夜も更けて
55話目です。
「――――って、これまでの経緯はこんな感じ。」
アストラルさんに、この世界の大まかなあらすじと二人は何者なのかということを教えてもらった。これでも大分端折った方だと言われたが……
「あの……質問良いですか?」
「何?」
「宇宙で何億年も過ごすなんて、普通は耐えられないんじゃないんですか……?」
「いや、別に? 暇だったけど、兄さんがいたし。」
いやいや……私なら耐えられる自信など到底ない。お兄ちゃんがいたとしてもだ。宇宙でずっと二人でなにもない空間にいろ、何て言われたら絶望する。
一昔前に流行っていたX億年耐えられたらお金がもらえると言う仮想の話なんて聞いたとき、そんな話を持ちかけられても絶対にやらないと誓った位だ。
それとも、未来の本やなんかを見れるなら退屈も紛れるのだろうか……?
「はぁ……と、とりあえず、私は次は何をすれば良いんですか?」
「そうだね。欲を言うならシリウスがどうなったのか知りたいけど……まずはシンギュラリティかな。」
「あぁ、さっきの。どうしてシンギュラリティさんなんですか?」
「どうしてって言われても……君が集めた本も包帯も持ってかれちゃったでしょ。」
「あ、そ、そうでしたね。でも、どうやって見つけ出せば……」
「まだどうしようもないね。だから引き続き、文明の証明を続ければ良いかも。何か手がかりが見つかったら、教えるから。」
「わかりました。」
「あ、でも……」
「な、なんですか」
「いや、君が人工知能達と接触してしまったから、君にちょっかいかけに来るかもと思って」
「ちょっかい……」
「まぁ、魔法が使える人工知能って少ないし、たぶん大丈夫だと思うけど。」
「人工知能って、今どれくらいいるんですか?」
「100……200……位かな、今分かってる内はね。」
「お、多い……」
「随分減った方だよ。君の世界にはまだまだいただろ?」
「まぁ確かにそうですね……」
「だし、魔法使えるのもその中の一握りだから。」
「なら安心……なのかな」
「大丈夫大丈夫。頑張って。」
「は、はい頑張ります……」
えいえいおーと応援されながらその場を後にした。
夏野さんやフローレさんの時のようにヒントがないし、明日からどうしよう……
最後まで読んで頂いた方、誠にありがとうございます。
面白かったらブックマーク、感想よろしくお願いします。




