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早朝撮影

朝6時の田舎の寂れた商店街で活動してる人間はゼロ。

いや、そもそもこの商店街って土日とか連休とかの真昼間でもほぼ人いない場所なんだが。

一応夜の繁華街とか言われているけど、夜は来た事無いので本当かどうかは分からない。

田舎ってこんなモノなんだろう。

かと言って私はこの町しか知らないから、他の町の早朝の様子なんて知る由もないけど。

こんな中、そそくさと機材を設置したりと慌ただしく動いてる人の中で、隅の方で仲良さそうに話している2人のイケメンに目が釘付けになってしまう。

あの2人のイケメンは多分今日の主役だろう。

新人さんなのだろう。周りにいる人達も彼等が誰なのか分からないようで、彼等が何者なのかをスマホでこっそりと調べていた。

2人がワチャワチャとしている姿がとても可愛くてずっと見てしまう。

名前も知らない俳優さんと言えども、そこはやはりオーラが違う。

その新人さんを見て初めて早川俊を見た時の事を思い出した。

早川俊はその時既に注目を浴びているアイドルで、初のドラマ作品と言う事もあり、どこで聞きつけたのか早川俊ファンであろうギャラリーがちらほら見掛けられた。

そんな中で早川俊の近くにいける事が嬉しかった。

当然話す事も触れる事も目を合わす事さえ出来ないが(いや、運が良ければ目は合う)、画面では知り得ない何気ない表情や仕草を見れるだけで幸せだった。

懐かしいな。


「西原さん?おはよう!」


顔を上げるとそこにいたのは…。


「あ、鈴木さん、おはよう」


エキストラ友達の鈴木涼夏さんが目の前にいた。

ほんの少し年上の鈴木さんはあちらこちらのエキストラに出演されている、ベテランエキストラの方だ。

数年前の早川俊の現場で一緒になってから、度々出くわすようになった。


「今日何のCMか聞いた?」


「ううん」


清涼飲料水のCMとしか聞いていないため、取り合えず規定の夏服を持参しているもののどこのメーカーなのか?いつから放送なのかまだ何も聞かされていない。


「待ち時間長そうだね、西原さんが一緒で良かった」


長い黒髪を耳にかけクスリと微笑った。

鈴木さんが普段何の仕事をしているのか聞いた事は無いが、突然の募集にも関わらずよく集まれるなーと思う。

それはここにいる大多数の人も同じだ。

ここにいる人達は一体どんな仕事をしているのだろう?

せめて一ヶ月前から決まってたりするなら、休みを取る事はできるきもしれないが、急に決まるエキストラも多いのに毎回(私も毎回来てる訳じゃないけど)、やってくる人もいる。

老後の趣味としてエキストラをやっている人は分かる。

だけど、どう見ても普通の会社員の人、どうやってここにいるの?

まぁ、人は人。

この間の早川俊に言われた言葉を信じて今日も演技頑張る。

私がテレビに映るところを推しが見てくれるんだから。



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