カレーが食べたい 2
そう、『伯爵家の不思議』。
昔からだが、時おり『オババ様』と呼ばれる老女が現れて、スイード伯爵家の皆様に気安く接しられる。
『オババ様』の存在は『秘匿』すべきであり『スイード伯爵家の相談役』として周知されている。
そして、何故かオババ様は、重要な時に忽然と現れて、スイード伯爵家の皆様と『スイード伯爵家の者以外立ち入り禁止』の部屋へ一緒に入って行かれる。
そして、その部屋へ掃除に入った好奇心溢れる若い使用人から報告されるのだ。
『立ち入り禁止部屋』に特別なモノは無いと。
長く働くうちに好奇心は消えて『スイード伯爵家』に雇われている幸運に次第に感謝するようになる。
使用人の子供が理由のわからない病気になり『教会に行っても治らない』と老年の執事に涙ながらに助けを求めた時に『奇跡』が起こり『教会の神官様が諦めなさい祈るのです』と匙を投げた子供の病気が治り、元気に庭で遊び回るのを目撃して。
そして、ある騎士は『妻が馬車に轢かれて重傷だ』と老年の執事に相談すれば、翌朝には教会が匙を投げるほどに痛ましかった傷跡の数々が完璧に治り『奇跡だ!』と言い。
『スイード伯爵家の領地の騎士様』は「何故そんなに伯爵家の皆様を崇拝するの」と問う王都使用人に「この家の、スイード伯爵家の皆様ほど素晴らしい人はいない」と答え、王城の騎士様にも負けない忠誠を見せ、時間が経つにしたがって『スイード伯爵家の皆様は素晴らしい』と忠誠を見せる使用人で固められる。
そして、時々現れる『オババ様』と『金髪の男女達』は、門番が屋敷に通していないのに、屋敷内を自由に動き回り、時にはスイード伯爵様と共に動き、そして気がつけばいなくなっている。
長年勤める使用人達だけが密かに秘密を共有する『エルフ』だと確信しているが、それを大っぴらにする馬鹿な使用人はいない。
その強固に思えた体制が壊れたのが『春の粛清』だ。
ずっと行方不明だった伯爵様の次女のお嬢様のお帰りに年配の使用人達は涙を流して喜んだが、そのお嬢様のソフィア様には娘がいた。
スイード伯爵家の誰にも似ていない髪色に、平民のような装い。
それは、ある方々を連想させられた。
『エルフ』だ。
ソフィア様は『エルフ』の夫とご一緒だったのではないか?
だからオババ様直々にお迎えになり『立ち入り禁止部屋』にこもられたのではないか?
そして、いつのまにか気がつくと『チヤお嬢様の耳にあの方々と同じピアスが有る』と噂になり、ソフィア様はどこから仕入れた情報か『知らない料理の数々』を作り『黒い調味料』の『しょうゆ』と『めんつゆ』と言う物を持ち込まれ料理人達に衝撃が走った。
とにかく『繊細な味わい』なのだ。
料理人は『黒い調味料』に夢中になり、スイード伯爵家の皆様の舌を満足させた。
この知識は『エルフ』のものではないか?
誰もが否定できなかった。
そして、そのチヤ様が新たに口にされた『かれー』と言うスパイスの効いた料理。
心が躍りますね。
◇◇◇
翌日、朝食を食べた後に厨房にお邪魔するチヤは、緊張していた。
日本のカレーは『カレールゥ』と言った便利な品が出回っているが、昨夜に寝る前に「カレールゥって不審じゃね?」と気がついてしまったのだ!
そして、カレー粉の作り方を異世界あるある雑学から引っ張り出して、なんとか、「スパイスは4つ必要だったはず」と「大さじ1杯の物が2種類に小さじ1杯の物が2種類だったはず」と調合を思い出して、これ以上、記憶を探っても詳細は出てこないと諦めて、『通販ブックス』にて『カレーの作り方』の本を購入して、無事にスパイスを手に入れました!
そして、なんと!カレーのスパイスは『最低4つ』であり、スパイスをいくつ混ぜても良いのです!
これは、私調べの購入した本に全貌の信頼を寄せる、私の『初心者のスパイスカレー作り』からお送りします。
とにかく!
私の目指すカレーのスパイスは『5つ』ありました。
1つ目が『クミン』。
カレー作りには欠かせないスパイスらしいです。
2つ目が『コリアンダー』
クセが強くなくて使いやすいスパイスのようです。
3つ目が『ターメリック』
こちらは前世の私が大変お世話になったスパイスです。
汚い話だが、便秘気味でお通じを良くする漢方を飲んでいましたが、この『ターメリック』を毎日飲むようになると、腸がスッキリしているのがわかるくらいに便通がスムーズです。
もはや『神』スパイスですね。
ターメリック様様です。
しかし、注意点があります。
とっても!不味い!です。
飲む時には工夫をして飲みましょう。
4つ目は『カルダモン』です。
お値段が他のスパイスよりお高いので使う量には注意しましょうね。
そして最後の5つ目が『シナモン』らしいです。
世界最古のスパイスの一種らしいですよ。
そして、日本人の舌に合わせたカレーに必要な食材とは『小麦粉』です!
カレーに自然なとろみをつけてくれます。
私は『初心者のスパイスカレー作り』を本を手に持って、いざ!料理長に笑顔で迎えられた。
そして、幼児が為に火の近くに寄らせてもらえないチヤは、日本語で書かれたカレー作りの本を手に料理人達によくわからないながらも指示をして、幼児の命令にも等しい指示に嫌な顔をせずに従ってくれた料理人達が作る手元から、カレー独特の風味が厨房いっぱいに広がり、思わず『あっ、味見をします!」と言うチヤの言葉が飛び出していた。




