車窓の青空
62話目です。
王都カルソーヌまでは集会所から出発するべきということで、全員が朝の用意を早く済ませ、集会所のある街まで出発した。
街のなかは早朝ということで静まり返っており、初めて見た街の姿であった。
しかし、集会所は年中無休で開館しているらしいので、特に支障はなく馬車の手配が出来た。何せ人が多いので馬車は2台になったが、それも王都に着くまでの事だから問題はない。あるとするなら……
「そういえば昨日ぶりデスねー! お元気デシたか?」
……先日の台風もとい人工知能、ズートリヘスが同行することになったのだ。
なぜこうなったのか。それは集会所の受付で彼女と出会ったことから始まる
「デスから! ワタシはカルソーヌまで行きたいのデス! 飛行機の発着場を教えてくだサイ!」
「いや、だからヒコーキなんてものありませんって。他を当たってください。」
「アルクトスがここで王都まで送って貰えるって言っていたんデスよ!」
「ちょっと、何? 喧嘩してるの?」
「あっ! レイさん! た、助けてくださいぃ~」
力ない声で唸っている。いつも受付を担当しているルインさんとは別の人だ。
「何してるのよ?」
「この人が昨日からヒコーキとか言う乗り物を出せって言ってくるんですよぉ……レイさん知ってますかぁ?」
「聞いたことないわね。」
「そんなはずありまセン! 皆さん知ってるはずデス!」
「ズ、ズートリヘス……さん! こ、こっちに……」
「何デスか?」
ズートリヘスの袖を引いて受付から引き離した。このままだと本当に喧嘩になってしまいそうだ。
「くろねちゃん、知り合いなの?」
「ちょっとね……」
「昨日知り合った。」
「そ、そうですそうです。」
「そうなんだ~!」
「くろねサン! また会おうぜとは言いましたが予定では王都で会うつもりだったんデスけど!」
「えっ? そうなんですか? 」
「あ! これはネタバレデシた。」
「…………と、とりあえず、ズートリヘスさんも王都に行くんですか?」
「ハイ! 手紙を渡したら戻って来いと言われてマス!」
「じゃ、じゃあ昨日からここにいたんですか?」
「そうデス! 早く帰らないといけないのに!」
「じゃあ私たちと王都に行きましょう? この世界には機械がないから、飛行機も無いし……」
「oh! そうデシた! この世界には飛行機なんて無いんでしたネ!」
「はい。だから王都につくまでは一緒に馬車に乗りましょう。」
「わかりまシタ!」
……ということだ。相変わらず声が大きすぎてうるさいので1日以上この人と会話を続けていては耳が持たないかもしれない。
早く王都につくのを待ちわびるのみだ……
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