地底の探求者
79話目です。
「う…………」
「あ、アルスさん。おはようございますっす。」
「……ここは?」
「お城からそこまで離れてない洞窟の中っす。アルスさん、ここで倒れてたんすよ。」
「全然記憶ないんだけど……私、何してたんだったかしら。」
「俺たちがアルスさんを怒らせちゃって、そのままどっか行ってしまったんで、探してたんすよ。」
「そうだったかしら……全く記憶にないわ。」
「まさかあなた、うちの団長のことも忘れたなんて言わないわよね?」
「そ、それは覚えてるわ! 確か……そう! 庭の木に縛り付けておいたのよ!」
「え……部屋ですらないの? 団長さんかわいそう……」
「はぁ、またあのばかでかい城にいかないといけないのね。早くいきましょ。」
「まぁ待て諸君。そう焦るな。まだゆっくりしていってみてはどうかな?」
「誰? 早く帰りたいんだけど。」
「いやいや、急がば回れとも言うだろう? というか、僕のスイートホームを壊しておいてそのまま帰すわけにもいかないし。」
「え、ここ、住人いたんすか……」
「そりゃいるさ。石畳の良い家だろう? ちょっぴり外に出ることが困難で寒くて時たま変な声とかするけど。」
「全然良い家じゃないっすよ……」
「てかあんた、まさか私をこんなところに置き去りにした犯人?!」
「はぁ? 知らないよそんなの。僕はここで仕事があるんだ。お転婆高飛車娘に興味なんてないよ。」
シッシッと手を振って追いやる動作をする。ここに住んでるって、どういう仕事なんだろう。アルスさんに気がつかなかったのか?
「あんた何者で、ここで何してるのよ! 名乗りなさい!」
「えぇ? 君から名乗るべきでしょそこは。」
「フン! 聞いて驚きなさい。私はこの国の第一王女、アルスよ!」
「ふーーーーーん。」
ビシッと決めたアルスさんにたいして興味無さそうに返す謎の男。これにはアルスさんもお怒りだ……
「なによあんた! 名乗ったんだから早くあんたも言いなさいよ!」
「えぇ、僕? まぁ僕は……今はここで地下の研究をしてる、シナバー・ヴェルミリオさんだけど?」
「聞いたことないわ。」
「だろうね。何年も前にこの洞窟に籠ったから。」
「なんのためにこんなとこに……」
「いやそんなことより、僕のスイートホームをどうしてくれるんだ! 壁が粉々だぞ!」
「あーもうわかったわよ! 修理費はうちが出すわ! 早くここから出たいのよ!」
「あ、そう? じゃ、お代よろしくね~バイバーイ」
「早く行くわよザック!」
「そ、それが……俺たち、うんと高いところから落ちてきたんで、今きたルートだと帰れない……です。」
「はあぁあ?!」
鬼の形相のアルスさんと、あわあわと狼狽えるザックさん。でも、誰に起こっても帰れないものは帰れないが……
「おじさんはここからの出方、知ってる?」
…………確かに、それしかないとはおもったが、おじさん……
「お、おじさん!? そ、そんな歳じゃないわ!」
あぁ、やっぱり起こらせてしまった。
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