不動の灯台星
76話目です。
『諸事情あって、今は君たちに姿を見せることはできない。だが約束しよう。アルス君を見つけるまでは君達に完全協力。つまり、絶対に危害は加えないとね。』
「その言い方ってことは、アルスを見つけたら何するか分からないってこと?」
白い髪の女の子が訪ねる。リリスさんと言うらしい。
『まぁそうだね。でも、君たちだけではアルス君を探せないし、僕たちもカラダがないから探せない。悪い話でもないとは思うな。』
「どうするんすか、リリスさん……」
「でも、探すしかない。」
「レイ先輩、私達は……」
「まぁ協力してもらった方がいいでしょうね。それに今、体がないってことは、物理的に攻撃を仕掛けることはひとまず出来ないってことでしょ?」
『ご名答。だからどうしても君達と手を繋がなければならないんだ。さぁ……どうする?』
確かに、アルスさんを、お兄ちゃんを探すにはそれしかない。でも、この人はなぜアルスさんを探す必要があるのだろう。先程までここにいて、行方も追えているというのに。それに、この声、聞き覚えが……
「……私達はアルスを探す。あなたたちは?」
リリスさんが問いかけてきた。私達は……
「同じよ。そもそもあなた達のせいでうちの団長が行方不明だし。」
『決まりだね。じゃあ僕の言うとおりに進むといい。』
――――
「あのー……」
『何かな?』
「もうずいぶんある来ましたし、もう町も郊外なんすけど……本当にこんなところにアルスさんが?」
『それについては問題ない。もう少しいけば洞窟が見えるだろう。そこに探し人はいる。』
「ほんとっすかねぇ……」
「でも確かに、地図には洞窟があるって書いてあるわ。」
「じゃあやっぱり正しいんすかね?」
『僕に間違いはないのさ。』
――――
「うわー、深いね!」
「落ちたら一たまりもありませんね。」
「あんまり近づいて落ちないでよ? 助けになんていけないから。」
「わかってますよ。」
『いやいや、君達には落ちてもらわないと。』
聞こえてきた言葉と共に、切り立った壁になっている大地が裂けた。
思い出した。この声は……
「覚えておくといい。僕の名前はポラリス。北の星は動かない。時代が変わってもね。」
この声は、私を線路に突き落とした、あの声だ。
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