表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好きと言ってもわからない~精神年齢10歳の次期当主に求婚された件~  作者: ことのはじめ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/33

第17話 だってきれいだから

 庭の散策を終えたアイリはユリウスに連れられ、彼の自室へと案内された。屋敷の最上階にあるユリウスの部屋は、珍しいことに外側から鍵を掛けられる仕組みになっていた。

「俺の部屋。オルヴォたち以外に見せるのはアイリが初めてだけど、へへ、ちょっとくすぐったいな」

 そう言ってユリウスはアイリを部屋に招き入れる。

 ドアの向こうは、天井の高い大きな部屋だった。二階分の高さを吹き抜けにした天井は空のように青く塗られ、床は草原を模した若草色の絨毯が敷き詰められている。壁際には作り付けの本棚とライティングディスクが設えられ、物語から学術書まで様々な本が詰め込まれていた。

 部屋の中央に置かれたベッドの周りには、ボードゲームやトランプといった遊び道具が散乱している。

 立派な子供部屋、とでもいえばいいだろうか。見た目とは釣り合わないが、中身の精神年齢相応の部屋ではあった。

「天井が高いですね。灯りを付けるのが大変そうです……あれ、灯りは」

「わざわざ照明なんて点けなくても魔法で明るくすればいいんだよ」

 アイリが天井に照明がないことに気付くと、ユリウスは天井に指をさして軽く振ってみせた。すると青く塗られていただけの天井がほんのりと輝きだし、まるで昼間の空のように遠く透き通った。

「魔法はあまり見たことなかったのですが、こんなこともできるのですね」

「うん。光を使う魔法は得意なんだ。部屋の中にいるのに外にいるみたいでしょ? だから外に出たときもおんなじ空であんまり驚かなかったなー」

 ユリウスは自慢げに笑ってアイリを部屋の中央まで連れてくる。散らかったボードゲームの駒を踏まないように気を付けながら歩き、ぽんとベッドに腰かける。ユリウスはアイリにも座るよう促して、アイリもそっとユリウスの隣に腰を下ろした。

「こうやって部屋の空を眺めるのも久しぶりだなぁ。出てから外ばっか見てたから」

「いつも見ているのではないのですか?」

「あれ、言ってなかったっけ。俺が屋敷の中を自由に歩き回れるようになったの、去年からなんだ」

「それは、初めて聞きました」

 ユリウスは意外そうな顔をしてアイリを見やる。アイリも少しばかり驚いてユリウスを見つめた。

「では、その前は」

「この部屋にずーっといたよ。昼も夜も、一歩も外に出ちゃいけませんーって」

「では、ずっとこの部屋に閉じ込められていたのですか?」

「そうなるね。でも十年もいたら飽きちゃうよ」

 足をばたつかせながらユリウスは空になった天井を見上げる。

「だからずーっと一人だったんだ。エレオノーラはたまに会いに来てくれたけど、いっつも難しい話ばっかするからつまんなかった」

 エレオノーラのことを聞き、アイリは先ほどのことを思い出す。

「ユリウス様はどうして私をお選びになったのですか? そもそも取り決められていたのはエレオノーラ様だったのでしょう?」

「えっとね、それはアイリが一番きらきらしてたからだよ!」

「きらきら……?」

 あの民衆の中では間違いなくみすぼらしい格好をしていたのに、アイリは不思議に思って問うてみる。ユリウスは少し興奮気味に答えた。

「アイリがね、みんなの中で一番きれいで、きらきらしてて、すっごく温かかったから! だから、アイリがいいって思ったんだ!」

「よ、よくわかりません……」

 ユリウスが大真面目に褒めるものだから、アイリはどうしようもないくらいにいたたまれなくなってしまった。同時に、とてもむずむずしてくすぐったい、変な気持ちに苛まれる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ