院って教会運営なんだよ?なのに貧民街にあるのおかしくね?

 何となく教会が腐った臭いがするね?生臭坊主ってやつ?あ、神官だったっけか?

 みんな「神官様」って言ってるから、私も「神官様」って言わないとね?


 言いたくねぇー。


 今から行く孤児院学校が良い環境なら「様」付けしてやるぜ!


 王都ってね、広いんだよね。

 だから、貧民街の中だけを歩いているのにもう40分くらい歩いた気になる訳。

 子供の足って辛いわー。

 それに『草履もどき』だよ?

 貧民街の人のほとんどが履いてるって事はきっと近くの村の内職とかだよ。

 王都の靴屋さんが多分、材料麦わらで草履を編むのが想像できないから。

 王都の土地って高いんだよ。

 貧民街以外は。

 聞いた話だけど、最下層の仕事をする人が居なくなると他の富裕層達が困るから、貧民街の土地代が安いのは『優遇措置』とか言ってるらしいけど、必要な貧困て事。

 誰でも汚れ仕事はしたくないって事だね。

 それを『貧民街の住人』に仕事を『斡旋』しているていを取っているのが許せないよね?

 でも、上手い事、社会が回ってるから母子家庭のお母さんと子供2人で生きていけるんだけどね。


 何処の世界でも貧しい人は辛いよ。


 富裕層にゴブリン肉を食わせてやりてぇ。


 意外と食べれたけどね!ゴブリン肉!

 何故いつも『ゴブリン肉(足)』なのか!腿の肉がええんか!?ふくらはぎか!?

 冒険者の人が「ちょいっと帰りにゴブリン肉〜」とか小遣い稼ぎに持って帰って来そうだそうだけどさぁ。


 と、やっと、孤児院が見えて来た。

 平たい道なのに疲れる〜。


 お?おおお?

 孤児院、大きくね?いや、大きいわ!

 きっと奥行きも有るよね?そんなに孤児って多いの?


 チラッとキャロ3つを見ちゃう。


 足りないよね?

 うん。足しにもならないわ。

 本当に『お気持ち』ってやつだと思う。


 意外と教会って良い組織なの!?

 精神年齢おばあちゃんだからさぁ!わかんないのよ私!

 体は子供!頭脳はおばちゃん!その名はーーって、やってらんないよ!

 そうだよ!私、死んだ記憶が無いから突然死って奴だと思うんだよね。

 うん、死んだ記憶が無いのは幸せだ。

 妹とその旦那は生きてたよ。

 今は知らないけど。


 ◇◇◇


 孤児院の門前に来た。


 多分、貧民街側って裏門だよね?きっと。

 多分孤児院て貧民街と教会を隔てる為にあるんだろうな〜という事が分かるのですよ。

 何故かって?


 孤児院の向こう側にどでかい建物!The 教会!!ってのが立ってるの!!何故気がつかなかった!?私!!


 え?隣にあるなら孤児院学校必要無くね?

 貧民街の子も教会行けばよくね?隣なんだよ?

 あれじゃね?富裕層が孤児院を笑いたいだけじゃね?貧民街を馬鹿にすんじゃ無いよ!?


 ぜぇったいに!貧民街で綺麗な新品の服を流行らせてやるぜ!!

 目標が出来ちゃったもんね!


 靴は……我が家だけ、ちょっと履き心地の良い見た目ボロっぽい靴を履こうかな〜?


 だ、だってね?内職が無くなったら困る人がいると思うけど!服は!服だけは!雑巾みたいな服は嫌だ〜〜〜!!!(あ、言っちゃった)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ