虹の産声
61話目です。
「……も、もう朝か……」
閉じたカーテンの隙間から朝日が差し込んできていることにようやく気がつき、1度も眠れずに夜明けを迎えてしまったことを後悔した。
今夜は全く寝付けなかった。あの手紙と絵の内容が気になりすぎて、考えすぎて時の流れを忘れていた。
今日は何をすれば良いのだろう。手紙も途中で終わってるからなんの手がかりもないし、やることがない……というよりは、何をすれば良いのか分からない。
夢の中でならアストラルさんやアーカーシャに会えるのだと思うが、眠れなかったから会うもなにもない。
とりあえずまだ夜が明けて間もないし、仮眠でもして少しは休んだ方が良いだろう。もう一度布団に入るか……
「う、うわあああああああぁぁぁぁぁ!!!!」
一階から猛烈な叫び声が聞こえてきて、慌てて駆け降りる。
が、そこには誰も居らず、一枚の紙に書かれた書き置きがあった。
『君達の団長は預かった返して欲しくば指定の場所まで来い。』
……果たし状に恵まれる毎日だ。二日連続で似たような手紙をもらうことなどあるだろうか。ましてやほぼ果たし状。この世界はこれが常識なのか……?
「な、何? なんかあったの?」
「あ、レイ先輩……団長さんが大変です!」
「え?」
「この書き置きが……」
「………………どうなの、これ。」
「どうなのって?」
「本当に誘拐されたのかなって思って。本気ならこんな適当な手紙置いてくかしら?」
「うーん、でも団長さんはいなくなってますし……」
「そうよね。じゃあみんな起こしてさがしに行きますか。」
「じゃあ起こしてきますね」
「よろしくね」
と、言うことなので二日連続でみんながかなり朝早く起きることになってしまった。
手紙に書かれていた指定の場所というのは、この国の王都カルソンヌだった。
そもそもここが一つの国の一部だということを知らなかったのだが、世界でもかなり大きい国のひとつで、集会所のある町はその外れ、この家は更に外れらしい。
王都まではなかなか時間がかかるみたいだ。集会所から出ている馬車で1日位だという。
機械がない世界だと不便なことも多くあるのだと、ようやく気づかされた。
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