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天切り裂く風

68話目です。

「あなたは、さっきの!」

「はい。よろしくお願いしますよ、くろねさん!」

「わ、私?」

「そりゃそうじゃないですか、こっちは俺しかいないんだし、一対一ですよ。」

「でも……私、戦えません」

「その辺は大丈夫っす。ちゃーんと審判がいますから。」

「審判? どこに?」

「ま、どっかにいるっすよ。ほら、皆さんもう行っちゃいましたし、はじめちゃいましょ。」

「え? いつの間に……」

「そちらからどうぞ~」

「ど、どうぞといわれても……」


攻撃する魔法とか、知らないし……


「もしかして、魔法の使い方が分からないとかそんな感じっすか?」

「はい……」

「なら仕方ない。戦いは一時中断っす。魔法の使い方を教えましょう!」

「あ、ありがとうございます?」

「まずは、魔法でどんなことをしたいのかを思い浮かべるんです。魔法は基本どんなことでも出来ますから、色々試してみると良いっすよ。今回は「攻撃する」ってことを大事にしましょ。」

「は、はい。」

「まぁ、俺は風の魔法が得意で、くろねさんとは違う型だから参考にならないかもしれませんが……こんな感じっす。」


そういって、拳を握り、腕を引いた。腕を引く動作と同時に、強い追い風が吹き抜けた。


「風を起こすのが、風の魔法……」

「単純っすよね。しかも、訓練もなにも無しじゃ、この程度の事しか出来ないんっすよ。でも、練習をすれば……「疾風(ヴェント)」!」


さっきと同じ動作だったが、よりいっそう強い風が吹き抜けた。いわゆる「つむじ風」のようなもので、少し離れた屋上の開けた場所に風の渦が立ち上った。


「魔法って色々なことができるんですね。」

「まだまだ弱いっすけどね。本物の魔法使いなら、あらゆる型の魔法を使って新しい魔法を産み出せるんです。」

「魔法も奥が深い……」

「そうですね。こっちの方が俺にあってるんで、重宝してます。じゃあ次はくろねさんの番っすね!」

「あ、はい! どうすれば良いんでしたっけ?」

「魔法でやりたいことを具体的に思い浮かべます。例えば……おっ、じゃあこの林檎を使いましょう。」

「林檎を?」

「はい。くろねさんの魔法は回復系です。だから、攻撃には向かないって思うでしょ? でも、回復の魔法はその逆も出来るんです。」

「逆……?」

「生。つまり、生きるの反対は?」

「死ぬ?」

「そういうことっす。まぁ、「魔術の冠位」取得前はそこまで強力な魔法は使えません。せいぜいこの林檎を腐らせるとか、相手の体力を奪うとか……そんなもんです。じゃ、やってみましょ」

「はい。えーと、林檎を腐らせる……腐らせる……やぁ!」


変な掛け声と共に握った拳を振り下ろした。恥ずかしい。


「やりましたね! 成功っすよ!」

「え、いまので……?」

「動きなんてなんでもいいんすよ。ほら!」


言われて、ザックさんとハイタッチした。目的が変わってる気もするが、良いのだろうか……?

最後まで読んで頂いた方、誠にありがとうございます。

面白かったらブックマーク、感想よろしくお願いします。

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