結社
8話目です。
短めですが楽しんで頂けたら幸いです。
戦闘が終わり、館を出て荒野を越え、集会所まで戻ってきた。相変わらずの賑わいで、殺伐とした雰囲気が薄れて少し安心を覚える。
「館の主、連れてきたぜ」
「館はどうなったのよ?」
「そのまんまだね~」
「この馬鹿!! 館をどかすっていう話だったでしょ!」
「いやいや、一応解決には向かってるから経過報告だよ。」
「はぁ……?」
まかせとけ、とあんまり信用ならない言葉にルインさんは呆れたような顔をした。
とりあえず今から、お兄ちゃん達が拠点にしているという家へ向かうのだそう。依頼を受けてそれを達成することによって生計を立てている人を、冒険者と言い、その人達がグループを組んで行動することが結社と呼ばれ、その結社一つの団長がお兄ちゃんらしい。……不思議なこともあるものだ。毎日寝坊ばかりのお兄ちゃんが人をまとめる仕事につけるのだろうか。
「…………こ、これは……?」
「結社の拠点だぞ。」
あまりにも信じられない光景に思わず疑問をこぼすが、帰ってきたのは想定内の答えだった。
これが結社の拠点……?空き家じゃなくて……?クモの巣が張ってるし、窓は所々割れてるし……
「まぁ、確かにおんぼろだよな。だから、今回の依頼の元凶様に手伝ってもらうんだ。」
「団長さん、あの人起きたよ。」
ハル君がそう言うと、ティロちゃんが先程戦った少女を担いで連れてきた。
「何よ!私をどうするつもり?!放しなさい!」
「ちょっと落ち着いて~!」
暴れながら連れてこられているが、ティロちゃんはびくともしていない。
「お前、あの館って魔法で作ったやつだろ?」
「だったら何よ。」
「ああいう感じのやつ、俺等の拠点として作ってくれよ。」
「はぁ?!」
なるほど……手伝うというかほぼ一人作業では……?
「できるか?」
「できてもやってやるわけ無いでしょ!」
「じゃあ収監所にいかないとだなー。」
「うっ……」
収監所何てものがあるのか、この世界は。いやまぁ、科学技術が魔法に置き換わっただけの世界だというあの子の言葉を信じるなら、あるか。
「し……仕方ないわね!そんなに頼むんならやってあげないこともないわよ!」
「助かる!!」
「じゃ、中にいる人全員外に出して。」
「おう、読んでくる。」
中にいる人?ティロちゃんもハル君もここにいるけど……まだ人が……?
お兄ちゃん達に連れられて、家の中から出てきたのは……
「せ、先輩……?」
最後まで読んで頂いた方、誠にありがとうございます。
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