ステラおばさんの息子4人の服を選びましょう
「じゃあおーれも!」
三男・カイがガバッと服を脱いで服を体に当ててから着た。
「うーん、ちょっと小さいかな?兄ちゃんが着てる服、次に着させて」
次男・ジンが静かに試着していた服を三男が貰うとする。
「おう、ちょっと待っててな。うーん、ちょうど良いけど、また少し大きい方が長く着れるかな?チヤ、これより大きいサイズある?」
「うん!あるよ!少し大きいくらいで良い?それともダイさんが来ている服も着てからにする?」
「うーん、そうだな。兄ちゃんの服も着てから考える」
末っ子のダンが1番小さい服を着てテンションを上げている。
「チヤ!チヤ!俺っ、この服が良い!」
「わかった。服の色は何が良い?」
末っ子のダンが驚いたような顔をする。
「えっ!?白とか茶色だけじゃないのか!?」
基本的に安い布は生成りの服だ。
古着は白い服が汚れて茶色くなっている物が多い。
偶に色つきの服もあるけど穴あきだったり、破れている物が多いので色つきの服は高いのだ。
それに生成りの色は真っ白ではなく、やや黄みや茶色がかっている色が多い。
まあ、それだけ色つきの服は値段が高いのだ。
「うん。赤とか黄色とか青とか黒でもいいよ。黒は夏には暑いだろうけど」
このチヤの言葉にはステラおばさん家族は全員驚いた!
ステラおばさんが恐る恐るチヤに聞く。
「値段が高くなるだろう?」
「ううん。同じ値段!」
これにはステラおばさんも頭が痛くなる。
子供達にいい思いをさせてやりたい気持ちと、チヤを案ずる気持ちがせめぎ合う。
「チヤちゃん」
ステラおばさんが強い声を出した。
ステラおばさんの低い怒る時のような声に、思わず4兄弟とチヤの背中が伸びる。
「生成りと草木染め以外の色は100ルビ値上げするんだよ?わかったかい?」
叱られていないのに、何故か叱られたような怖さがあってチヤは「うん」と素早く頷く。
「で、でも、お、お兄ちゃん達は着ているだけで、ウチの服の宣伝になるから、値段はそのままでいいよ?」
チヤは恐る恐る主張する。
服を提供するこちらにもメリットはあるのだと。
ステラおばさんは大きな息を吐いた。
「……チヤちゃんの言葉に甘えるよ。あんた達!色つきの服が安く手に入ったなんて他人に言うんじゃないよ!わかったら色つきの服を選んでヨシ!」
「「「はい!」」」
「はい」
長男のダイさん以外は兵隊のように返事した。
ダイさんはもうすぐで成人の15歳だからね。落ち着いているのだ。
「チヤ、1番大きいサイズより少し大きい服は有るか?」
「あるよ。ダイさんはLLサイズね。服の色はどうする?」
ダイさんは少し考えた後に「……藍色はあるか?」と聞いてきた。
藍色とは紺に近い色で、主に商人さんが来ているような色だ。
まあ、金持ちの象徴とも言える。
憧れがあったんだね。ダイさん。
「有るよ。もう少し濃い色になるけど良い?」
「十分だ」
「よし!ダイさん決定!」
「兄ちゃん、服貸して」
「おお、すまんジン」
次男のジン兄ちゃんが来ている服を三男のカイ兄ちゃんに渡して、ジン兄ちゃんがL、カイ兄ちゃんがMサイズを着た。
お互いに肩を回したりしてサイズを確かめている。
「なぁ!なぁ!チヤ!おれ、赤がいい!」
末っ子のダンはSサイズの赤色が良いらしい。
「わかったよ。Sサイズの赤、っと」
今のダンにSサイズは少し大きいように見えるが、ダンが良いならそれで良い。
ダン用にはSSサイズを用意してたんだけどな。
「チヤ、俺はこのサイズがいい。色は青がいいな」
次男のジン兄ちゃんはLサイズの青色ね。
「わかった」
「チヤ、チヤ、俺はこのサイズの黒色がいい!」
三男のカイ兄ちゃんはMサイズの黒がいいらしい。
「えー、夏になったら太陽の熱を黒色が吸収して熱くなるよ?それでも良い?」
「う〜ん、どうせ夏服は冬に服の下に着るからな。俺は黒にするぞ!」
「はい、はい」
全員決まった所でステラおばさんが話しかけてきた。
「ダンナが仕事から帰ってきたらダンナの服も注文していいかい?」
「うん!いいよ!夕方ぐらい?」
「そうだね。夕食前に連れてくるよ」
「ステラおばさんも試着してみて!ステラおばさんの服はプレゼントするよ!」
ステラおばさんが狼狽えた。
「い、いや、私の服は要らないよ!今ある分で充分さ!」
私は仁王立ちして腕を組み胸を張る!
「ダメです!ステラおばさんの朝食は美味しいのでプレゼントです!」
長男のダイさんが「母さん着てみなよ」と進めるとジン兄ちゃんもカイ兄ちゃんもステラおばさんに勧め出す。
「仕方ないねぇ」とステラおばさんも満更でも無い顔でSサイズを手にしたので、慌ててLサイズを手に取ってステラおばさんに「これ!」と手渡した。
ステラおばさんは肩幅があるからLサイズだと思うんだよね。
ステラおばさんはTシャツを着て「すごい生地が良いねぇ」と嬉しそうな顔をしていた。
や、ヤバい!女の人だからおっぱいが透ける!
これは、下着を考えないといけないぞ!
机の上がガタガタだったので、下敷きを引いた上に紙を乗せてステラおばさんのサイズを書く。
色は薄ピンクでいいだろう。
中年女性が可愛い色を着てもいいのだ!
「それじゃ、邪魔したね。私らはこれで帰るよ」
私はハッとしてステラおばさん達を止める。
「ステラおばさん!100ルビの服か150ルビの服か決めてないよ!」
「え?色つきなんだから150ルビだろう?」
不思議そうな顔をして確認してくる。
「違うよ!生地の厚さで値段が変わるの!こっちが150ルビで厚くて、こっちが100ルビで薄いの!」
「本当だ。厚さが違う」と不思議そうにみんなが服を触り出した。
私的には夏に着るTシャツは薄い方が好きだけどね。
ステラおばさん達は相談して、薄い方を2着ずつ買う事に決めたようだ。
色の希望も聞いたよ。
そして、夕方にはおじさんが家に来て、LLサイズの水色を選んでいった。
水色が好きなのかな?
と、思ったところで、ステラおばさんの髪色だと思い出した。
お熱いね。