皐の風
71話目です。
「……で、みんながいつの間にかいなくなって、私とルールとチッタしかいないってのはどういうワケ?」
「あなたのお仲間は今私達の仲間と戦っているわ。そして、あなたたちも同じくね。」
「皆は一緒にいるの?」
「小さい方の女の子と男の子は一緒よ、でももう一人の女の子は一人ね。」
「あのコ、攻撃魔法なんて使えないでしょ? 大丈夫なの?」
「大丈夫なはずないわ! どちらかが倒れるまでっていうルールですもの。その子だけじゃなく、他の子も、あなたもね!」
「レイ、どうする?」
「あなたに勝てば良いの? 3対1は分が悪いと思うけど」
「そんなに慌てないで頂戴。勝てない戦いを挑むなんてしないわ。」
「じゃあこれから何するのよ?」
「まぁ待ちなさい。」
「? なんなのよ」
――――
「あ、もう少しっすよ!」
「ず、ずいぶん歩きましたけど……このお城、どんだけ広いんですか?」
「まぁ地下っすからねぇ。掘ればいくらでも広げられますし……こうなってるのは魔法のせいですけど。」
「どんな魔法なんですか?」
「空間の距離を自由自在にする魔法っす。」
「それがアルスさんの魔法?」
「あ、アルスさんの魔法は別っすよ。これはただ単純に倉庫として使われてる地下をより広くしてるだけっす。」
「へ、へぇ……」
流石は大国。平和な世というのは侵略する必要すらなくなったからなのか……
「あ! 皆いますね! アルスさーん!」
「ちょ、ザックさん?!」
急に霧の向こうへ走っていってしまったので、追いかける羽目に。ザックさん、目が良い。
「くろねさんこっちっすよー! って痛ぁ?!」
「なに親しげに話してんのよ! そんな事しろなんて言ってないわよね?!」
「す、すみませんアルスさん……」
ザックさんは後頭部に拳骨をくらい崩れ落ちてしまった。やっぱり手酷く怒られてしまった……申し訳ない。
とぼとぼ歩いていくと、また霧の向こうから、レイ先輩たちが見えてきた。
「皆さんここにいたんですね! ……あれ、ティロちゃんたちは?」
「なんか、皆バラバラみたいよ。結社のリーダーさんと戦って勝てば返してもらえるらしいけど。」
「団長さんはそれで戻ってくるんですか?」
「…………まぁ良いんじゃない?」
「良くないですよね?!」
「……で、そこのお二人、クロネちゃんも来たし、そこの……ザック? さんも戻ってきたし、戦うの?」
「……このバカがなにもしてなかったらそうしてたかもね。」
「なにされたの?」
「魔法を教えてもらいました!」
「…………そう。確かにちょっと……バカみたいね。」
「ひどいっすよ!!!!」
ということなので、残りのみんなが戻ってくるのを待つことになった。
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