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当たり前

「おはよ」


昨日までと全く変わらない朝に昨日までとは180度変わった早川俊が私に笑顔を見せた。

いい加減だったボサボサの髪の毛が嘘みたいにサラサラと纏まり日差しを受けてるせいか天使の輪っかまで見えるぐらい艷やかになり、着崩しているブラウスの首元から見える細い血管が色っぽい。

見た目だけ変わった訳では無く、早川俊を纏っているオーラが明らかに変わった。

昨日まで隣歩く事に何とも思っていなかったのに

目に当たるサラツヤ髪の毛を邪魔そうにどかした。


「眼鏡してないんだね…」


もっと他に言うべき事があったはずなのに言葉が浮かばない。

それどころか昨日までは普通に隣歩けていた早川俊の隣を歩くどころかまともに姿を見る事ができない。

一般人からは到底出す事のできないキラキラオーラ。

生まれもっての芸能人オーラ。

逆に昨日までの彼がどうやってこのオーラを隠していたのか?

ほらほら、誰もが振り返っていくやん。

全ての人間の視線の先に早川俊が映ってるじゃん。

昨日まで彼の存在なんて全く興味無かったくせに。


「おはよ、望愛!」


滅多に話した事のない級友が当然のように私の隣に立つ。

早川俊も早川俊で彼女に白い歯を見せてるし、何なの!


「何で急に…こんな事…」


私は早川俊を見上げた。


「こんな事って何?」


「え…っとだから…」


改めて聞かれると何て答えていいのか分からない。

こんな事と言えるぐらいの事してる?

そもそもこれが彼の本当の姿で今までが偽りだったのかもしれないし…。

ん?だったら逆に何で今までそんな事していたのか?


「西原望愛、キミが見ていたボクはこんな感じだったろ?」


いつもキラキラな笑顔で、彼がそこに立っているだけで目を奪われてしまう、さっきまで何悩んでいたかとかこの先どうするんだっけ?とかそんな事どうでも良くなる。

ただこの一瞬だけ、彼の姿を見られるならこの一瞬だけ目に焼き付けたい。

この一瞬だけを生きたい。

それが早川俊。


「永遠にボクのファンでいたいっていつも言ってくれて嬉しかった、ボクをいつも応援してくれるって言ってくれて嬉しかった、ステージから見るファンの笑顔にボクは支えられてたんだ」


「そんな…ファンならそんなの当たり前…」


「当たり前じゃないよ、当たり前じゃない、少なくともボクは支えてくれるファンが応援してくれる事を当たり前だなんて思った事ないよ」


それは私も同じかもしれない早川俊がステージに立って笑顔を見せてくれる事、早川俊がファンサをくれる事を当たり前だなんて思った事一度も無かった。

あの一瞬一瞬が当たり前だなんて思っていなかった、だから、私はいつも全力で早川俊を応援していた。








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